表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花かんむりの眠る場所で  作者: 綾取 つむぎ
三章 学園祭準備編
50/237

二十六話 色がついていることにこんなに絶望する日が来るとは、誰が想像しただろうか


白黒(モノクロ)では見えないもの。それが2-4 4-1を示した時、磁器を表す。1-1 2-1薔薇の見えざるものを見ろ』


「これまたぱっと見じゃ想像つきませんね……」

「まぁ、さっきみたいな方法でわかるところから考えていけば解けるんじゃない?」


と、いうわけで恒例(といっても今回で二回目)の考察大会が始まった。


「もしかすると今回のってさっきよりも簡単じゃないですかね?」

「え、なんで?」

白黒(モノクロ)では見えないってことは、恐らくはっきり色がついたものが関わるはずです。

この館の色なんて赤と黒くらいしかないんですから他の色を探していけばおのずと答えにたどり着くのでは?」

「うーん、たしかにそうかも。またなんか引っかかる点があったらその時に確認するようにしてとりあえず「色」を探してみよう」


行動方針を固めた私たちは階段を登り……一段下がったギミックの前で立ち止まる。


「……これどうしよ」

「……あ、ちょっと試してみたいことができたので階段から離れてください」


不思議がりながらも、のあは階段から離れてくれた。それを確認した私は今度は下がった段で一度足を踏み鳴らし、三歩下がり、一段上に行き……と、謎の紙と真逆の行動をした。


「どうでしょう……?」


ごごごごご、と音がして、引き下がった段が持ち上がる……かと思いきやぽんっと間抜けな音を立てながら空中に文字が浮かび上がった。


『よくできました〜』


「いや、よくできましたじゃないって」

「技術の無駄遣いですね」


その文字を見て、このギミックにちょっかいかけたおちゃらけ案内人がいたのだろうなーと遠い目をした。


なお本来余談にすべきではない余談だが、何も変わらなかった段はその後のあと二人でどんどん踏み鳴らしてたら段が上がった。多分誤作動したのだろう。


* * *


「全く。どれだけわたくしの歩みの邪魔をしたら気がすむのかしら」


どこともしれぬただただ暗い闇の中で夜空のような濃紺の髪を持つ少女は手に持つ黄金色(こがねいろ)の短剣を優雅に握り、舞うように敵を捌いていた。


「ぅるがぁぁぁぁ」


獣の咆哮が静寂の中に響いた。

その声を発する生き物は熊のような見た目をしている……が、その体はあり得ないほど巨大でギョロっと血走った目といい、口と思わしき場所についたおびただしい数の牙といい、明らかに異常な生物であることは誰の目にも明らかだ。

しかし少女はそれに怯えるでもなく、ただ無情に剣を舞わせる。


「最期の最期まで無様なこと。わたくしのエセルを見習いなさいな」


獣は体の大部分に損傷を負い、赤黒い血がべったりとついているにもかかわらずまだ立ち上がり、少女へ向かう。


「最高に退屈な時間をどうもありがとう。そろそろお開きといたしましょう?」


とっ、と軽やかに地面を蹴り獣の視界から外れたかと思えば少女は獣の視界に入るか入らないかのスレスレの位置に飛び上がっていた。


「がっ」


少女を視界が捉えた次の瞬間、獣の喉元に突き立てられた金色の短剣によって獣は叫び声をあげることもままならず崩れ落ちた。


飛び上がったときと変わらぬ軽やかさで地に降り立った少女を、獣はなんと思っただろうか。

何かを考える知性が、この異形な獣――魔物に備わっているとも思わないがきっと直感で感じるびりびりとした冷酷さだけは感じて地獄へ堕ちたことだろう。


「……あの子達はちゃんと生きてるかしら」


少女は息を切らすでもなく、返り血を浴びることもなく、ただ完璧で美しいままそう呟いた。



「まぁ、ここにこれだけの魔物しかいないということはわたくしの思い描いたとおり、役割を果たしてくれているのでしょうね」


一瞬だけ頬を緩めて作った笑みは美術品のように美しく、かつ底知れない……例えるならばあまりに美しい美術品に抱く恐れに似た恐ろしさがそこにはあった。


そんなことをわかっていながらも気にしない濃紺の髪と、短剣の色にも勝る黄金の瞳をもったその少女は、暗闇をまた歩く。


「さて、わたくしはわたくしの仕事をしましょう」


凛と透き通った声はただ、闇に溶けて消え、またあたりは何もなかったかのように平穏を取り戻した。


* * *


「……」

「……わぁ」


私とのあは二階の廊下を散策し、突き当たりにある一室の扉の前に立っている。ただ、二人とも一向に部屋に入ろうとはしない――否、入れない。


「……何の嫌がらせ?」


二人の目の前に広がる部屋は中央にやたらと凝った棺が置かれ、その周りには小物がこれでもかというほど散乱している。

小物が散乱しているだけの部屋だったらそのままスルーして別の場所へ行く。ただ問題は――


「なんでこの部屋だけこんなに色彩があるんでしょうか」


そう、床に散らばる小物達は全て鮮やかな色が付いている。…………もう一度言おう。() () () () () () () () ()

正直絶望しかない。


「これをどうしろと……?」

「ごもっともです」


早速第二の関門に到達……というよりなんだかものすごい勢いで突っ込んだような気分すらしてくるが、何はともあれ第二の謎解きがスタートしたのであった。


合計2000pv行きました!

いつも読んでくださってる皆様、本当にありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ