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異世界案内人  作者: 自由丸 駄無
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001 一見 雷花 女神の霊園 01

001 霞野 一雷 女神の霊園 01


気がつくと私は知らない場所にいた。

ここは。。。庭園だろうか?

知らない場所だがどうしてか落ち着く。

背中の痛みも無い。足も動く。

落ち着いたところで自分の記憶を振り返る。


少し考えて自分の中で答えが出る。


「これは。。。あれかぁ。。。」

やれやれと思いつつも高揚しているのが自分でもわかる。


何故なら最期の記憶が“人を助けてトラックに轢かれた”からだ。


そんな状況でこんな場所にいて期待がない日本人などいないだろう。


前世では散々な人生だったが今度こそ。。。!


そして私、一見(ヒトミ) 雷花(ライカ)は人がいないのを確認し空に向かって叫ぶ。


一「異世界転生だああああああああ!!!」


?「転生かどうかは君次第だよ?」


突然聞こえる女の子の声に驚き振り返ると

さっきまで誰もいなかった庭園の椅子に女の子と男性が1人ずつ座ってこっちを見ている。


叫んだことが恥ずかしい。埋まりたい。


こちらが赤面している事は

向こうの2人には関係ないらしく

先ほどの声の主である女の子は話し出した。


女「ようこそ!『女神の霊園』に!

生前強い未練を残しながらも

良い人として生涯を終えたあなたには

今からの未来を選ぶ権利が与えられます!」


強い未練、善人、そして死。

これらが私が生きていた世界での

異世界の条件だったのか。

うなずく私を見て女の子は話を続ける。


女「あなたの選択肢は3つ!

一つ目は記憶も体もリセットして

好きなスキルと生まれを選んで転生!


二つ目は今の肉体のままだけど

年齢は好きに調整して好きなスキルを得て転移!


さぁどうする!?」


彼女はまくし立てるように言ったが

正直ざっくりしすぎてわからない。

私は彼女に質問をした。


一「あのー。。。いきなり色々言われてもあれなんでいくつか質問を。」


女「うんうん良いだろう!

このありとあらゆる世界の大神ゴッズの娘!

ロドリーちゃんが君の質問に答えてあげよう!


あ、ちなみに大好きなお姉ちゃんの名前はユズリーだよ!」


聞いてもいないのに異世界より女神の情報が

どんどん更新されていく。


欲しいのは異世界の情報なので

掘り下げずに質問をする。


一「転生と転移でそんなに違うものなのですか?生まれなんて正直選ばなくても特別なスキルでなんとでもできるのでは。。


あと三つ目の選択肢言ってないですよね?」


女神のロドリーは食い気味に答えてきた。

ロ「君は思った事を全部口にするタイプだね?

良いだろう!ワッタシが一つずつ答えてあげよう!


まず転生と転移の違いだけど

これはよく聞かれるから決まった質問をしよう。


君は前世で王族だったかい?」


もちろん違う。

そう思った時に気づく。思い出す。

私がいた世界でも『生まれでなれない職業』と『ならざるを得ない職業』があることに。。


ロ「もちろんどんなものにも例外は存在する。

しかしそれは例外であることに非常に多くの

時間や労力を割いた上で

さらに運にまで恵まれたものが超えられる壁だ。


王族の喩えを続けてくどいだろうが

そこまでして君が仮に王族になったとして

そこから“例外”である君が世界に対して

有益なことがどれほど出来るだろうか?


君は前世ですでに頑張ったが

その報酬であるべき「幸せな生活」を受け取れないまま死んだ人間だ。

なら女神である私は

来世の職を選ぶための道筋ぐらいは

君に用意してあげるべきなのさ。


君がそう言う人間なら転生を選ぶと良いよ。

なりたい立場次第だけど

おおよそ君が望む人生を送らせることができるだろうからね。」


少し含みを感じる言い方だが女神ロドリーの言い分には納得してしまった。


先程からこちらが納得するタイミングを

理解しているのか

私が話を飲み込むと

女神は続けて話し出す。


「そしてこれは情けない話なんだけど

女神的事情でね。君が出現する世界に対して

大きな矛盾は作れないんだ。


女神には一度作った世界を作り直したり過去を改編する能力なんてない。

生まれてくる赤子の魂に入る情報量も極めて小さいからスキル位しか入れれない。


故に転生時には記憶はなくなってもらうしかないわけさ」


ここまで聞いて理解する。

つまり転生は正確には自分自身ではなく

自分の来世の存在に対して幸せな人生を送れるよう道を用意してあげる選択肢なのだと。


違うかもしれないが私のいた世界でも極端に運が良い人はいた。

そういう人はこの選択肢で前世の人が良い環境を選んであげていたのかもしれない。


そして女神は三つ目の選択肢について話し出す。


ロ「三つ目の話をしなかったのは話す必要がないからだね。

三つ目は魂も記憶も完全に消去して君が住む世界のエネルギーに変えてしまうからさ。

大体は選択肢のない悪人達がこの扱いになるから不足もしてないしね。


このバランスうまく行かないと世界が死ぬ『死界』ってのになるんだけど

ワッタシ優秀な女神なので!

ワッタシの管轄下ではそんなことありませーん!」


とんでもない選択肢だ。

世界のエネルギーなんてよくわからない物に変えられる上に来世もないのか。


つまり

自分で何かを成し遂げたい→転移

来世の自分に託したい→転生

悪いやつ、考えることをやめる→エネルギー化


こういうことか。


ここまで話を聞いて私の中ですでに答えは決まりかけている。


せっかくの異世界召喚、年齢も戻せるというのなら。。。


いやいや、こんな機会二度とないかもしれない。慎重になるんだ。


私は女神ロドリーに加えて尋ねる

一「転移について教えてもらっても良いですか?」


私がそう尋ねると女神ロドリーはニンヤリと口角上げ頬を緩めながら答え出した。

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