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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第4章 偽物

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4-36.目覚めたら病院

 フィアイーターの腹に大きな裂け目を作って中を見る。そこにコアは見つからない。だったら可能性があるのは。


「頭だな」


 直前にハンターに頭を射抜かせたのは、そこに傷を作るため。ラフィオはまだフィアイーターの頭部に刺さっている矢を掴むとグリグリと動かして傷口を広げていく。

 フィアイーターは当然抵抗するけど、ハンターが上から次々に矢を射る。肩や股や、頭頂部のチューブと地面が矢で縫い付けられていく。


 広がった傷口に手を入れて、奴の顔面を引き裂く。すると。


「あった! チューブの付け根だ!」

「うん!」

「ライナー! そっちのコアも頭にあるかもしれない!」

「わかった! けど! うわっ! 起き上がろうとしてる!」

「今行く!」


 ライナーがヘルメットの方の頭を蹴り、ベコベコに凹ませながら裂け目をいくつか作っていた。その間にフィアイーターは自己修復をある程度行ったようだ。

 手足の矢がいくつか抜けて、よろよろとした動きながら起き上がろうとした。


 そいつの上に、ラフィオが飛び乗りながら阻止。ラフィオの上のハンターは、下が動いているにも関わらずチューブの方のコアに性格な狙いをつけて射抜いていた。

 ラフィオはさっきと同じように、ヘルメットの裂け目に手を入れてこじ開ける。金属製な分、力は必要だったけど。


「あった! とりゃー!」


 やはり頭頂部近くにコアを発見。ライナーが光る足で思いっきり踏み抜いたことで、砕けた。


 フィアイーターが、元の……なんだろう。ラフィオがよく知らない、不気味な姿の人形に戻っていく。


 これ、壊れたから不気味なのか? いや、それ以前の問題な気がする。


「潜水服壊れちゃいましたね。これ、水族館の人にお願いしたら直してくれるかな?」

「直してほしいよねー。怖いけど、無いと物足りないっていうか」

「そうですよね!」


 だから。こいつらはなんで、この不気味な人形に愛着を持ってるんだ。


「悠馬! 悠馬大丈夫!?」


 セイバーの声が聞こえて、ラフィオたちははっとしてそちらに向かった。


 悠馬は地面に倒れたまま。セイバーが必死に声をかけている。


 謎の赤い魔法少女は、いつの間にか姿を消していた。



――――



「お姉さん不器用すぎませんか!? もういいのでわたしに代わってください!」

「嫌です! わたしがやるの! お姉ちゃんだから! あと遥ちゃんのお姉ちゃんではありません!」

「うるさいですお姉さん! りんごの皮剥きくらい当たり前にやってくださいよ!」

「あ、当たり前にやってるわよ! わたしを誰だと思ってるの!? 魔法少女シャイニーセイバーよ? 剣で戦ってるのよ!?」

「剣で叩き切るぐらいしかしてないでしょ! キッチンナイフはもう少し繊細なんです! てか、セイバーなら最初にリンゴを八等分に切ってから剥いてくださいよ! その方が楽だから!」

「やだやだ! 丸いまま剥いた方が格好いいの!」

「あれは! 上手い人しかやっちゃいけないんです!」


 目覚めた瞬間、こんな会話が延々と聞こえてきた。


 うんざりするけど、同時にほっとしている。


 俺はまだ生きているんだな。


 俺にリンゴを食べさせるために、愛奈がナイフで皮剥きを試みているのはわかる。彼女の手には、所々白い果肉が僅かに露出している真っ赤なリンゴ。

 この手の作業を愛奈に任せる方が間違いだ。


「ふたりとも。そこまでだ。悠馬が起きたぞ」


 ラフィオの声。周りを見れば、俺のすぐ横にいる愛奈と遥の他、正面につむぎとラフィオ。そして少し離れた所に樋口も立っていた。


 そして、ここは知らない部屋だった。雰囲気から病院なんだろうとは思う。しかも個室。


「悠馬! 良かった! 本当に!」


 俺が起きたとわかった途端、愛奈はリンゴを放り投げて俺に抱きついた。

 細い腕が、俺を決して離すまいと強く締め付ける。


「ごめん、心配かけた。油断しちまった……」

「ううん。違う。悠馬は悪くない。あの岩渕とかいう奴が悪いんでしょ? 勝手にしゃしゃり出て、敵を殺せもしないのに悠馬の近くで暴れて」

「……どうかな」


 それもあるのかも。けど、俺自身の問題でもある。


 魔法少女でもない、ただの人間がどうして、危険な怪物を相手に戦っているのか。

 先輩との会話で生じたその疑問に、俺は答えを出せなかった。その悩みに気を取られていないと、言い切れるだろうか。


「というか姉ちゃん、先輩のこと教わったんだな」

「まあね。素性を知ってて、知らないですとは言えないからねー」


 愛奈の背中を撫でながら尋ねると、返事をしたのは遥だった。


 投げられたリンゴをキャッチして、ナイフで器用にスルスルと皮を剥いていく。赤い皮がヘビのように細長く連なっている。本当に器用だな。


「詳しい話はこれから聞くけどね。とりあえず、名前と年齢。素性は知っておきたいのよ。見つけなきゃいけないから」


 樋口が俺のベッド脇までやってきて座る


「見つける、か。逮捕でもするのか?」

「必要ならね。彼は魔法少女や覆面男の正体を知った。彼の目的は不明。調べるのは当然よ。魔法少女の正体を世間に公表するなんてことになれば、あなたたちも困るでしょ?」

「それは……そうだな」

「悠馬! 今は自分のことだけ考えてて!」

「……考えなきゃいけないほど、悪いのか? 俺が気づいてないだけで、本当はものすごい大怪我したとか」

「ないない! どこも異常ないって」

「そ、そうか。とにかく、状況を教えてくれ。俺がやられた後、何があったか」

「もー。悠馬ってば休むことを知らないんだから。いいわ。ええっと、何から話すべきかしら」


 一同、顔を見合わせて。


「あの潜水服は、わたしとラフィオで水族館に返しました! ちゃんと直せますかって聞いたら、頑張りますって言われました! 水族館のシンボルを壊れたままにはしないって!」


 つむぎが最初に答えた。ああ、重要なことだな。兄貴の思い出だし。

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