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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第7章 ゲストキャラとロマンス

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7-56.硬いフィアイーター

 戦闘の黒タイツの首を矢が射抜いて、一瞬で消滅する死体へと変える。文字通り矢継ぎ早に弓を引いて、もう四体ほどの黒タイツは殺せた。けれど一斉に迫ってくる敵に弓だけで対処するのはやはり困難だ。


 ラフィオが動く。こちらに到着した黒タイツと接触する寸前で跳躍して、奴を飛び越えつつも後頭部を蹴飛ばした。

 着地地点に黒タイツが待ち構えていたのを、ハンターが射殺す。そして別の黒タイツがすかさず来た上に、踏み潰すようにラフィオは着地した。


「フィアアアァァァァ!!」


 フィアイーター本体が駆けてくる。金属製のボディは硬そうで、まともにぶつかると大怪我しそうだ。


 黒タイツがフィアイーターの道は開けつつ、こちらを逃さないように掴もうとしていたから、その前にラフィオは再度飛んだ。

 ハンターがフィアイーターの六角形の頭に矢を放つ。一応は刺さったけれど、深くはない。フィアイーターの動きを阻害するほどではないし、痛みもしていないらしい。


「わたしたちだけで倒すの、難しそうだね」

「そうだね。けど、心配ない」


 みんな、来るのだから。


 フィアイーターはラフィオに避けられたから、その後ろにいた黒タイツの方に突っ込んでしまって数体巻き込みながら転倒した。

 そこに。


「お待たせ! わたしも頑張るから!」


 ライナーが駆けてきた。


 ここまで走ってきた勢いのままに飛び蹴りを放って、起き上がろうとしていたフィアイーターを再度つんのめらせる。


「うわ! こいつ硬い! てか、ネジ!? これ倒せるの!?」

「何度も蹴り続けろ! 生き物である以上はいつかは限界が来る!」

「限界ってなにかな!?」

「知らないけど! 表面が裂けるとか! へこむとか!」

「ガチの金属だったら、ドリルで穴開けるとかした方がいいわねー」


 そこに、セイバーの声も聞こえた。悠馬を下ろして、自分も剣を握って近くの黒タイツをばっさりと切り捨てる。



――――



「おー。ボルトの、めちゃくちゃ硬い怪物ねー。倒すの苦労しそうね」


 近づいてくる現場を見ながら、セイバーが呑気そうに言う。口調と内容が合ってない。

 降り立って剣を振ってから、俺を振り返った。


「麻美に連絡して。怪物にドリルで穴を開けたいって」

「あー。わかった」


 相手が金属なら、金属加工のプロに協力をお願いすべきだ。

 愛奈もプロではあるけど、麻美の方が適任だし。あと、愛奈は魔法少女として戦わないといけないし。




「もしもし。麻美か?」


 こっちに殴りかかってきた黒タイツの拳を受け止め、相手の勢いを利用して引き倒しながらスマホを操作。さすがに電話しながら複数の敵を相手にしたり殺すのは無理だから、敵味方が入り乱れる戦場からは距離を取る。


『麻美さんは運転中だよ。今そっちに向かっている』


 代わりに出たのは剛だった。なんか絹擦れの音が聞こえるな。

 着替えてる途中かな。


「フィアイーターはボルトから作られたものだ。堅いから、麻美に金属加工の協力をお願いしたいって」

『わかった伝えておく。着いたら僕も戦うよ』

「ああ。頼む……剛お前、家から飛び出る時にコスプレ衣装も持ってきたのか?」

『一式を紙袋に入れて、常に用意しているからね。途中で麻美さんに拾ってもらう予定だったから、抱えて走り回ることもないし』

「そうか。とにかく急いでくれよ」


 人の車の中で着替えることについては、特に抵抗ないのかな。ないんだろうな。けど、走行中なんだよな。器用に着替えるものだよな。


 そんなことを話してる場合ではなくて、俺が踏みつけている黒タイツがジタバタと暴れていて、通話しながら押さえつけるのも限界だった。

 スマホをポケットに入れて、黒タイツの上からどく。すかさず起き上がろうとした奴の頭が良い位置に来た瞬間に蹴り上げた。


「ねえ! あの工場の中にフィアイーター突っ込ませてもいいかな!?」


 剣でボルトの怪物をガンガンと叩きながら、セイバーが小さな町工場に目を向ける。


 フィアイーターの体にはあちこち切り傷、というか細長いへこみができているけれど、その表面を破って中を暴くまでは至ってない。

 奴の両手も金属らしく、それを剣のように振ってセイバーと鍔迫り合いの真似事をしていた。ただし向こうは二刀流だ。


「ああもう! うっとおしい! ハンター! 手足の動き、封じられない!?」

「無理です深く刺さらないので!」


 だからハンターは、黒タイツの掃討に専念している。


「あと! 工場は使って大丈夫だと思います! 中に外国人の人と京介って人がいるのでそれだけ気をつけて!」

「あー。そいつの会社なのね。じゃあ遠慮なく中で暴れてやりましょうか! ライナー手伝って! こいつを工場まで蹴飛ばして!」

「なんでわたし任せなんですかお姉さん!?」

「ライナーが適任だからよ! あとお姉さんじゃないし!」

「うるさいですお姉さん!」


 鞭のように両腕をしならせて迫ってくるフィアイーターの攻撃を、セイバーは回避しつつ隙を見つけて腕の一本を剣で払ってから前に出て、胴を蹴る。

 前進が止まったフィアイーターの側面からライナーの飛び蹴りが炸裂して、奴は工場の方まで大きく数歩よろめいた。


 工場に入り込むまではいってない。

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