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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

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6-15.誰かが関わっている、かも

「あんたが愛奈たちに慕われる理由、わかるわ」


 俺に身を預けながら樋口が言った。


「いきなりなんだ」

「頼りたくなるのよね、あなた」


 なんでそうなるんだ。あと胸を押し付けるな。酒臭い。


「面倒見がいいのよ」

「……良くはないだろ」


 俺、相当雑な性格してるぞ。家事もできないらしいし。手間を掛けるのを避ける特徴は自覚している。

 自分に対してもそうだし、周りに対しても同じだ。


「ええ。雑に生きてるのは確かね。でも、親しい人を見放したりしない。いい人よ、あなたは。その性格も、頼ろうとするのに遠慮がいらないのがいいわね」

「褒めてるのか?」

「褒めてるのよ。変な人ばかりの魔法少女のチームの中で、それを支えるあなたも変な人。けど、頼りたい変な人」


 褒められてるとは思えないんだよなあ。


「わたしも、あなたみたいな弟がほしかったわ。そこは愛奈に、ちょっと嫉妬するわね」

「樋口にはきょうだい、いないのか?」

「秘密……いえ。いないわね。一人っ子よ。家族も少ない。実に公安向きの仕事でしょ?」

「それは知らないけど」

「ふふっ。愛奈のこと、もっと甘やかせなさいね。時々は、わたしも」


 酔ってないと、それから仕事のストレスに押し潰されてないとこんなこと言えないのだろうな。

 普段から国家のために奮闘している樋口は、愛奈よりは肉づきが良くても、やっぱり近づけば細くて折れそうな体をしていて。


「わかってるよ、そんなこと。ほら、車で寝てろ」

「うん。あの男について、わかったら連絡するわ……」


 今は、少しだけ夢見心地の中にいてほしかった。




「なるほど。それは大変そうだね。けど、僕たちの味方にもなり得るのはいいんじゃないかな」


 昼休み。剛も昨日のプレゼンテーションは見ていたようで、俺と遥の所に来ていた。


「まあ、味方してくれるならいいんですけどね。実際、昨日は助かりましたし。けど、なんか怪しいっていうか」

「見たことのない技術が受け入れられるまでは、時間がかかるものだよね」

「それはそうですけど。ちなみに、先輩の会社はあの特殊部隊に関わったりしますか?」

「名前は出てこなかったよ。たぶん、あのトラックにはうちの会社の部品も使われてるだろうけど。あれはトラックを買って改造しただけだろうからね」

「そうですか! 良かったです。樋口さんが取り調べるって言ってたので!」

「それは怖いね」


 遥と剛は、元は部活の先輩と後輩。気心が知れてるといった感じで話している。


 剛の親は、大手の自動車部品メーカー。愛奈もあの企業リストに取引先があったと言ってたし、直接の関係はなかったとしても無関係とも言えない。

 この学校にも、家族があの兵器製造に関わっているという生徒はいるだろう。ものづくりの街なのだから、誰もが無関係ではいられない。


「そういえば、遥のお父さんはなんの仕事をしてるんだ?」

「商社の営業だよー。だから、クローヴスさんの兵器とは無関係です!」

「そっか。まあ、関係ないのが一番だよな」

「だよねー。まあそんなこと言うと、友達のお父さんが逮捕されました! なんてことになって気まずくなっちゃうんだけどねー」

「ああ。奴の狙いはそこか」

「え?」

「クローヴスが銃刀法違反を堂々としてながら、捕まらない自信がありそうな理由だよ。まあ、実際には取り調べは受けるし逮捕もされるかもしれないけどさ」

「悠馬は、なにか理由を突き止めたのかな?」

「突き止めたっていうか、ただのイメージだけど」


 だから、自信満々に話すのも気が引ける。でも遥も剛も気になるみたいな目をこっちに向けていた。


「大したことじゃない。向こうはイメージを大事にしてるんだ。常識では考えられない存在に脅かされる街を守るために、颯爽と現れた正義のヒーローみたいな立ち位置に、自分を見せている」

「なるほど。ミラクルフォースやトンファー仮面を捕まえようとする警察はいないもんね!」

「それは、そういうフィクションの世界だって設定なのが大きいとは思うけど。この世界には警察がいる」


 けど、似たようなことをしたいって目論見はあるはず。


「実際に逮捕者が出たら、それで悲しむ家族をマスコミなんかが取り上げるのだと思う。それで世間の同情を買って、警察組織に圧力をかける」

「世論ってやつに、警察が負けるかな?」

「負けなくても、世間の支持があれば活動はしやすくなるだろうさ。警察には効かなくても、選挙の結果を気にする政治家には効く。そして政治家は警察に圧力をかけられる」

「あー。昨日樋口さんも言ってたねー」


 それがクローヴスのやり方だ。

 今の時点で、政治家連中に根回しはしてるだろうし。


「となると、クローヴス氏は次に何をするのかな? 誰かが逮捕されるのを待つ?」


 剛は、そんなことはないと確信しながら尋ねた。

 だよな。受け身の行動に始終する奴ではなさそうだ。


「自身も幸せな家族を持っているアピールをするだろうさ」




『怪物対策の部隊の設立を発表した、トライデン社のケンゴ・クローヴス氏が本日午後、街頭に立ち演説を行いました。クローヴス氏は市民に、模布市の街と市民を守るための重要性を訴え、沿道には市民が――』


 その日の夜のニュースで早速クローヴスが動いている様子が伝えられた。

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