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花かんむりの眠る場所で  作者: 綾取 つむぎ
四章 学園祭編
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十二話 不思議少女との再会


「――何故、ライが今日ここに現れたか」


私、月乃玲明の真横でのあはぽつりと呟いた。

その声は、極限まで潜められながらも、明確な不信の色が滲んでいる。


「そう……ですね」


私は、それをかき消せる何かを持たなかった。


「ライは、ここ(王立ルトリア学園)の生徒だった……?」

「あの局面に現れて、誰も不信感を持ってないってことはちゃんとこの学園に通っている生徒なんじゃないですか?」

「……なんかれいのチームのリレーの順番、仕組まれていた気がしなくもなくもないんだけど」


同感である。

流石にこんな場面で出くわすなんて奇跡、相当ないだろうし、リレーの順番なんて大して重要でもない書類、割といくらでも変えようがある。

のあのように、ライに対する不信感があるわけではないが、この局面で偶然を信じられるほど、私は何も知らないわけではなかった。


「もしリレーの順番を変えたとしたら何のために……」


その時、おちゃらけた口調の、あの声が響いた。


「ただただ、私の後見人が配慮をしてくれただけに過ぎないですよぅ」

『……!?』


私たちのすぐ隣でニコリと笑うその姿に私は目を見開いた。


「……後見人って?」


私より早く平静を取り戻したのあが、厳しい声で追い詰めるかのように尋ねた。


「まぁまぁ、そんなに怖い顔しないでくださいってー。まぁ、でもその感情も正当だとは思うので、その警戒を出来るだけ解くためにも弁明の時間が欲しいのですがぁ……今からってどれくらいお時間ありますぅ?」


どうするべきか迷い出したのあはこちらに意見を求めるように視線を向けた。


「私はのあに任せますけれど、ちゃんと話をする機会は設けた方がいいと思います」

「………………一時間から一時間半くらいならば」


少し思案した後に、のあが出した言葉はその誘いに乗る、という肯定だった。


* * *


実は、この学園の食堂は上流階級の子女が通うとあって、なかなかに凄い設備が揃っている。

一般的な食堂というより、レストランに近いといった方わかりやすいだろうか。


席は、人数に合わせて自分達で好きなところを選ぶ方式であるが、席に着いた後はほぼ、レストランである。

メニューを見て、頼みたい品物が決まったら給仕係が注文を取りに来る。頼めば後は待つだけで、席まで運んで来てくれる。

尚、お支払いは卒業時に纏めて請求されるため、お金の心配も何もいらない。


メニューもそこらの下手なレストランより豪華である。なんならちょこっとデザートがあったりする。

……と言っても、のあ曰く国にデザートは頼まないように、頼んだ分は自腹で払えと脅されているそうなので、私たちがここのデザートを食べたことはなかった。


と、まぁそんな凄い食堂であるのだが二ヶ月くらい使っていればそれなりに慣れて、もう何かに驚くことはないと思っていたのだが……。


「……なんなのここ」


のあの呟きに心から同意した。

そう、ここは食堂……ではあるのだが、いつも使うみんな同じ空間で食べるあのレストランと違い、本当にお高い高級レストランにありそうな個室なのである。

一度戻ってでも制服に着替えてきて本当に良かったと心の奥底から安堵しているのは恐らくのあも同じだろう。


「まぁまぁ、それも含めて説明しますからとりあえず座ってくださいって〜」


ライに促されるがまま、私たちは席に着いた。


「さてと、色々聞きたいことはあるでしょうけれどまず自己紹介からしましょうかぁ」


ぴんと背筋を伸ばしたライは座ったままではあるが綺麗に礼をし、その瞳でこちらを見据えた。


「国立魔術師養成機関、ルトリア学園二年三組所属、ライ。改めてよろしくお願いしますねぇ」


ライの名乗りに少しだけ引っ掛かりを覚えながらも礼儀として私も姿勢を正して名を名乗る。


「同じくルトリア学園二年一組所属、月乃玲明。生徒会の会計も務めさせていただいてます」

「月乃玲明と同じく二年一組所属、又生徒会書記、華道のあ」


改めての自己紹介が終わったライはにこりと楽しそうに笑いながら告げる。


「堅苦しいのはここまでにして、そろそろ前菜も届きますし軽ーい感じでお話しましょう」


そう言葉にしたところでガチャリと扉が開き給仕係が入ってくる。……ん?今前菜って言った?


耳を疑う言葉に気のせいだーと思っていたら次は目を疑った。本当に前菜だったのだ。

あの、お高い料理店でしか見ないようなすんごく丁寧に綺麗に色鮮やかに盛り付けられた前菜が、目の前に並べられた。


「とりあえず、二人が気になっていそうなことから話していきますかねー」


出てきた前菜に大して驚くでもなく、ライはカトラリーを使って丁寧に食べ始めた。

……いやこれどうしよう。私食べ方全くわからない。

のあもそうだろう、と思い隣をチラッと見て二度見した。


のあも普通にカトラリー使って食べてる!?!?


しかもめちゃくちゃ綺麗である。

絶対こちら側だと思ったのに……何故か裏切られた気分である。


「あ、れい。カトラリーは外側から使うんだよ」

「本当はもっと気楽な料理がよかったんですけどその辺もいろいろ事情がありましてー。マナー気にせず自由に食べてください」


……なんか凄く気を遣われてしまった。

まぁ、とりあえずは見よう見まねで頑張ろう。


「それじゃあ、仕切り直しましてぇ、私の立場その他諸々についてのお話をしましょうか」


本日で投稿二ヶ月目になります。

関わってくださる皆様には、重ねてお礼申し上げます。

色んな人が再登場してきた四章、是非よろしくお願いします。

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