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EP3 チュートリアルクエスト

 「アサヒ、大丈夫?」

 「大丈夫じゃないよ……」


 まず俺たちはチュートリアルクエストの採取を行っていた。

 薬草、解毒草の採取だったんだが、俺はクリア不可だった。


 わかったことは、採取・採掘には攻撃判定が存在していること。

 だから俺には無理だということが分かった。

 サクヤに手伝ってもらい、なんとか必要数用意することはできたが、なんとも達成感のないクエストだ。


 次に討伐クエストだったが……


 一匹も狩ることは出来ませんでした。


 ◇◆◇◆◇


 「──≪ポイズンショット≫!」


 構えているのは腰くらいの高さの木製の杖。

 放った魔法がスライムに向かうが、ダメージ判定が起きずHPは1ミリも減らない。

 魔法攻撃0、そして状態異常も入らなかったのだ。


 「アサヒ! 魔法を打った後は早くその場所から離れて! ヘイト値がたまって反撃が来るから!」

 「わかった! 後は頼む!」


 後は頼むというよりは、すべて頼むだけど……


 サクヤは直ぐに俺とスライムの間に入り、剣を大きく振りかぶる。


 「これでおしまい! ──≪パワースラッシュ≫!!」


 強い一撃にスライムのHPは一瞬で削れ、あっさりと光の粒子となり消える。


 俺が使ったのは【魔法】、そしてサクヤが使ったのは【戦技】。

 魔法に関してはlv1から2つ魔法をおぼえていて、大体5か10lv上がると追加の魔法をおぼえていける。

 それに比べ戦技は、初めから覚えていないがlv5ずつ覚えていくことになる。

 どちらもMPを消費して放つことができるが、【戦技】の方はクールタイムがあり、【魔法】には詠唱時間が存在する。


 「意外とさっくり終わったね」

 「俺は何もしてないけどな」


 そして俺はサクヤに大丈夫? と慰めてもらう。


 「やっぱり状態異常は確率が低いね。雑魚MOBだと、【毒】で削るよりも私がカバーに入って攻撃する方が何倍も速いし」

 「確かに。──でも、確率低いとは言いつつ、2体に1体は【毒】になってたけど」

 「β版の時はもう少し低かったけどね。もしかしたら【ヴァンパイアの眷属】が、状態異常耐性だけじゃなく、状態異常確率を上げているのかもしれない」


 表記上は状態異常に強くなるとしか明記されておらず、あいまいな部分が多い。

 他にも状態異常関係で分かっていないことがあるかもしれない。検証しよう。


 攻撃手段が状態異常によるダメージしか頼るところがないと思っていたが、嚙み合っていることに喜ぶ。


 「ただ、MOB相手にこれじゃ、BOSS相手はきつそうよね。状態異常耐性が跳ね上がるしHPも高いから、ただの案山子になっちゃうよ」

 「まぁ、今のところBOSS攻略をする段階でもないから、追々考えるよ」


 ひとまずはできることを試しながらだ。


 「こんな面倒なことにつき合わせて悪かったな」

 「全然平気! 全部私に攻撃譲ってくれるからアビリティかなり成長したし」


 一応このゲームには経験値というシステムが存在する。

 それは相手を倒したら得られるものではなく、アビリティーを使用したことによる経験値だ。

 ただ、敵が強い、敵が固いなどの条件でいろいろ変わってくる。


 俺も一応は成長したが……


  ─────


 黒魔法 lv3

 MP上昇 lv3

 MP回復速度上昇 lv2

 魔法詠唱短縮 lv3

 速度上昇 lv3

 待機 lv1

 隠密 lv2


 控え なし


 ─────


 全然成長していな。

 サクヤは【戦技】を使っていたことから【剣士】のアビリティは最低でもlv5になっている。

 そうなると自分は成長していなことがわかる。


 「私はこれから、β版の時に知り合った人たちに会いに行くけど、アサヒも行く?」

 「俺はもう少し一人でやってみるよ」


 オッケーといいつつ、チャットで何か打ち込んでいる。

 サクヤがいてくれたのはありがたいが、頼ってばかりもいられない。


 「じゃあ、何かあったらリアルでもチャットでもいいから言ってね」

 「おう!」


 俺たちは軽いあいさつで分かれる。

 チュートリアルクエストがあったリストルの町の南側のリストルの森で、ひとまずアビリティレベル上げをしよう。


 まずどうしようか。

 攻撃力は皆無、そしてレベルも低い。

 敵を狩るのは無理そうだから、倒さずレベルを上げないと。


 そこでアビリティ欄を眺める。

 【隠密】と【速度上昇】、そして【待機】。

 この3つはレベルを上げるために取得したアビリティだ。


 適当に森を散策し、チュートリアルでも戦ったスライムを見つける。


 「じゃ、レベル上げ始めますか」


 俺は【隠密】を利用して魔法の射程圏内まで近づく。


 「──≪グラビティ―≫」


 小さい声で魔法を唱える。これは【黒魔法】の初期魔法。

 AGI(敏捷性)を低下させて一定ダメージを与え続ける範囲攻撃だが、ダメージ0。


 その魔法によってスライムのヘイトが俺に向くが、【隠密】によって発見されるまでに時間がかかる。

 その隙に、次は【スキル】という魔法や攻撃武器ではないアビリティの、俺だと【待機】の能力を使う。


 「──≪ストップ≫」


 一定時間、いっても数秒程度だが敵の動きを止める。

 それをかけ【速度上昇】によって上がったAGIで逃げ出し、敵との距離を離す。


 この1サイクルでレベル上げ完了だ。

 ⅯPを使うことによって汎用的な魔法職アビリティの3つも同時にあげることができる。


 今日は暇な時間を使ってこれを繰り返すことにする。

 ヒットアンドアウェイ戦法。

 これなら安全だと思ってレベル上げしていた。


 だが、そう上手くいかず、逃げ出した先にほかのMOBがいて挟まれたことで死亡した。


 いわゆる死に戻りだ。

 リストルの町の教会前にリスポーンさせられる。


 ただ、ある程度サイクルすることによってスキルれバルは上げることができた。


 ─────


 黒魔法 lv5

 MP上昇 lv6

 MP回復速度上昇 lv6

 魔法詠唱短縮 lv7

 速度上昇 lv7

 待機 lv5

 隠密 lv6


 控え なし


 ─────


 全部レベルが上がった。

 【黒魔法】lv5に到達したことによって、≪パラライズショット≫を覚えたが、正直【麻痺】よりも【毒】の方がダメージがある点で有用なので使うことは少ないだろう。


 もう一度、森に行ってレベル上げしようと思ったが、一度死んでしまうと【デスペナルティ】が発生する。

 【デスペナルティ】は2時間ステータスの大幅低下が起きる。

 また何度も死に戻りすると、追加で【デスペナルティ―】がかかるので、効率が悪い。


 よって俺は今日のゲームを終了しようとログアウトした。

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