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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

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6-26.世間の反応

「このシステムについて、最初の発表の時から質問が多く来てるらしいわ。トライデン社はプレゼンで言った通り、web上で回答してる」

「質問って、例えばどんなのだ?」

「銃刀法についてはどう考えてるのかという質問が多い。回答は、それに対する言い訳。要約すれば、公共の福祉に繋がるのだから認められるべきみたいな内容ね」


 市民たちが気にするのはそこで、トライデンもそれを読み切って回答をあらかじめ準備していたのだろう。


「基本的に、ここの市民は銃の使用に難を示してるらしいわ。銃の存在自体もそうだけど、悪用されないか心配する声もあるわね」


 樋口が指差した質問。レールガンを盗まれて犯罪に使われることを懸念する内容だった。当然の心配だ。


 しっかり回答が書かれている。

 レールガンの警備は部隊の人間が厳重にやっている。それに、レールガン本体に決められたパスコードを打たないと操作できない仕組みになっているため、万一盗難に遭っても悪用はされないと。


「そういえば、レールガンの側面にタッチパネルがあった」

「一応考えてはいるのね。今度はこっち。心配する市民がいる一方で、無関係の市外の人間は、面白がってる節もあるわ。もっと過激な装備をつけたらどうだって意見も一部あるわ」


 樋口のタブレットに表示されたwebサイトを覗く。


 確かにあるな。盾のシステムは完璧と言うが、敵の侵入を妨害するだけでいいのか。ドローンにも銃を取り付けて積極的に迎撃すべきではないか。

 回答は一言だけ。今後検討していきます。


「これ、本当に検討するのか?」

「わからないわ。システムは今のままで完璧だから、付け加えることなんか無いって言うかもしれない。アップグレードは積極的にやるかもしれない」

「この質問と回答をわざわざ載せてるなら、やるかもなアップグレード」

「かもね。単に、銃が国内で使われることに積極的な国民もいるって主張したいために載せてるのかも」


 それはあるかも。政治家たちに、自分の行為は正しいアピールをしてるのかな。


 スマホでSNSを見てみる。どこもかしこもアメリカからやってきた最新兵器の話題でもちきりだけど、賛同者ばかりとも言えなかった。

 不安を口にする者。法律違反に憤る者。海の向こうの横暴な客に不満な者。

 世論は割れている。クローヴスは彼らを納得させることなどできるだろうか。


 テレビのクローヴスは、ひとしきり自分のシステムの有効性を語った後、次の話題に移っていった。

 来週の週末に、懇親会を兼ねたパーティーを行うと発表した。


 既にトライデン社と提携関係にある模布市の企業も多数出席。市長も出席すると約束をしているらしい。

 新たにトライデン社と仕事がしたいという企業や、市内の政治家や財界の皆も、出席したい者は招待するから連絡をしてくれと言っていた。


 部隊のお披露目もするという。実際に会社の素晴らしい技術を見せつけて、出資者や仕事仲間や政治的な後ろ盾をさらに得るのが目的か。


「どんどんやることが派手になってるわねー。調子に乗ってる」

「そうだな。パーティーで市の要人を抱きこめば、市内で好き勝手に活動できる。そんな狙いだろうな」

「ええ。困ったものね」

「パーティー、中止にできないか?」

「無理よ。警察にその権限はない。悔しいけどね」

「そっか」


 けど、なんとか邪魔したいんだよな。

 このまま、あの男に好き勝手させるのは嫌だった。


「もー! 悠馬ってば暗い顔しすぎよ! そんな難しいことばっかり考えてたら、陰気な大人になっちゃうわよ!」


 愛奈が俺の肩に手を回して抱き寄せてきた。

 そんな難しいことは考えてないんだけど。いや、既にだいぶ酒が回ってる愛奈にとっては、難しいことなのかも。


「ほら悠馬! お酌して! わたしのために!」

「やめてくださいお姉さん。ほら、わたしが注いであげますから!」

「えー。お姉さんじゃないし。なんかほら、女の子に注がせたらセクハラだって騒ぐ人もいそうで」

「いないでしょこの場には! てか、女の子がやって駄目なら男の子がやっても駄目なんです!」

「た、たしかに! じゃあなんでわたし、悠馬に注いでほしいのかしら……ええ、わかってるわ。悠馬のことが好きだからね!」

「当たり前のこと、なに深刻そうな顔で言ってるんですか!? ほら、お酒入れてあげましたから! 飲んでください! 飲め!」

「ぎゃー! 高校生がアルハラしてくる!」


 魔法少女たちは元気だ。


「わたしも注いでもらおうかしら」

「樋口、お前もか」

「言ったでしょ? 飲まなきゃやってられないのよ。犯罪者が堂々と振る舞ってるのに、政治とやらのおかげで手が出せない。正気じゃいられないわ」


 樋口は真面目に公安の仕事をしてるのだろう。だから現状を歯がゆく思っている。


「これで、奴らが魔法少女陣営と全面的に協力するって言うなら我慢もするわ。けど、そうじゃない。あなたたちも、クローヴスには悪い印象しかない」

「……そうだ」


 樋口が傷ついているのは、俺たちのためでもあるのか。俺たちがクローヴスを好きではないなら、対策しないといけない。なのに、できないでいる。

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