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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第7章 ゲストキャラとロマンス

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7-40.合宿の終わり

 となると狙いは。


「エリーか?」

「だと思う」

「そっかー。エリーちゃんかー。狙われてるって話だったもんねー」


 コントラディクションシステムの模造品を作ろうとする、愚かな野望を持つ企業。外国人が絡んでいるとしたら、トライデン社も関わってるかも。

 会社としてなのか、それとも社員が功名心から独自に動いているのかは、今のところ不明だけど。


「あの先生、優しいけどちょっと口が軽いというか。生徒のこと、他の人にバラしちゃいそうな雰囲気あるもんね。善意で話してるのはわかるけど」

「そうだったな。そういう人だった。いい人ではあったけど」


 家族なら職場であったことを話しても問題ないとか、そういう種類の人だ。今までは、それで大きな問題が起こったことはなかったし、今は特に定年が近いから今更誰も指摘はしないのだろう。

 そんな先生が、エリーの存在を家族に話してしまった。


 純アメリカ人の金髪の少女。知っている人からすれば、エリーだとすぐに特定できそうなものだ。


 先生から、つむぎがどのあたりに住んでいるのかも聞き出せたのだろう。詳しい住所はわからなくても、あのあたりまでは特定できた。

 あとは手分けして探すだけだ。金髪の女の子は目立つから、見つけやすい。


 不運にもエリーはそのタイミングで、俺たちと共に市外に出てしまっていたのだけど。


「とりあえず、明日はマンションには帰らないようにしよう。拠点の家で解散だ」

「それがいいと思う。わたしたちも一緒にいるべき?」

「いや、あのマンションに住んでる人間だけ隠れて、他は普通に帰っていいと思う」


 遥と剛。それに麻美には、帰る家がある。待っている家族も。

 心配をかけさせるわけにはいかない。


「そっか。わかった。その後どうするかは、愛奈さんが起きてから相談かな」

「そうしよう。それに樋口にも意見を聞かないとな。明日、電話してみる。……面倒なことになったな」

「本当にねー。エリーちゃんに危険があるなら、このまま帰りたくないね」


 片付けも終わって、水着姿の遥が椅子に座ってテーブルに肘をつき、ロッジの中を見渡した。


「水着で過ごすのも楽しかったし。ここに住みたい!」

「車椅子で過ごすには不便なところだけどな。買い物もしにくいし」

「移動は悠馬にくっついてやってたから、それも良かったところです! 買い物は……まあね。不便だよね。愛奈さんたちに任せきりも良くないし。食べ物は自分の目で見て選びたい。やっぱり、こういう場所は時々だからいいんだねー」

「そうだね。だからこその別荘だよ。僕の家族も、そう頻繁に来るわけじゃない」

「そうですね、先輩。また、みんなで来ましょう。今度は樋口さんや澁谷さんも呼んで。もちろん、エリーちゃんもいて」

「うん。彼女がいると、僕たちも笑顔になれるよね。あの子が仲間になって良かった」

「次来る時は、エリーちゃんも立派な魔法少女になってるんだろうなー」


 俺も、きっとそうなると思う。




 翌朝。日曜日。ミラクルフォースの放送時間に、愛奈は当然起きていない。別に朝早くから出なきゃいけないわけじゃないし、みんなでテレビを見ながらゆっくり過ごす。


「みんなごめんね! 結局飲んじゃった。運転する時までには復活してるから、心配しないで!」


 麻美はちゃんと起きてた。一応、セーブして飲酒していたらしい。

 比較的まともで、本当に良かった。


「最悪、俺たちは麻美の車に全員乗って帰って、愛奈は後から荷物とゴミと一緒にひとりで運転して帰ってもらおう」

「先輩、それ聞いたら泣いちゃいそうだねー」

「泣いちゃえばいい」


 そんなことを考えていたけれど、愛奈はちゃんと起きてきて。


「うへー。二日酔い気持ち悪い……悠馬、水持ってきて……」


 麻美との違いを存分に見せつけた。




 愛奈の酒が完全に抜けるのを待って、俺たちは水着から普段着に着替える。

 なんだろうな。急に、水着で過ごしていた事実が恥ずかしくなってきた。身内しかいないテンションで、愛奈たちに流されるままやってたけど、冷静に考えてみたらまともではないというか。


「こういう格好で過ごすのも、悪くはなかったね」

「うん。僕もそう思うよ。家族で来た時には無理な過ごし方だったから、新鮮だ」


 こいつらマジか。ラフィオも剛も、恥ずかしくなかったのか?

 いやまあ、俺もやってる最中はそんなに気にしてなかったけど!



 女子たちも着替えは早くに終えて、見慣れた普通の姿になっている。

 エリーの胸元に、そういえばいつもつけているペンダントが揺れていた。水着姿の間は外して、しまっていたのだろうな。



「あの家に行けばいいのねー。ほんと、トライデンの人たちも諦め悪いわねー」

「本当にな。エリーが気にしてなきゃいいけど」

「気にするでしょうね。あの子優しいから。それが美点よ」


 愛奈の運転する車に乗り込みながら、目的地の確認。不審人物の存在は、みんなに周知済だ。

 そのエリーは、つむぎやラフィオと一緒に麻美の車に乗り込んでいる。剛も向こうの車。


 俺と遥と車椅子、あと大きめの荷物が愛奈の車担当だ。


「気に病むことじゃない。エリーちゃんが悪いわけじゃないって、繰り返し言ってあげるべきよね」


 エリーが気にするのは、自分に降りかかる危機ではない。自分のせいで、俺たちに迷惑がかかってないかという懸念だ。

 事実、今も俺たちは家に帰れない状況に陥っている。

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