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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第4章 偽物

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4-25.シャイニーセイバーのテレビ出演

 ついでに言えば、ここは自宅マンションではなく、樋口が用意した一軒家だ。そこのリビングにテレビを持ち込んで、床に描かれた魔法陣を踏まないようにしながら、それぞれ椅子に座ったり床に座ったり。

 用意した夕食と、成人たちは酒も嗜みながらテレビを見つめていた。


 愛奈のテレビデビューをみんなで見るためだ。


 話してる内容は、警察と政治家のお偉方が望んでいる通りのもの。

 悪意を持って魔法少女と覆面男の格好をするな。怪物が出たと言われた時も、落ち着いて自分のスマホを確認して冷静に判断しろ。

 局が用意して樋口も監修した原稿通りの内容だ。


「やっぱり緊張してるわねー。普段はあんなに馬鹿やってるのに。やっぱりテレビカメラって緊張するものなのかしら」

「いえいえ。愛奈さん、堂々としてましたよ。普通はもっと緊張するものです」

「そうですねー。さすが先輩。言うべきことは言えてる。やる時はやるんですね!」


 魔法少女シャイニーセイバーのコメントが流れ終わり、スタジオのコメンテーターが色々話し合う段階になると、樋口と澁谷と麻美がそれぞれ感想を口にする。

 既に酒が入っているから、遠慮がなかった。


「あうう……我ながら恥ずかしい……」

「姉ちゃん。それはわかったから、さっさと離れてくれ」

「やだ。なんでこんな、繰り返し流れるの……」


 愛奈はどこまで本気で恥ずかしがっているのかわからないけど、椅子に座っている俺の背中に顔をうずめていた。


 昨日の夕方にテレビ局で映像を収録して、今は翌日の夜。

 ローカル局が夕方の地元密着型の番組をやる時間は終わってゴールデン帯に入り、一時間枠のバラエティを挟んでから全国ネットの報道番組の時間だ。


 夕方に模布市のローカル番組で流れた後に、キー局に映像が提供されて全国で流れているというわけだ。


「ううっ。テレビ出るってこんなに恥ずかしいものなんだ」

「もう終わったことだし、姉ちゃん失敗もしてないだろ」

「してないけど……魔法少女の格好でテレビ局入る時点でだいぶ恥ずかしかった」

「あー。それはな」


 俺たちの正体は、テレビ局の中でも澁谷と数人のスタッフ以外に知られてはいけない。

 故に、俺たちは澁谷運転する車でテレビ局に入りながら、車内で変身した。俺は覆面を被るだけでいいし、愛奈はブローチを持ちながら叫ぶだけでいい。簡単なことだ。


 なのに、緊急事態でもないのに人が見てる中で変身するのが、愛奈には恥ずかしかったらしい。


 その後、俺とセイバーとでテレビ局に入った。

 すれ違う関係者に注目され、挨拶されたり応援してますと声をかけられるのにも社会人としての矜持でなんとか対応していたけれど、それも後になって恥ずかしさがこみ上げてきたという。


「成人が。いい大人が。こんなヒラヒラな格好して人前に出るの、めちゃくちゃ恥ずかしいんだからね。世の中のコスプレイヤーとか、よくできるわよね」

「姉ちゃんが気にしてるだけで、案外恥ずかしくないんじゃないか?」

「ううん絶対恥ずかしい」

「お姉さん、そんなこと言って悠馬にくっつきたいだけじゃないんですか?」

「違うもん。恥ずかしさがぶり返してきてるんだもん。あとお姉さんじゃないもん」


 言い返す元気はあるらしいけど、姉ちゃんは思い出したように俺の体に両腕を回して抱きしめてきた。

 俺とくっつきたい気持ちはあるらしい。


「澁谷さん。あんなに人が来るとは思ってなかった」

「あー。それはごめんなさい。収録のこと、急だったから社内調整が大変で」


 やっぱりそこの苦労はあったのか。


「その途中で、局の人たちにセイバーが来るってことが伝わってしまって。みんな魔法少女を見ようと押しかけてきたの」

「姉ちゃんが、明日撮影しますって急に言ったからだぞ。自業自得だ」

「ううっ……」

「みんな、セイバーたちを応援してるんですよ。街を守るヒーローのこと、尊敬してるって」

「それはわかるけど。でも恥ずかしい」

「それに、みんな褒めていましたよ。見たところ緊張してなかったし、言い間違いもなくて一発でオッケーが出るのはすごいって。さすが魔法少女だって、お偉方も称賛しています」

「緊張してました。めちゃくちゃ緊張してました。なんとか体裁を整えたのは、社会人としてのプライドです」

「さすがです先輩! 普段から頑張ってるの、こういう所に活きてくるんですね!」

「わたし、仕事は頑張りたくないの」

「またまたー。なんだかんだ、わたしの世話も焼いてくれるし仕事を教えるのも丁寧じゃないですか」

「あれは……麻美に早くわたしの仕事を代わってほしいから」

「そんなこと言って、真面目に仕事してるの尊敬してます! さあ、ビール飲んでください。お酌しますから」

「ありがとう。飲む……」


 マスコミと後輩が必死で愛奈をおだてている。なんて浅ましい光景だろう。というか、俺の背中に顔をくっつけたまま飲もうとするな。


「ラフィオー。わたしもテレビ出たい」

「こんな風に視聴者に呼びかけるのかい?」

「ううん。動物番組。犬さんとかモフモフしたい」

「やめておけ。犬がかわいそうだ」

「えー。なんでー?」

「ぐえっ。それが原因だ……」


 つむぎがラフィオを握りしめるようにモフモフしている。たしかに、無垢なる小動物たちに同じことをするのは良くないな。


「澁谷さん! なんとかして、わたしを動物番組に出してくれないでしょうか!?」

「んー。そうだねー。プロデューサーに相談してみようかな」


 いや。やめてやれ。


 澁谷本人も本気で検討するって様子ではないから、そこは心配しなくてよさそうだ。

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