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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第8章 夏のオカルト回

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8-28.屋台を使って

 まん丸なフィアイーターの直径は、屋台が並ぶ通りの幅より少し大きい。両側の屋台を跳ね飛ばし、石畳の地面を傷つけながら転がってくる巨石を、慌てながら横に退避して避けた。

 俺の足では無理だった。


「やべっ」

「悠馬!」


 石が転がるより早く動けるライナーの脚力で、俺はお姫様抱っこされることによりなんとか救われた。この持ち方に思うことはあるけど、石に潰されるよりずっといい。


「助かった、ライナー」

「ううんいいの。悠馬が戦うには、ちょっと大きいかもね。しかもパワーがあって、それに……」

「くらえー! やられろモフミドロー!」

「フィアアアァァァァ!」

「ぎゃー!?」

「硬い上に素早い。もう。セイバーってば考えなしに突っ込むから」


 一旦止まったフィアイーターは、反転して階段の方へと再度転がってくる。それに突撃していったセイバーが、転がる敵に弾き飛ばされていた。

 幸いにして怪我はないようだけど、魔法少女でも止めれない攻撃は厄介だ。これが民間人の方に向かっていったなら大変なことになる。


「ねえ!! こいつ硬いんだけど!」

「そうだな。石だから」

「見た目はモフモフなのに!」

「お前には苔もモフモフの対象なのか!?」

「倒したらモフり倒してやるからね! レールガンならいけるかな!?」

「試してみてもいいんじゃないか? テレビ局からここまで持ってくるのに時間かかりそうだけど」

「フィアアァァァァ!!」

「うわ来た! ラフィオ!」

「避けるからしっかり掴まっててくれ!」


 ラフィオの上に戻ったハンターが矢を射るけど、石の体は貫けない。表面の苔が僅かに削がれるだけだった。


「フィー!」

「ふ、フィー!!」


 ラフィオはフィアイーターの進路から難なく退避できたけど、黒タイツたちは違う。それほど足が速いわけでもなく、助けてくれる人もいない。味方であるはずのフィアイーターに次々と踏み潰されて、ほとんど数が残ってない。


「あいつ、無茶苦茶だな」

「そうだね。守ってくれる黒タイツなんかいらないってほど、自分の強さに自信あるんだね」

「実際に強いからな。本当にレールガン使うか?」

「それもいいけど、まずは動きを止めないと」

「ああ。なにか手がないかな……」


 周りを見る。いくつかの屋台が、フィアイーターのせいで無残な姿になっていた。調理される前の食材が無残に地面に転がっている。それに、調理器具も。


「これ、使えないか?」


 お好み焼きか焼きそばを作るためのものだろう。金属製の大きなヘラが転がっていた。


「うん。やってみる」


 ライナーはそれを掴むと、フィアイーターの方に駆けていく。

 ハンターは矢を放ち続けているし、セイバーもフィアイーターの方に小石を投げていた。攻撃としては意味がなくても、フィアイーターにとってはウザいだろうな。


「やーい。モフミドロ! こっち来なさい! ばーかばーか!」


 セイバーは、そんな頭の悪い罵声を浴びせてるし。


 その努力により、フィアイーターは神社の階段下のエリアから離れて祭りの訪問客の方に転がっていく事態は避けられていた。


 フィアイーターが何度も転がったために、神社へ続く石畳の道はあちこちヒビ割れていた。

 ライナーがフィアイーターの進路を見極め、地面のヒビにヘラを刺す。魔法少女の腕力を使って、深々と。金属製の柄だけが顔を出している状態。そしてフィアイーターが来る前に退避。


 転がるフィアイーターは、進路上に新しく物が設置されたことなど気づかなかった。地面から生える杭のような形の柄にまともにぶつかり、体が大きく跳ね上がる。同時に、杭も曲がってしまった。

 フィアイーターの体は一瞬だけ宙を舞い、神社の階段に激突。


「ふ、フィア……」

「セイバー! 今のうちに攻撃だ! 手足を狙え!」

「ええ! モフミドロ覚悟ー!」

「モフモフ覚悟ー!」


 セイバーとハンターはなんか認識が違うんだよな。


 転がっていないなら、攻撃は当たる。手足は石のような硬さではないらしく、矢が刺さった。深々とではないから、柔らかくもないのかも。

 それでも、関節を狙えば動きは鈍らせられる。セイバーもハンターもそこを狙っていた。


 が、敵も永遠に動きを止めてるわけではない。手を動かして飛んでくる矢を払った後、セイバーも足で追い払いながら起き上がった。


「フィアァァ……」


 かすかに怒ったような声と共にこちらに向き直ったフィアイーターの体に、大きな亀裂が入っていた。

 そこからコアは見えない。きっと、亀裂もいずれは復活するはず。


「セイバー!」

「ええわかってる!」


 セイバーはフィアイーターに迫り、亀裂に剣を挿し込んで広げられないかと試みていた。


 もちろん、転がられたらセイバーは弾かれてしまう。転がってるうちにヒビも塞がる。それを阻止するため、ハンターは奴の足を狙っているしラフィオも奴の手に噛み付いて引っ張っている。

 それでも限界があるだろうな。


 なにか使えそうなものはないか?


 周囲を見回すと、スーパーボールが大量に転がっているのが見えた。

 犠牲になったスーパーボールすくいの屋台のものだな。駆け寄ると、補充用なのかバケツいっぱいに入ったスーパーボールがあった。


 使わせてもらおう。


「うわーっ!? やばいまた転がり始める!」

「セイバー離れろ!」


 指示を出しながら、手足を丸めて転がろうとするフィアイーターの前にスーパーボールをぶちまけた。

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