006 一見 雷花 エアステラ 01
※本小説は毎話語り部が変わります。
001 一見 雷花 女神の庭園01
上記のタイトルなら最初の数字がトータルの話数。
その後の名前がその話の語り部、あるいは視点。
その後の地名と数字でその場所、世界での話数を表しています。
筆者の文章力の都合です。
ご理解の上お読みいただけますと幸いです。
006 一見 雷花 エアステラ 01
前回のあらすじ
・ラストさんが冒険についてきてくれることになった!
・準備は万全!レッツラ異世界!
・あの女神には一言言ってやりたい。ラストさんに頼もう。
落ちる。
落ちる落ちる落ちるめっちゃ落ちる何これこっわい!!
あ!私の仕事着が!破れたぁ!!
あ、でも足元から知らん服生えてきた!!
理解が追いつかない!何なにこれ怖いって!!!
おそらくこれが女神が言っていた世界に対しての変換なのだろう。
その中で私は自分の背中にずっとあった傷跡が剥がれてどこかに飛んでいくのをみた。
私の人生を狂わせた傷ともおさらばし、私はまだまだまだまだ落ちていくーーー
ラスト「雷花君!大丈夫かい!?本当にごめんね!
ロドリーはいつもあんな感じでね!」
ラストさんは笑顔で優雅に落ちていってる。
多分だけどもう慣れているのだろう。
あるいは知っていて黙ってた?
ならこの人にも別れ際になにか言ってやるとしよう。
さて状況を整理する
ここまでですでに20分ほど落ちている、視界は自分の近く以外は真っ暗。
ただ最初と違うのは足元に明るい穴が見えてきたこと。
おそらくあれが異世界エアステラなのだろう。
そして私は穴を抜けーーーーー
異世界に転移した!!
でもまだ落ちている。
というのも転移先は空だった。
かなりの上空、雲より高い。
だけども呼吸は苦しくない。明るくなったので周りをみると
落下している私たちの周りに透明の膜のようなものがある。
ラ「ようやく着いたね!もう少し、あと十分ほどで地面だぞ!」
やはり慣れているなラストさん。
そんな私の眼差しから話を逸らすようにラストさんは説明を始める。
ラ「さて、雷花君。まだまだ落下中だがまず君に渡すものがある!」
そういうと彼は私に一つの武器を渡す。
説明が難しく剣のようなものなのだが肝心の剣の部分が刃ではなく
棒状になっている。でも先は鋭い
近いものをあげるととってのついた串、それが野球バットぐらいのになったような物だ。
ラ「それは“導きの剣”だ!そいつに探したいものをイメージしながら魔力を込めると
“星の記憶”を読み取ってその方向を指し示す剣だ!
込める魔力によって目標に向かう力が増減するぞ!
わざわざ刃をなくして強度をあげているおかげで非常に頑丈だ!
魔力コントロールの練習に使ってくれ!
試しに私を探すよう想像してみたまえ!」
私は庭園での雷撃のイメージで剣に魔力を流し、ラストさんの顔をイメージする。
すると剣が1人でに動き出しラストさんの方に剣先を向けた。
ラ「あまりに魔力を込めすぎると剣が抜けて私に向かって放たれるから気をつけて!」
私は魔力を込めすぎないように気を付けながらラストさんに尋ねる。
一「ラストさん、“星の記憶”ってなんですか?」
ラ「それぞれの星はね!その星の中で発生した事実を記憶しているんだ!
要は星そのものが偽りの情報がない大きな図書館なんだよ。
そして導きの剣はそこに検索内容をイメージで入れることにより
情報を引き出し示してくれる剣ってわけだ!」
情報という武器の入手においてこんな方法があったのか。
素直に感心する。
ラ「ただあくまで調べられるのは今まで発生した事実に関する情報だ!
人物の心などの情報は調べられないし、
こっちの考察が当たっているかを調べられるわけじゃない!
あまり依存しすぎるなよ!
ただそれは私がいなくなっても返さなくて良いからね!」
本当に感謝しかない。
自分の環境の恵まれ具合を噛み締めているとラストさんが続ける
ラ「ちなみに僕らのような異世界からきた人は“落ち人”と呼ばれる!
理由は聞かなくてもわかるよね!」
雷「はい!今落ちてますから!
別の呼び方が布教できるよう帰ったらロドリーさんに
今後の送り方を検討するよう伝えておいてくださいね!!」
冗談を言えるくらいには緊張がなくなっている自分がいる。良いことだ。
雷「というかこの世界って他に転移者がいるんですか?」
さっきの言葉通りだと“落ち人”がいることが当たり前のような話し方だったけど。
ラ「ひとつの世界には1人しか“落ち人”はいないよ。
落ち人がいなくなり、その上で世界がまた荒れると別の落ち人が来る、こんな流れを繰り返しているから落ち人という言葉が定着しているんだよ。
それを世界の常識として定着させておかないと身元不明で即座に終わりを迎える世界もあるからね。」
さっきからさらっと怖い例えが出るな。
おそらく実例があったんだろうな。
聞かないでおこう。
なんてことを考えていると雲を抜けた。
いよいよ地面が見えてきた。
防具はないが剣はある、ギフトも使える。
未知数だけど頼りになる人がいる。
深呼吸をする。
覚悟を決めたその時
私たちの足は異世界“エアステラ”の地面にふんわりと降り立った。