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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第8章 夏のオカルト回

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8-31.かき氷パーティー

 つむぎはブルーハワイに行くかと思ったら、みぞれシロップをかけ始めた。そして缶詰のフルーツを盛り付けていく。みかん、チェリー、マンゴーなど。それから、小豆をふたつ目のようにつけた。


「白くまアイスみたいね」

「はい! モフモフです! ラフィオほどじゃないけど……ラフィオ?」

「なんだい?」

「それはかき氷なの?」

「そうだよ?」


 ラフィオは、山の形に盛り付けられたかき氷をスプーンで押しつぶして平野部を作り、そこにプリンを乗せていた。さらに生クリームやフルーツをいくつかトッピングして。これはまるで。


「プリンアラモード?」

「かき氷だ」

「そうかもしれないけど。どう見てもメインはプリン……」

「そっかー。ラフィオは本当にプリン好きだね! 悠馬さんはシロップなにがいいですか?」

「なんでもいい」


 そう言いながら、誰にも手に取ってもらえなかったブルーハワイをかける。


 なんか、ハワイって感じの色合いだな。行ったことないけど。それに、みんながトッピングして余ったフルーツを乗せる。

 見た目はそんなに良くはないけど、美味しかった。


「かき氷って美味しいのねー。前に悠馬が作ったのとは大違い」

「製氷機のそこにあった欠片を集めて砂糖水かけたものでしたっけ。それはかき氷じゃないですよ」

「似たようなものだろ。それに、みぞれシロップだって砂糖水みたいなものだし」

「一緒にしちゃ駄目だよー。それにほら。悠馬かき氷食べてみて。おいしいでしょ?」

「それは……うまい。かなりうまい。シロップとフルーツのおかげだと思うけど」

「それでいいんだよ。買ってきたものを乗せるだけで、簡単においしくなるなら、やるべきだよ」

「そうなのかもな」


 缶詰のフルーツは、実際にうまい。


「遥ちゃん、料理のことは本当に頼れるの尊敬できる」

「お姉さんが、この瞬間だけは本気でわたしを尊敬するの、逆にちょっと戸惑います」


 普段は言い合ってるふたりが、なぜかちゃんとわかりあえてる。俺のおかげか。

 俺のせい、と言うべきかな。


「あー。染み渡る……」


 抹茶味のかき氷を食べている樋口は、なんとも感慨深そうな声を出した。


「樋口さん、疲れてるんですか? ラフィオモフモフします?」

「僕を癒やしの道具に使うな!」

「モフモフさせて……」

「お前も乗るな! おい! やめろ! あああああ!」


 樋口に抱きつかれて首筋をくすぐられ、小さな妖精姿にさせられたラフィオが叫びをあげる。

 そんな彼を、樋口は強く抱きしめた。


「む、胸の感触が……い、いや。嬉しくはないからな……」


 白い毛並みのラフィオだけど、微かに頬を赤くしている。


 モフモフしてくる樋口への対抗心か。あるいは、彼女であるつむぎ以外の女には欲情しないと、必死に気持ちを抑えているのか。

 意外に律儀なやつだからな。必死に平常心を保っているようだった。


 それより問題は。


「樋口さん。疲れてるんですか? はい、ラフィオあーん」

「あーん」

「ええ。疲れてるのよ。事件のせいで」

「でも、樋口さんが捜査するわけではないんですよね。ラフィオ、おいしい?」

「おいしい。プリンはいつ食べてもおいしい」

「それはそうだけどね。捜査状況は常に知っておきたいから。各部署に探りを入れてるのよ」

「そうなんですか。捜査してる警察の人から、樋口さんに報告がいくようにすればいいのに。ラフィオ、サクランボ食べる?」

「食べる」

「公安とそれ以外の警察って、仲が悪いのよ。特にわたしは警視庁から来た余所者でしょ? 県警の公安課経由でしか情報が入ってこなくて。面倒なの。モフモフ」

「やめろ。強くモフモフするな。力弱めろ。つむぎ、種」

「はい。ぺってして」

「ぺっ。だけど樋口。情報が入ってこないなら、仕事が楽できる時期だと考えればいいんじゃないかい? 愛奈ならそうするだろう」

「ラフィオあなた、わたしを馬鹿にしてる?」

「確かに、愛奈を見習うべき所ではあるわね。必要なら手を抜くのもありよ」

「樋口さんまで何言ってるんですか」

「けど、捜査状況を気にしてる民間人がいるのよ。浩一が本当に犯人じゃないか知りたがってる人」

「……斎藤美穂さん?」

「ええ。その人。ひっきりなしに連絡してくるの。土居浩一は事件に関わっている可能性は低いって伝えてるんだけどね。あの子、浩一の行動の全部が怪しく見えてるようで」


 つむぎにかき氷を食べさせられてるラフィオをモフモフしながら、樋口は疲れてる様子で話す。


 美穂って人も、恋人なんだから信じてあげろよと言いたいけど、そう簡単なことではない。

 信じたいから、気にしてるんだ。


 実際、怪しく見えることはあるらしい。俺もあの人が不審な行動をしてるのを見たことがあるし。


「実はね。昨日のお祭りに、浩一と美穂も参加していたそうよ。縁日デートね」

「いいですねー。わたしたちはデートって感じではなかったですから」

「わたしはラフィオとデートだったけどね。はい、氷の部分も食べる?」

「うん。……カラメル味の氷おいしい」

「怪物騒ぎはありつつ、楽しかったそうよ。浩一が、最近寝不足のように見えるのが、美穂には気になるらしいわ」

「寝不足?」

「よくあくびをして、目をこすって、目の下に隈があれば大抵は寝不足って思えるでしょ? 恋人の前であくびするようなら、それは深刻よ」


 デートの時にそれは、褒められたものじゃないな。

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