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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

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6-21.武装集団とサブイーター

 そしてキエラ自身は獣の姿に変わり、倉庫のひとつの屋根に飛び降りて様子を伺った。


 人間たちの労働時間も終わり始める頃。物を置く場所に人気はあまりないが、こんな場所でも管理する人間はいるわけで、彼らはフィアイーターの咆哮に泡を食って出てきて通報を始めた。


 それから、倉庫街の一角が慌ただしくなった。

 突如として倉庫のひとつのガレージが開いて、大勢の歩兵を伴ったトラックが出てきた。あれが対フィアイーターの特殊部隊。潜伏場所はあの倉庫か。


「フィー!」

「フィー!」


 サブイーターたちがトラックの方へ殺到していく。それに向けて、兵士たちが銃を構える。

 この前持っていたライフルとかいう大きめの銃ではないな。拳銃、だっけ。あれも持っていたんだ。


「戦闘員の排除、開始」


 指揮官らしい人間の声が聞こえる。みんな顔を隠しているから、誰が話してるかはキエラにはわからない

 戦闘員か。黒タイツよりは格好いい呼び方。ティアラもサブイーターのアイディアを話すとき、この言葉を使ってたし。


 兵士たちは拳銃で確実にサブイーターを殺していく。次々に狙いをつけて、一発で仕留めて次に移る。兵士の数も多いため、サブイーターは急激に数を減らしていく。

 なるほど、動きはいい。相当訓練したな。弾の無駄遣いもしていない。


 サブイーターを作るのにも恐怖がコストとして必要だし、奴らからは全く恐怖が得られていない。恐怖収集としては損ばかりしてる状況なのは辛いけど、仕方ない。今は耐えるときだ。


 上空にはフィアイーターが飛んでいる。それを、あのムカつく男が盾と表現していたドローンが警戒していた。

 それからレールガンだっけ。あれもフィアイーターを狙っている。


 サブイーターはあっという間に全滅してしまった。


「ふん。あれくらい、ラフィオたちならもっと早く倒してるわよ。銃無しで。人数もずっと少ないし」


 考えなしに正面から突撃させたんだ。簡単に全滅してしまうのは当然。それを素晴らしい部隊だと誇るのは癪だ。


 キエラは、ラフィオをたぶらかす魔法少女たちが嫌いだった。けど、目の前の兵士はもっと嫌いだ。


 レールガンの発射準備も進められている。フィアイーターはキエラの指示で、空高くを舞っていた。大型とはいえ、距離があれば小さく見える。当てられるのかな。

 当てる気でいるらしい。レールガンが角度を調整している。お手並み拝見といこうか。人間だけの手で、本当にフィアイーターを殺せるつもりなのかと。


 ところが、ここに新手が来た。


「ラフィオ! あれ! 鳥さん!」

「ああ! また飛ぶフィアイーターだ!」


 ラフィオと、彼にいつもベタベタ触っているムカつく青い魔法少女の声。

 愛しのラフィオと愛を語り合いたい気持ちはあるけど、残念ながら今は見つかりたくない。小さな妖精の姿に変わって隠れた。



――――



 上空高くを飛ぶ、黒い鳥のフィアイーターを、俺はラフィオの背中でしっかりと確認した。


 あれはカラスか? 距離があるから大きさの判断がつきにくいけど、かなり大きい。カラスのフィアイーターは前にも戦ったことがあるけど、それよりも数段大きく見えた。


「ハンター、とりあえず目測で矢を放ってくれ」

「はーい」


 俺の指示に従い、ここに来る間に家々の明かりや薄暮の空から集めた光を矢に変えて、ハンターが空に向けて放つ。

 狙いは正確。けれど距離感がわからなかった。思ったより距離があるらしく、放ってから当たるまでに時間があり、それはフィアイーターが目視で回避するには十分だった。


「避けられました!」

「そうだな。降りてこない限りは攻撃できないか」


 焦ることじゃない。向こうも恐怖を集めるためには降下しないといけない。前に出た同じ個体は羽根を飛ばす攻撃をしてきたけど、それもあまりの高高度からだと当てられないだろうし。


その時になれば可能な限り接近して、今度こそ避けられない矢を放てばいい。

 羽を射抜いて飛行能力を奪えば、ライナーたちに手伝ってもらい、倒してもらおう。セイバーの姿はまだ見えないけどすぐ来るはず。


「早速降りてきたぞ。しかもこの近くに来ようとしてる」


 ラフィオがフィアイーターの様子を見て、その着地地点を予想しながらそっちに走っていった。倉庫の屋根から屋根を軽快に飛び移る。

 俺とハンターはしっかりラフィオに掴まりながら、フィアイーターの動きに目を向けていた。


 すると。


「ラフィオ! 前! 危ない! 奴らがいる!」

「!?」


 ライナーから警告の声。


 倉庫と倉庫の間の道に、トラックが二台。あの特殊部隊か。奴らに先を越されることは予想していたけれど。

 黒タイツの声も、そういえば聞こえない。特殊部隊が既に排除したということか。


 ラフィオも止まろうとした。けど、どうやら既に奴らの陣地に入っていたらしい。


 ドローンが一体やってきて、ラフィオの体を横から押してくる。俺の足にもチタン製プレートが当たってひんやりとした感触がした。


「おい! こら! うざい! 離れろ! フィアイーターがそっちに来るんだ!」

「フィアアアアァァァ!」

「ああもう!」


 ラフィオがドローンのプレートの上の縁に前足を乗せ、屋根に押し付ける。


「お前ら! フィアイーターと戦ってくれるのは嬉しいが、僕たちの邪魔はするなよ! 協力したいって言うなら連携を取る努力をしろ! 話し合いの窓口を用意しろ! あとフィアイーターがお前らのところに来るからちゃんと仕留めろよ!」


 この部隊には寛容な姿勢を見せていたラフィオだけど、邪魔されれば癪に触るらしい。

 結局、とどめを刺すのは魔法少女にしかできないから。フィアイーターが奴らの陣地に来るなら、魔法少女も入れなきゃいけない。それを防がれたら、怒りもするよな。

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