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駄目社会人の姉と、その他問題児たちが魔法少女になったから、俺がサポートする  作者: そら・そらら
第3章 取り巻く人々

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3-41.綾瀬さんと長谷川くん

 そして小学生の男の子といえば。


「すげぇ……車椅子初めて見ました……」

「足、本当にないんですね。痛くないの?」

「車椅子入れない所とか、どうやって入るの?」


 遥の周りに集まっていた。


「ふふん。そういう所は松葉杖と自分の足で歩くんだよー。見ててね」


 車椅子に取り付けてある折りたたみ式松葉杖を振って、カシャンと音を立てながら組み立てる。


「かっこいい!!」

「すげー!!」


 あの折りたたみ式松葉杖、男の子の琴線に触れるなにかがあるらしい。

 確かに俺も、初めて見た時は惹かれたし。


 小学生男子たちは年上のきれいなお姉さんに緊張しつつ、仲良くなってる様子だった。

 ミニスカートから見える、途中から無い片足に嫌でも視線が向かってしまい、ドキドキしてるんだろうな。



「むー。ラフィオはわたしの彼氏なのに……」


 つむぎが同級生たちに囲まれているラフィオを見ながら、少し不満げな声をあげた。

 そこに嫉妬する心はあるんだな。


「つむぎ。綾瀬さんと長谷川くんはどれだ?」

「あの子とあの子です」


 つむぎが示した綾瀬さんは、質素な子という印象だった。

 良く言えば素朴。飾り気のないというべきだろうか。

 シンプルなシャツにズボン。比較的いいのを選んだのだとは思うけど、少し着古してヨレている印象があった。

 周りの同級生の女の子が、よそ行きというのもあってそれなりに飾り気のある格好をしているから、余計に違いが際立つ気がした。


 そんな服装ながら、本人は可愛らしい顔立ちをしていると思う。


「ちなみに、お母さんはあの人だよ」

「そうか」


 家が子沢山で服飾にお金をかける余裕がない。それは子供だけではなく母も同じらしい。周りのママさんと比べて、確かに娘と同じく服装は簡素だった。

 大勢の子供の面倒を普段から見ている自信と体力は感じられる人だった。つまり肝っ玉母ちゃんの感じはした。


 太ってはいないが、がっしりした体格で声も大きい。他のお母さんたちは各々それなりのおしゃれをしてるのに、彼女はそうでもないらしい。

 専業主婦ではなく、多くの家族を養うべく働いているんだよな。どんな仕事かは知らないけど、多少の困難は気にしない豪快さみたいなのは感じられた。


 愛奈に、ああなってほしいとは思わない。けど少しくらい見習ってほしい気持ちもあった。


 綾瀬さんがそんな母親に対して、どんな気持ちを抱いているかは知らない。他のお母さんの、それぞれに着飾ってる姿を羨ましいと思ってるかも。

 それでも彼女は自分の母親を嫌ってはいない。


 それから長谷川くんの方だけど。


「わからない。あれが、おしゃれなのか?」


 確かに、真新しい服を着てるのはわかる。けど周りの他の男子と比べて、何か違いがあるのかは俺にはわからなかった。

 かっこいい顔つきをしてるのは、なんとなくわかるけど。



「あれ、全部ブランド物だよ。ジャケットから靴まで。しかも新しいやつ。なかなかのおしゃれ強者と見たね」


 遥の車椅子を押してやりながらウサギさんランドの入口まで向かっていると、そう言われた。

 遥は俺に教わるまでもなく、誰が長谷川くんなのかを把握していたらしい。


「おしゃれ強者?」

「ファッションに気を遣ってる人のこと。それだけの余裕がある人。今わたしが考えた言葉だよー」

「そうか。ちなみに、綾瀬さんは誰かわかるか?」

「あの子」

「わかるのか……」


 遥はなんの迷いもなく正解を指差した。


「一番、おしゃれに無頓着な格好をしているの」

「そういう見分け方はどうかと思うけどな」

「でもそれが綾瀬さんの悩みなわけじゃん?」

「まあ確かに」

「そもそも服がない綾瀬さんと、家のお金にかまけておしゃれしてるパワータイプの長谷川くん。なかなか落差が大きいふたりだねー」

「くっつく見込みはあるか?」

「うん。あるよ」

「あるのか」

「長谷川くんも所詮は普通の小学生。おしゃれにプライドはあるけど、同時にお友達とサッカーしたりゲームしたりする欲求もある。たっかいブランド服のまま校庭を駆け回るくらいは平気でやってるね」

「もったいないなあ……」

「小学生の服なんて汚れるのが仕事みたいなもんだよ。高い服を着させてるご両親も、そこは納得してるんじゃないかな」

「贅沢な話だ」


 ブランド服が汚れても、すぐに新しいのを用意できるのか。あの子の両親、そこそこの金持ちなんだろうな。

 羨ましいことだ。服に金をかけられることじゃなくて、金を持ってることが。


「というわけで、当初の作戦のまま行きましょう。つむぎちゃん、綾瀬さんにそのこと伝えて来て」

「ウサ太くんだー!」

「おい待て」


 ウサ子ちゃんと並ぶウサギさんランドのマスコットキャラクターの着ぐるみを見つけたつむぎは、再度一目散に走っていこうとした。

 俺が咄嗟に捕まえたから止まったけど。あの中の人にダメージを与えるわけにはいかない。


「つむぎ。綾瀬さんに、できるだけ長谷川くんと一緒にいるよう伝えるんだ」

「はい! やってきます! その後、ウサギさんふれあいコーナー行ってもいいですか!?」

「後でな。団体行動だぞ」

「はーい!」


 一応、指示はちゃんと聞いてくれてた。

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