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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

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6-20.3つの陣営

 代わりにラフィオが小さい妖精の姿になりながら、つむぎの肩に飛び乗った。


「つむぎ。お前が風邪ひいた後、親から連絡はあったのかと遥は気にしてるんだよ」

「そっか! 遥さんご心配をおかけしました!」

「う、うん。元気になって良かったよー」

「それでつむぎ、どうだい? ご両親からの連絡は」

「あったよー。仕事が忙しくて、一緒にいれなくてごめんねって。風邪ひいた夜にお母さんから電話がきた」


 ラフィオを掴んで手の中でモフモフしながら話す。

 常識的な内容だ。仕事に関する情報は、忙しいということだけ。


「ぐえー」


 ラフィオがモフられすぎて、苦しそうな声をあげている。頑張れ。


「つむぎの親って、なんて会社で働いてるんだっけか」

「ビューテックスって会社で、なにかの研究してるらしいです!」

「そうか。確か有名な企業だよな」

「んー。そうなんでしょうか」


 親の会社の名前くらいは知ってるか。それ以上はわかってないらしいけど。


 そういえば、先日のクローヴスのプレゼンで、そんな名前の企業のロゴが真っ先に掲げられてた気がする。

 調べれば、俺の記憶は正しかったと判明。コントラディクションシステムの、まさしく中枢技術にして協力企業の筆頭か。


 それは、警察からの取り調べも真っ先に行われるだろう。樋口がいかに止めるかにかかってるけど。


 つむぎ自身は、親に危機が迫っていることを知らないらしい。

 そういえば彼女は、クローヴスのプレゼン映像すらまともに見てなかったな。ラフィオの方ばかりに目を向けていた。


 危機感がなさすぎるという気もするけれど、心配ごとがないなら結構なことだ。

 あとは樋口が頑張って、両親が罪に問われないように事態を切り抜けるだけ。それが一番難しいのだけど。



「ぐえー! つ、つむぎ! 離せ!」

「えー。やだ! モフモフしたい!」

「違う! そうじゃない! フィアイーターが出た!」

「えっ!?」


 唐突な宣言とほぼ同時に、俺のスマホも鳴り出した。


「わーっ! ちょっと待って! 今料理中なんだけど!?」


 キッチンからも慌てた声が聞こえてきた。


「中断できそうか?」

「うん、ちょっと待っててね! ラップして冷蔵庫に入れて、よし行こう! 愛奈さんへの連絡は!?」

「勝手に来るだろ。場所はどこだ!?」

「工業地帯の倉庫街だ」

「ということは、愛奈が先に到着するかな」


 行くことも多いって言ってたし。会社の所在地からもそう遠くはないのだろう。


「急ごう。奴らに手柄を横取りされたくはないのだろう?」


 巨大化したラフィオが、乗れとばかりに姿勢を落とす。


「僕としては、人間が対抗手段を持つこと自体はありだと考えているのだけどね」

「そうか。信頼できる奴ならな」

「ああ。君たちの意志が優先だ」


 俺とハンターを載せたラフィオが、敵のいる方向まで駆けていく。すぐ後ろをライナーがついてきている。


 初夏の、日の入りの遅い時間帯の空はまだ明るい。人に迷惑をかけないよう、屋根から屋根を跳び移っての移動。

 あのクローヴスなる人物が売り込んでいる部隊に、先を越されたくないのは事実。けど、倉庫街か。


 樋口が言っていた。あの部隊は、まさしくその倉庫街に隠れているのではなかったか。だったら、部隊の方が先に現場に着くことになる。

 これは偶然なのだろうか。



――――



 なんたる幸運。怪物が出た場所が、偶然にも部隊の潜伏場所だと知ったクローヴスは、ホテルの部屋で雄叫びをあげた。

 妻役の女がうるさそうにうめき声をあげたが、知ったことか。


 魔法少女の助力がなくても、怪物を殺すことができると世間に知らしめる絶好の機会だ。お披露目してから二回目にしてこのような偶然に助けられるとは。


「いいか。絶対に、魔法少女どもが来る前に始末しろ。ああ、個人携行の銃の発砲も許可する。急げ! おい、記者会見の準備だ。ホテルの会場に記者を集めろ!」


 各方面に矢継ぎ早に指示を出しながら、クローヴスは高級スーツに着替えた。



――――



 その少し前。倉庫街にキエラは立っていた。


 ティアラは本当にすごい子。あの鏡でネットを使えるようにしたところ、たちどころに使い方をマスターした。


 ネットのあちこちに溢れる膨大な、意味のない情報。その中から必要な情報を見つけ出してくれた。


 話題になったあの部隊のトラックが隠れる場所を見つけたという書き込みがあった。倉庫街ならたしかに、大きな武器を隠すのにぴったりだ。

 あまり盛況ではない匿名掲示板の書き込みを見つけてくれるなんて、さすがだ。

 というか、普通の車の速さで公道を通って去る相手なんて大衆に補足されてしまうのは当然かな。

 ラフィオたちを見習えばいいのに。未だに彼らの拠点を誰も見つけられないのだから。


 所詮、人間の力はその程度なんだ。それが、このフィアイーターに対抗しようなんて浅ましい。



 さすがに、このたくさん並んでいる倉庫のどこに潜んでいるかなんか知らない。それは今から確かめる。

 持ってきたのは、カラスの死骸。このためにわざわざ殺して作ったもの。前にも作ったことのあるフィアイーターだ。

 それにコアを入れながら、少し削ってサブイーターも作り出す。


 空を飛ぶカラスと飛べない戦闘員では連携がとれずに苦戦するだろうけど、別に構わない。

 元々のカラスの死体よりもかなり大きなフィアイーターが出来上がる。それこそ、上に人を何人も載せられるようなサイズ。それが地面に大きな影を落としながら舞い上がった。


「フィアアァァアアァア!!」

「ええ。行ってきて。派手に暴れてきて!」

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