表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

306/746

6-40.お揃いのエプロン

「ももちゃんとわたし、お揃いの柄にしたんだもんねー」

「本当は、長谷川くんが好きな感じのおしゃれな柄にしたかったんだけど。なんか他のは、ドラゴンとか迷彩柄とかしかなくて」

「長谷川くんも迷彩柄選んでたよね」

「うん。普段は着ないけど、ああいうの好きなのかな」

「かもね! 今度聞いてみたらいいよ! あ、そろそろ行かないと! また月曜日に!」

「うん! 頑張って!」


 窓から飛び出てひらりと屋根に登るハンター。再び大きくなったラフィオに乗りながら、レールガンを持つ。

 エプロンの紐を首にかけるように結んで、布部をハンモックみたいにしてレールガンの銃身を乗せる。


 腕だけで持って狙いをつけるよりは、こっちの方が楽らしい。


「よし! いける!」

「電源車まで戻るぞ」

「うん! 走って!」


 屋根から屋根を跳び移って、目的地まで向かう。途中、電源車に追いついた。


「すいませーん! ここ! 魔法少女と電源車が通ります! ご協力ください! ごめんなさい好きで信号無視してるわけじゃないんです!」


 セイバーが交差点に立って、左右から来る車を必死に止めていた。


「あ! ラフィオにハンター! あなたたちも協力して」

「あはは! ラフィオもっと飛ばして!」

「わかった」

「行かないで! わたしの苦労を分かち合ってください! ハンター! ねえってばー!」

「セイバー! 急ぎますよ!」

「わーん!」


 車の中の澁谷にも急かされながら、セイバーも走る。そして車を止める。


「大丈夫です! 合流地点までもう少しです!」

「そこまで楽して行けると思ってたのに……うおっと!?」


 そんなセイバーの足元に、黒い羽が飛んできた。咄嗟に避けたから怪我はなかったけど。


「フィィィィィアアァァァァァ!!」


 頭上に怪物の姿。巨大なカラスが大型トラックを足で掴んで飛んでいるため、下から見ればトラックから羽が生えているように見える。

 その周りには四機のドローン。

 敵も動くのだから、当初の合流地点と会敵地点が変わることもある。それがここだ。


「麻美さん! こちら、フィアイーターを見つけました! こっちに来てください! あとセイバー! 周りの車を追い払ってください!」

「はいただいま! 皆さん逃げてください! ここは危険ですから! カラスが羽とか飛ばしてきます!」


 交差点の真ん中に停まった電源車。フィアイーターの鳴き声は周りの人々にも聞こえたらしい。多くの人が、車の進行方向を変えたり車を乗り捨てたりして逃げていく。

 フィアイーターがそれを追いかけて来るなら問題だけど。


「おーい。こっちだよー」


 トラックの上に戻ったハンターが、自分の弓を構えてフィアイーターに向けて一発放つ。狙いは正確ながら、ドローンによって矢は弾かれた。


「トラックを貫いて、片方の羽の根本に当てさえすれば撃ち落とせるのにね」

「そうだな。レールガンさえ撃てればな」

「ハンター。発電機のコードを伸ばすからレールガンと繋げられるか見て!」

「ごめんなさいその暇が無さそうです!」

「フィー!」

「フィー!」


 澁谷のお願いを聞けないのは、大量の黒タイツが道路の向こうからやってきたから。


 トラックのフィアイーターに付随して生まれたものが、飛ぶ主を頑張って追いかけてきたんだろうな。

 しかも上空から、カラスが羽を飛ばしてきた。遠くからの攻撃ゆえに、確実にこちらに当たるとも限らないけど。


「そこ!」


 こっちにまっすぐ飛んできた羽の一枚を、ハンターが矢を放って落とした。

 自分たちだけじゃない。電源車も守らなければならず、発電機とレールガンの接続作業に魔法少女の手を煩わせるわけにはいかない。


「セイバー! 僕と一緒に黒タイツどもを片付けるぞ。ハンターは援護しながら、カラスの羽にも警戒してくれ!」

「えー。ラフィオ行っちゃうの?」

「すぐ戻るから良い子にしてろ!」

「はーい」


 電源車の屋根に座ったハンターが、膝でレールガンを抱えながらカラスに矢を放つ。奴の細い羽がドローンの警戒区域から出た瞬間に、当てて軌道を逸す。

 羽の方が一度に複数枚の発射ができるか故に、ハンターも全ては落とせない。けれどこっちに被害が出そうなのは的確に射落としていた。


 何もない道路や、無人の車の屋根に羽が刺さった。しかし被害者はなし。みんな避難してくれてよかった。


 隙を見てトラック本体を狙ったけれど、それはドローンの壁に阻まれた。

 上からの攻撃はハンターに任せて、ラフィオは手近な黒タイツに噛み付いて殺す。別の黒タイツが側面から迫って掴みかかってきたが、少年の姿に瞬時に変わることで体を小さくして回避。


「お前らの掴み方は隙だらけだ!」


 子供の姿で吠えながら、黒タイツの腹を殴ってバランスを崩させ、その上に乗っかりながら再度巨大化。

 急に質量を増したラフィオを黒タイツは支えられず、地面に押し倒されながら頭部をアスファルトに強打。さらにラフィオの前足が頭部を思いっきり殴りつけて、奴の息の根を止めた。


 黒タイツの攻撃パターンは、殴るか蹴るか掴みかかるしかない。たまに武器を見つけて持ってることもあるけど、素手で単調な攻撃をするのがほとんどだ。

 ほら今も。複数人で一気に体当たりを仕掛けてきた。


「動きが遅い」


 普通の人間よりも多少は動けて腕力があるという程度。鍛えた人間なら、黒タイツたちなら普通に勝てる。小さな妖精となって黒タイツの後ろに回って、大きくなって蹴り倒す。

 所詮は人間の動きの範疇だ。ついていくのは、ラフィオにとっては容易なこと。


「さすがだねー! いつも、つむぎちゃんとやり合ってるのを考えると、こんなのは遅いくらいよね!」

「そこ! うるさい!」


 光る剣で敵を次々に斬り殺しているセイバーに、からかい混じりに声をかけられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ