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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第7章 ゲストキャラとロマンス

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7-51.エリーを探せ

『そう……実は、昨日から鍋川京介は自宅に帰ってないの。自宅を監視してる人員からの報告よ』

「行方がわからない?」

『ええ。不審者情報を流したことで、逆に警戒されたのかもね』

「会社は?」

『監視拠点を置ける場所じゃないのよ。周囲は他の工場や会社で埋まっていて、常に見守る人員を配置する余地はない。時々人をやって、車の中から見守らせるくらいしか」


 ひっきりなしに車が通る場所なんだろな。だから路駐も長時間できないのだろう。


『とにかく、県の公安の人員をやって状況を見させるわ』

「俺も探しに行く。魔法少女たちの足で捜索する」

『ええ。それがいいわね。わたしもそっちに行くわ……ごめんなさい。わたしが、もっと本気で彼女を拘束していれば』

「いや。出ていったのはエリーの意思だ。何か事情があったのかもしれないけど、戻ったらお説教だな」

『ええ。そのためにも、ちゃんと見つけなきゃね』


 通話をしながら、俺は家に走った。つむぎに押された遥が戻ってきたのも、だいたい同じくらいのタイミング。


「エリーちゃん、いつもつけてるペンダントを、気づかない内にわたしたちに渡してて……」

「あれか」

「そういえば、初めて会ったドレス姿の時からずっとつけてたね。大事なものだったんだ」

『……エリーの身柄を警察で保護した時に、身につけてるものは全て調べたわ。エリー自身、着替えさえ貰えたら、着ているものは警察で処分しても構わないと言ってた。その中にペンダントなんてなかったわ』


 車を運転しながら、スピーカーモードで会話に参加する樋口が疑問を口にした。

 簡単なことだ。


「警察に連れて行かれる前に、この家のどこかに隠したんだろう」


 その時、エリーは警察を信用していなかったから。


 あのデータが警察から悪人の手に渡ることを心配していたのか。それとも、いざという時に交渉材料になると思って持っておきたかった。

 そんなものとは無関係に、俺たちに受け入れられたから、しばらくは無用のものになってしまったけど。


 トライデン社がシステムの復元のためにエリーを探す意味なんて、普通に考えれば薄い。けど当のエリーだけは危機感を持っていたんだ。


「ずっと、ひとりで抱えてたんだね。辛かったよね」

「そうだな。みんな、探しに行こう。魔法少女と人間で一組になって、全員で連絡を取り合って行動するんだ」


 麻美と剛も、今向かってるはず。俺と合わせて人間が三人。


「じゃあ、わたしは一足先に悠馬と一緒に行くわね! ライトアップ! シャイニーセイバー!」

「あ! ずるい!」


 遥も似たようなことを考えていたのか、アンクレットに手を伸ばしていた。けど、愛奈の方が遠慮がなかった。


「闇を切り裂く鋭き刃! 魔法少女シャイニーセイバー! さあ悠馬! 行くわよ!」

「あ、ああ!」


 俺も愛奈を止める理由はなくて、抱きかかえられるままにした。


 お姫様抱っこはやっぱり恥ずかしいし、周りを探すのにも向いてないからどこかで声を掛けて背負うのに切り替えてもらおう。



――――



「エリーちゃん……」


 椅子に座って、彼女が残したメッセージをずっと見つめているつむぎは、沈んだ顔をしていた。


「わたし昨日まで、エリーちゃんがそんなに危険な立場だって知りませんでした。思ってもいませんでした」

「うん。わたしもだよ」


 他にすることもなくて、遥は車椅子を動かしてつむぎの隣に行く。


「悪い奴が狙ってるかもなんて、そんなことありえないって思ってた。だから、呑気に過ごしてた。エリーちゃんは自分のことわかってたけど、わたしたちを見て打ち明けられなかったのかな」

「そうだと思います。だからひとりで抱え込んでいて。わたし、エリーちゃんに悪いことをしてしまいました」

「うん。そうかもね。けど一番悪いのは、あの京介とかいう男だから。そこを間違えちゃいけないよ? エリーちゃんを苦しめたのは、わたしたちじゃない。悪い大人なの」

「そう、ですか?」

「うん。だからわたしたちは、悪い人がいなくなってエリーちゃんが普通に生活できるようになれば、これまでと同じように接してあげればいいんだよ。それが、エリーちゃんにとっての幸せだから」

「はい……はい! そうですよね! わたしも、エリーちゃんとたくさん仲良くします!」

「うん! でも、つむぎちゃんは偉いよね」

「え?」

「同じ男の子のことを好きになって、それでもエリーちゃんと仲良くできるの、偉いよ!」

「遥さんだって、愛奈さんと仲いいですよね?」

「あはは。まあねー」


 意地の張り合いはしてるけど、確かに仲は悪くない。


「エリーちゃんのことも好きなので。それに、ラフィオが……好きな女の子のことを見ている時のラフィオが、一番格好良くて好きです」

「……そっか」


 少し寂しそうな口調のつむぎに、遥はかける言葉を見失った。


 好きな男の子の幸せが、自分と添い遂げることじゃないとしたら。

 わたしの場合は、そんな時どう受け入れたらいいんだろう。


 それを、つむぎは既に理解していた。彼女はすぐに笑顔になった。


「でも! エリーちゃんには負けないって自信がありますから! ラフィオのことが好きな気持ちは、エリーちゃんよりわたしの方が上です! わたし、ラフィオのこと世界で一番好きですから!」

「うん! さすがつむぎちゃん!」

「えへへ! じゃあ、エリーちゃんを早く見つけちゃいましょう!」


 まだ麻美も剛先輩も来ていないけど、つむぎは勢いよく立ち上がった。そして髪につけている宝石に触れて、声を上げる。


「デストロイ! シャイニーハンター!」

「え、ちょ。つむぎちゃん!?」


 想定してないタイミングでの変身を見る。さっきに続いて二回目だ。

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