表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第7章 ゲストキャラとロマンス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

338/746

7-23.学校の七不思議

 つむぎたちは気にする様子もない。


「次に、音楽室にバッハの肖像画が飾られてるんだけどね。これが夜中になると」

「目とか口を動かすのか?」

「ピアノを弾くの!」

「肖像画が!?」

「怖いです!」

「ジャジャジャジャーン! って!」

「それはベートーベンだな」

「その昔、この学校には事故で亡くなった女の子がいたそうなの」

「おい。勝手に次の話に移るな」

「その女の子はピアノが上手だったんだけど、発表会の前の日に事故で死んじゃったの。その日以来、夜になると誰もいないはずの音楽室のピアノが鳴るんだって」

「ピアノが勝手に!? 怖いです!」

「そのピアノ弾いてるのはバッハじゃないのか?」

「次の話も音楽室なんだけどね」

「音楽室多いなおい」

「ベートーベンの肖像画が飾られてて」

「ベートーベンいるのかよ!? じゃあピアノ弾いてるのはそいつだろ!」

「それが夜中に走るの」

「なんで肖像画にアグレッシブな動きさせたがるんだよ!」

「で、同じように走っていた二宮金次郎の像とぶつかるの」

「二宮金次郎どこから出てきた!? というか、そっちの方が怪談のメインじゃないか!?」

「不思議なのがね、この学校には二宮金次郎の像なんか置いてないの」

「マジでどこから出てきたんだ!?」

「不気味ですね。いないはずの像がいるという……」

「二階の北側の女子トイレの、手前から三番目の個室なんだけど」

「ああ。トイレの花子さんが出るのか?」

「そう! ラフィオ詳しいね! 夜中になるとね、パシャ、パシャって花子さんが自撮りする音が聞こえるの」

「花子さんって自撮りするのかー」

「それをSNSに上げた写真を見たら、絶対にいいねしないといけないんだ。呪われるから」

「怪談の範囲が学校から随分広くなったな」

「学校の外でも恐怖から逃れられないの、怖いですね!」

「昔この学校で、四月四日の四時四十四分に授業中に死んだ生徒がいたの」

「その時期、普通は春休みで授業なんかないんじゃないか?」

「その子の未練が未だに残っていて、死んだ時刻死んだ時間に教室にいると、あの世に引きずり込まれるんだって」

「教室にいるだけで!? 理不尽過ぎて恐ろしいです!」

「その日に教室にいる生徒はいないし、証明しようがないのが怪しい話だよな」

「次なんだけど、これは何人も目撃例がある、ただの噂じゃない本物の不気味な話なの……」

「ど、どんなものでしょうか……」

「小学校の近くまで犬を散歩しに連れて行くと、その犬は怯えた様子で動かなくなるんだよね。まるで、小学校に潜むなにかを察知するかのように。この近くで犬を飼ってる子が、みんな言ってるんだよ」

「なんなのでしょうか。犬の感覚は鋭いといいます。なにか恐ろしいものの気配がわかるのかもしれません……」

「怯えているのは、お前に対してだな」

「え?」

「お前が学校の近所の犬をモフモフし尽くしたから、犬の方もそれを覚えて近づかなくなってるんだよ」

「え? ええっ!?」


 なんでそんな驚いた顔するんだよ。


「さ、最後の不思議だけど! 七つ目の不思議が何なのか、知ってはいけないんだよ。七つすべてを知ってしまうと、幽霊によってあの世に引きずり込まれてしまうから……」

「おい。ちょっと待て。今まで出てきた不思議をまとめるぞ」


1.校庭に現れる墓地

2.バッハがピアノを弾く

3.死んだ女の子がピアノを弾く

4.ベートーベンと二宮金次郎が走って衝突

5.自撮りする花子さん

6.四月四日四時四十四分の呪い

7.御共つむぎ


「七つあるな」

「ら、ラフィオ様! わたしたち呪われてしまうのでは!?」

「む……」


 エリーが怯えた様子でラフィオの手を握ったから、つむぎは眉をひそめた。


「落ち着け。そんなわけがないだろ。ただの迷信だ。だいたい、七つの怪談のほとんど全部が、根拠がなくて設定としてもありえないようなものばかりだろ。ただの作り話だよ」

「最後のは違うよ。本当に犬さん来てくれないんだって!」

「お前のせいでな!」


 そんな会話をしていると、学校に着いた。生徒の姿は見えないけれど、校門は開いている。


「ラフィオは小さくなって。先生に見つかった時、説明するのが面倒」

「いいけど、エリーはどうするんだ?」

「んー。本当のこと、先生に言えばいいんじゃないかな。隣の家に引き取られた、外国の子が日本の学校に興味があるから見せに来たって」

「そうか」


 特殊なことかもしれないけど、変なことではない。信じがたいことに、つむぎは学校では、特に問題を起こすこともない優等生として受け入れられている。

 少しくらい、部外者を校内に入れても咎められることはないだろう。


「エリーちゃん、こっちだよ」

「はい!」

「ぐえっ」


 ラフィオをショートパンツのお尻のポケットに押し込んでから、つむぎは校内に入る。せめてサイドのポケットにしろ。圧迫されて苦しい。


「んっ……もー、ラフィオあんまり動かないで」

「無理をいうな」

「あっ。ちょっ。駄目だよ」

「こっちの方が楽なんだよ」


 つむぎのお尻に触れるようにモゾモゾと動いてなんとかポケットから抜け出し、つむぎの腰にしがみつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こういうハイテンポなボケ倒し、大好きです。 それにしてもエリーちゃん、ええ子や…あのたわごとに付き合ってあげるなんて……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ