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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第8章 夏のオカルト回

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8-8.不審者対策

「いや。ふたりともそれは違うわよ。会社の人とか見てると、妥協で結婚する人も多いわ。それで、必ずしも不幸せになるとは限らないのが不思議なのよね」

「そうなんですか? お姉さんの職場の結婚って、例えばどんな感じなんですか?」

「それこそ、例の女の人みたいに結婚相談所で理想とは外れた相手を紹介されて、焦って結婚して、今は幸せみたいな人。だから結局は、本人の気持ち次第だと思うのよね」

「へー。人生の先輩の言葉、勉強になります」

「いやいや。わたしの経験じゃないからね。まあとにかく、結婚だからよっぽど嫌な相手はさすがに無理があるでしょうけど、本気で好きな相手しか見ないっていうのも考えものってことよ」

「でもお姉さんは悠馬しか見てませんよね?」

「遥ちゃんもね?」

「ええ。好きな男の子と一緒になるのが一番なのは変わらないと思うので」

「そうね。わたしも、一番を譲る気はないわ。あと、お姉さんじゃないから」


 こいつらはなにをやってるんだ。


「悠馬は止めなくていいのかい?」

「止められないから。ラフィオも人のことは言えないぞ」

「僕はいいんだ」


 なんでだ。


「それで、みんなあの女の話の続きは聞かなくていいの?」


 樋口呆れた声で言えば、みんなそっちに向き直った。


「聞こうか。とりあえず経緯はわかった。あの女が何者なのかも。問題は、なんで家に戻ってきたかだ」

「ええ。それは本人に訊かなきゃいけないわね。一応、田沼周子は事件後、市内にある妹の家に引き取られている状態よ」

「妹も既婚者だったよな?」

「ええ。だから語弊のある表現だけど、周子が引き取られたのは彼女から見て義理の弟の家。旧姓の桐生さんじゃなくて、旦那さんの名前の斉藤さんの家ね」

「居心地悪そうだな」

「実態は調査してないけど、たぶんね」


 妻の妹とはいえ、他人の家。よほどの事情があったから仕方ないとはいえ、居候は家族からの視線がきついだろうな。


 心中が起こったのは自分のせいとは、彼女は思ってないかも。傍から見ればそうなのかもしれないけど、当人にとっては違うなら、理不尽に思えることだろう。

 なんとなく、理由はわかった。


「幸せな家庭ではなかったけど、今よりは幸せだった家庭を懐かしんで、家まで来た?」

「まあ、そんなところでしょうね。家に別の人間が出入りしてれば、気になるでしょう。普通の家族とは違う構成の人間なら、特に」

「わたしたちが幸せそうにしてたから、つい声をかけちゃったんだねー」

「幸せそうだったか?」

「幸せでしょ?」

「まあ、それは……」


 つむぎがラフィオに寄りかかりながら、悦に入ってる様子で言い切る。確かに仲のいいカップルだ。


「お姉さん。わたしたちもあれくらい大胆に迫るべきなんでしょうか」

「迫るというか、くっつくというか。やるべきね。つむぎちゃんはナチュラルにできるのが羨ましいわ」

「お前らも十分くらい迫ってきてるからな。樋口、この女の素性はわかった。俺としては、あの家に関わってくれないならそれでいい。どうすればいい?」

「いくらでも方法はあるわ。逮捕するとか」

「そこまでは……」


 別に犯罪者なわけではないし。ストーカー呼ばわりしたけど。


「わたしとしては、あなたたちの安全が最優先。今回は声をかけただけで終わったけど、手を出す可能性もある。そうなる前に、適当な罪を被せて逮捕する。別に永遠に刑務所に入れるわけじゃないわ。この家に関わるなと警告するだけ」

「まあ、それくらいなら……いいのか?」

「んー。わたしはちょっとやりすぎと思うというか……」

「いえ。そうしましょう。家族の安全が第一よ。樋口さん、やって」


 少し戸惑っている遥と、こういう時の決断力だけはある愛奈。


 なんだかんだで頼れる姉ではある。いつもこうだと嬉しいけど、それは高望みしすぎか。


「ええ。わかったわ。あの家を見張って、次に何かあればすぐに警察をやって現行犯逮捕する。住居侵入とかでね。それで、警察署で怒って二度としないように言って釈放する。それでいい?」


 再発しないならそれでいい。やりすぎは良くないよな。愛奈もそれでいいと頷いた。


 さすがに、あの女を今から逮捕はしにいけない。それは権力の横暴だ。昼間に追い払われたと言うけど、それで懲りて二度としないなら、それでいいんだよな。

 再発したら困るから、その時は対処する。それでいいとして問題は。


「ラフィオたちが、また声をかけられたら困るよな」


 奴がまた誰かに接触しないと逮捕はできないということ。


「別に困らないさ。あんな女、僕だけで追い払えるぞ」

「わー。ラフィオ格好いい」

「うん」


 抱きつこうとして、あわよくば首筋をくすぐってモフモフにしようとするつむぎの手を掴んで阻止しながら、ラフィオは平然と会話する。

 そこの関係は変わってないのか。なんかクールな受け答えで格好つけてるけど。


「それはわかるけど、向こうが子供と見くびって手を上げてきたら困る。だから河原に行くときは俺も同行する」

「あー。まあ仕方ないね。そうしよう」


 奴が狙うとしたら、また子供だろうから。万が一の時の対策だ。


「それで、どうするんだい? 明日もあの家に行くのかい? 敵が現れるとしたら、対峙するのは早い方がいい。今なら、心の備えもできるし」


 好戦的なのは元からの性格だな。敵を倒すために異世界から来た奴だし。

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