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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第5章 己の属性と向き合う話

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5-31.公安はとても便利

 御共家に本当に問題が無いかは別の話だ。本人が気にしてないから、今は些事だな。


「教師は簡単にはクビにできないぞ」


 生徒に手を出すとかしたら別だけど。あいつは何もしない種類の男だから。


「えー。そっかー」

「お前は、中学に上がったら制服がスカートになることを心配してろ」

「えー! やだ! 魔法少女の時以外スカート履きたくない!」

「魔法少女の時はいいのか」

「よくないけど、ラフィオがそうして欲しいって作ったから……」

「お前に着せたくて作ったんじゃないからな。それより手を離せ。夕飯を作らないといけないんだ」

「えー」

「……一緒に作るか?」

「うん!」

「つむぎって料理できるのか?」

「プリンを作れるくらいだぞ。教えれば出来るようになっていく。僕から離れたがらないからね。時々、一緒にキッチンに立つことはある」

「マジか」

「愛奈が、あの家で焼き肉がしたいと言った時とかだ」

「たしかに一緒にいるけど。お、俺だって料理くらいは」

「できないだろ、君たち姉弟は」


 そういう評価を遥からもされている。悔しいが、どうやら俺の家事スキルは小学生女子にも負けているらしい。

 いや、つむぎも家でひとりで過ごすことが多かったんだよな。意外に生活能力はあるのかも。


「それより悠馬は、遥のために動いてやれ」

「頑張ってください、悠馬さん!」

「あ、ああ。わかった」


 ちびっ子たちに促されて、俺は今できることを考える。遥は、後で電話すると言ってた。こっちからアドバイスを送るのは、それを待った方がいい。

 なら、今できることは。


「なあ樋口。調べてほしい人がいるんだ」

『あなた、公安のことを興信所か何かかと思ってないかしら?』

「探偵事務所って言った方が格好いいと思うぞ」

『うるさいわよ。そういう認識だって白状したわね。あと、民間企業なんかと一緒にしないで。調査能力はこっちが上よ』


 なんの対抗意識だよ。


「その調査能力で、やってほしいんだ。頼むよ。遥の家の一大事なんだ」

『……わかったわ。話だけなら聞いてあげる』

「助かる。遥がテレビの取材を受けているのは知ってるな? 実は――」


 さっきあったことと、坂本更紗という少女についての知っているだけの素性。そして彼女の家庭環境なんかを知りたいと伝えた。


『なるほどね。それを知って悠馬はどうするつもりかしら?』

「それを決めるのは俺じゃなくて、遥だ。けど材料は多い方がいい」

『人の手助けのために格好いいこと言ってるつもりでしょうけど、それじゃあ決断する責任を他人に丸投げする人の言い方よ』

「そうか?」

『あなたも当事者なの。公安まで使って首を突っ込むなら、自分の責任で動きなさいな』

「わかってるよ。遥の家の問題だけど、俺も既に十分すぎるくらい関わってるんだ。首どころか全身突っ込んでやるよ」

『まったく。とりあえず調べてあげるわ。ちょっと期間をちょうだい』

「ありがとう。頼りにしてる」

『はいはい。得られた情報をどうするかは、あなたたちで決めるのよ。個人の諍いに国家権力を持ち出すのはやめなさい』


 そんな忠告を受けながら、電話を切った。

 わかってるとも。


 ややあって、愛奈が風呂から出てきて。


「ねえ悠馬。お酒」

「はいはい」

「ふふっ。今日は素直に持ってきてくれるのね」

「姉ちゃんも飲まなきゃやってられないだろ。飲みすぎを許す気はないからな」

「えー」

「愛奈さんどうぞ。この生姜焼き、わたしが作りました!」

「え? つむぎちゃんが?」

「教えたら、意外に器用にこなせていたぞ」

「わ、わたし。もしかして、魔法少女の中で一番家事ができない女なの?」


 小学生に負けた事実に、愛奈も驚愕している様子だ。


「このショックの受け方、悠馬そっくりだな」

「さすが姉弟ですねー」

「ゆ、悠馬! このままでは駄目よ。わたしたちも料理しないと」

「いやでも、そもそもラフィオに家事をしてもらう代わりに、魔法少女の戦いに協力する約束だろ?」


 遥やつむぎは、個人的な願望で料理してくれてるわけで。俺たちがそれに続く必要はないのだけど。


「それはわかってます! わたしも料理とかする気はありません! 仕事でいっぱいいっぱいです!」


 それはそれで情けない言い方だ。無い胸を張って言うな。


「けどっ! これは個人的なプライドの問題なのよ! 人として、ちょっとした手料理くらい難なく作れて、その上で作らない余裕みたいなのを、大人の女として身につけたいの」

「つむぎ、こんな面倒な大人になるんじゃないぞ」

「はーい」

「というわけでラフィオ、キッチン借りるわね。というかわたしが家長だし、勝手に使うわよ!」

「おい。やめろ。僕の領域に入るな。絶対に散らかるからやめろ。悠馬も止めるんだ」

「お、遥から電話だ。出てくる」

「悠馬ー!? しかたない! おい愛奈! 酒持ってくるからおとなしくしてろ!」

「お酒!? しょーがないわねー。今日のところは勘弁してあげるわ!」

「プライドはどうした。あと、飲みすぎるなよ」


 この食卓にいたら、騒がしすぎて電話どころじゃない。部屋に戻らせてもらおう。


 制止役がラフィオとつむぎだけなのは少し不安だけど。また、包丁を振り上げて野菜を一刀両断でサラダを作ろうとしかねないから、ラフィオたちには頑張ってもらわないと。

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