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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第6章 新装備、新フォーム

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6-8.謎の武装集団

「ちょっと! 降りてきなさいよ馬鹿!」

「フィアアアァァァ!!」


 敵が再び降下。別の家の二階に迫っていく。さっきの家とは少々距離があるから、セイバーも走って追いかける。屋根から屋根に飛び移って、鉄のハトが向かう家のベランダに先回りして。


「あ、逸れた」

「ちょっと!?」


 フィアイーターは微妙に軌道を修正して、隣の家に飛び込んだ。やはりガラスを突き破って、中で暴れまわる。そしてセイバーが駆けつけた頃には脱出して空にいる。


「ヒットアンドアウェイにしても姑息だな」

「ねー。お姉さんじゃ捕まえられないよ、あれ」

「ライナーの足ならいけるか? それか、ふたりで別方向から追い詰めるとか」

「やってみるけど、難しいかも。急に進路を変えられたり、上に逃げられたりしたら無理」


 昨日のつむぎと同じだ。楽々上に上がれるフィアイーターが、こちらの攻撃を食らう可能性は低い。


「なんとか飛び道具があればいいんだけど」

「警官から拳銃を借りるとか? あるいは高校の弓道部に協力をお願いするとか」

「冗談で言ってる……わけじゃないんだよね」


 最悪の場合、そうしないといけないだろう。現実的なのは警察かな。この県にも重武装の特殊部隊みたいなのはあるよな。とりあえず樋口に相談するか?


「ちょっと! そこのふたり! あんたたちも協力しなさい! あ! 待って家から出ないで! 今のところ一階にいたら安心ですから! 外は危ないです!」


 周りの家々から、避難していた住民が何人か出てき始めた。怪物が屋内に入り込む様子を見たのだろう。ならば逃げ場が確保できる外にいるべきという判断をする者がいてもいい。

 けど、そんなことをしたら。


「ライナーあそこだ!」

「っ! わかった!」


 フィアイーターが無防備な市民のひとりに急降下して襲いかかろうとした。幸いにして、その市民は俺も視認できる範囲にいて、ライナーをダッシュで先回りさせることに成功。

 敵はといえば、奇襲が成功しないと見るや再び上昇。自分の安全が最優先なのは徹底しているな。


 次もうまく行くかはわからない。空から俯瞰して状況を見られるフィアイーターが、建物の陰なんかで俺たちからは見えない犠牲者を狙うかも。そうなればライナーでも駆けつけられない。


「ほらー! だから、家の中の方が安全なんです! みんな戻って! ほら早く……なにあれ?」


 市民に呼びかけようとして、まったくできてないセイバーが何かを見つけた。俺やライナーも、すぐに異変に気づく。


 最初に聞こえたのは車の走行音。怪物が出ているからマイカーで逃げようなんて馬鹿な市民は、そろそろいなくなったと思いたい。襲われたら逃げ場がないから。

 しかも、普通の乗用車ではなさそうな音だ。それなりにサイズのある、これは。


「トラック?」


 住宅街の比較的太い道に、引越し業者が使ってるような大型トラックが二台、止まる。市民たちは何事かと遠巻きに見つめていた。フィアイーターもまた、脅威になるものかと上空で観察している。

 トラックは白一色で、形状以外に一切の情報がなかった。


『これより、この地域での戦闘行為を始まります。市民の皆様は速やかに避難してください』


 トラックに備え付けられているらしいスピーカーから、女の声が聞こえてくる。機械音声にも聞こえる無機質な声。直後、トラックの荷台が開き、一台あたり十人ほど。計二十人ほどの人間が出てきた。

 ライフルと思われる銃と、防弾チョッキ。さらに頭部には顔が隠れるヘルメットを被った重武装の兵士だった。


 銃を持っている集団に、住民たちは怯えたような表情を見せて再び屋内に戻っていく。


「悠馬。これって」

「わからない。様子を見よう。樋口にも映像を送る」

「うん。わたしの後ろにいてね」


 ライナーが庇うように俺の前に出た。近くの家の屋根の上で、セイバーも戸惑いながら、武装集団とフィアイーターそれぞれの警戒をしている。

 俺はスマホを出して、樋口にビデオ通話で状況を見せていた。樋口からは一言、知らないとだけ帰ってきた後は映像を注視しているのだろう。


「これより状況を開始する。構え!」


 指揮官と思しき者の声と共に、集団が上空のフィアイーターに向けて銃を構えた。


 銃ではフィアイーターは殺せない。傷つけることはできるかもしれないけど、銅の体を持つ相手だからそれも怪しい。


「コントラディクションシステム、起動」


 また指揮官の声。すると、片方のトラックの荷台の屋根から何かが複数個浮かび上がってくるのが見えた。


 全部で五台。

 四つのプロペラで動く、円盤型のドローンなのは一見してわかった。そのプロペラの数が多いゆえに、直径が一メートル弱ほどある大きめのもの。

 そして側面を、金属の板で囲っていた。


 板と言っても湾曲している。ドーナツ状と言うべきかな。。

 高さは三十センチほどだろうか。縦に積めば、大型トラックの中に五台乗せた上に人を輸送してもまだスペースはあるか。


 もう一台のトラックの荷台からも、何かがせり上がるように出てきた。

 巨大な銃に見えた。全長が成人した男の背よりもさらに大きく、トラックの天井に固定しなければ扱えないような巨大なもの。


 それでも、大砲とかの表現をするのも違う気はした。やたら大きいながらも引き金がついているし、長い銃身の出口である口径は普通の銃とそう変わらないように見える。目で狙うためのスコープもついている。

 とてつもなく巨大な狙撃銃に見えた。


 ただ、台座でトラックの屋根に固定されているのは事実。荷台の中に続いているいくつかのケーブルも見えたから、普段はトラック内部に収納されて、荷台の中で動作の補助をしているのは間違いない。

 実際に引き金を引くのは、銃の傍らに控えている、やはり武装してヘルメットを被った人間だとしても。

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