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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第7章 ゲストキャラとロマンス

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7-39.浜辺で花火

 そうこうしている内に、愛奈たちが帰ってきた。


「夜はバーベキューにするわよ!」

「それはいいけど、飲みすぎるなよ」


 肉でいっぱいなのだろうなと思われる買い物袋を提げた愛奈と麻美。他に入っているものといえば、多少の野菜と酒だろう。


「あ、あとこれも買ってきたわ。ホタテとかエビとか。浜焼きしましょう」

「お姉さん、自分では焼けないものを買ってきたんですね。焼くのはわたしに丸投げで」

「遥ちゃんお願いします! ちょっと醤油垂らした貝は酒のアテに最高なのよ! 今はお姉さん呼び許すから!」

「自分で焼けるようになってから言ってください。あと、やっぱりお酒飲むんですね」

「ふっふっふ。実はね、いいものを買ってきたのよ。お酒の他に楽しみなことがあれば、飲む量も抑えられる! ということで!」


 車から出してきたのは、大きな花火のパック。


「おー。いいですねお姉さん。夏といえば花火ですよね」

「これが日本の花火ですか……」


 エリーが興味深そうに見つめている。


 愛奈にしては良い考えだと思う。みんなで楽しめるし。

 後は、俺が飲みすぎないよう監視すればいいだけ。



「ひゃっはー! 酒飲みながらやる花火は最高ね!」


 とまあ、結局はそうなるわけで。


 日が沈んだ頃。ロッジからの灯りを頼りにみんなでバーベキューコンロの周りで肉を食い、貝の浜焼きも食べる。愛奈と麻美は放っておくと飲みすぎるから、俺がやんわりと止めてやる。


 そんな愛奈が今、ビール缶を片手に持ちながら花火の火花を見つめていた。細長い棒の先端から色とりどりの火花が勢いよく吹き出している。

 酔ってなくても愉快な光景ではあるけれど、酒が入ってたらそれはもう幻想的でスリリングな光景に見えることだろう。


「ひっ! ひぇっ! ラフィオ様! これ!」

「危ないから! 人に向けようとするな! 落ち着いて、海の方に向けるんだ」

「で、でも! 音と火がすごくて!」

「人に向けないなら怪我しないようにできてるから!」

「は、はい!」

「わかってなさそうだな!」


 エリーは初めての花火で慌てているし、そんなエリーに追いかけられてラフィオも慌てていた。


「エリーちゃん。こういうのの方が面白いかもしれないよ?」


 燃え尽きた手持ち花火を手にぐったりしているエリーに、剛が穏やかな声で話しかけて線香花火をつけてみせた。

 パチパチと火花を散らししていく静かな花火に、エリーは目を輝かせた。


「静かですけど、綺麗ですね……」

「うん。儚く終わってしまうのが、少し寂しい花火だけとね」

「それも美しいです。これを愛することができる日本人の心が、美しい……」


 エリーもこれなら落ち着いて見ていられるらしい。音を立てて消えていく線香花火を、しばらくじっと眺めていた。



「悠馬ー! なんか小さいけど打ち上げ式の花火あるみたいよ! どーんとやってみましょう! 着火して!」

「いいけど、今夜はもう酒を飲むなよ」

「一杯だけ! もう一杯だけ!」

「姉ちゃんに向けて打ち上げてやろうか」

「それはやめて!?」


 風情をわかってない、やかましい愛奈を黙らせないとな。そろそろ寝かせないと、明日帰れなくなる。



――――



 双里家の周りをうろついていたという外国人の素性は不明。トライデン社の人間だとしても、社員リストなんかが日本の公安にあるわけでもない。

 地道に探していかなきゃ駄目だけど、時間がかかる。樋口は椅子に体重を預けながらため息をついた。


 不審な外国人は、今日は見つからなかった。その代わり、別の男が家の周りを同じようにうろついていたらしい。

 今日は日本人。トライデン社の人間ではないと思う。あの会社に日本支部はないから。


 そっちは、人をやって尾行に成功。素人らしくこちらの追跡に気づくこともなく、自宅も特定できた。


 件の男は、その家の世帯主ではない。じゃあ何者なのかは、今調べてもらってるところ。

 その代わり世帯主について興味深いことがわかった。つむぎの小学校に勤務する定年間際の教師らしい。


 生徒からも同僚からも親しまれている、人のいい性格の教師。当然、犯罪歴なし。謎の男はその家族か?


 用事があったのは双里家ではなく御共家? でもなんの用? 夏休みに入る日に、学校でフィアイーターの事件があったことは聞いている。その関係だろうか。


「わっかんないわねー」


 時間をかけて調査すれば、なにかわかるだろう。謎の男の素性もすぐに。外国人の方は、さらに時間が掛かりそうだけど。

 その時間がない。悠馬たちは明日には家に帰るのだから。


 仕方ない。連絡するか。



――――



「そうか。わかった。ありがとうな」

『いいえ。気にしないで。公安の仕事をしてるだけだから』


 夜。結局酔いつぶれた愛奈たちを寝かせて、花火の後片付けをしていると、樋口から連絡が。

 あの先生の関係者らしき人間が家の周りをうろついている、か。


「つむぎちゃんの担任ではないんだよね?」


 片付けを手伝ってくれた遥に話してみた。


 違ったはず。先日学校に行ったときは、つむぎは真っ先に若い女の教師に話しかけていた。会話の内容からして、あれが担任らしい。

 つむぎは、ラフィオやエリーと同じく既に眠っているから、確認はできないけど。


「だよねー。しかも、先生じゃなくてその家族が来た、かー。わかんないねー」

「そうだな」

「トライデン社関係じゃないかい? あのシステムを作った、模布市の企業の人間とか」


 剛も話しに入ってきた。

 なるほど、あるかもしれない。

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