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花かんむりの眠る場所で  作者: 綾取 つむぎ
三章 学園祭準備編
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十話 何故か似合ってしまうのがまた恐ろしい


翌日、今日は特に学級会議もなく、驚くほど平和に生徒会の時間となった。

生徒会では体育の部設立について全員賛成ということになったため昨日軽く議論した内容をおさらいしつつ今日から本格的に詳細を決めていくという。


「一ヶ月前くらいから通常業務に割増し、これからの分の通常業務は行っていたので少しは空きができるはずです。……ただそうは言ってもこれからの学園祭で非常に忙しくなるのと前倒しできない内容の通常業務もありますので気は抜かずに」


そう、前置きをして学園祭――主に新設する体育の部についての話し合いが始まった。


「昨日話し合ったことについてまとめましょう」


「第一に参加は任意形式にすること。生徒会室前に紙とペン、箱を用意するので参加希望者は名前を書いて入れること。次に参加希望者を私たちで運動能力等を踏まえ二チームに振り分けること」

「箱の設置はいつからいつまでにする?」

「明後日くらいには準備できるので明後日……今が十月中旬なので十一月上旬まで設置しましょう」


風夜先輩が昨日の話をまとめ、質問があったら話し合いながら答えていくという形式で議論はつつがなく進んだ。


「後は……それぞれの分担ですが私が今ここで振り分けて構わないでしょうか」

「大丈夫です」

「備品等の発注、搬入については月乃会計、峰副会長。参加希望者関連の箱設置やリストアップは華道書記、一条庶務。当日の人手を集めるのは私がやる……で、大丈夫ですか?」

「了解です!」


とりあえず分担も決まり、動き出すこととなったが思ったより仕事が多く、全員が全員過労死を覚悟したのは数日後の話。


* * *


休日を挟み、週明けの学校ではまたもや学級会議が開催された。今までの学級会議は授業一時間分なのに対し、今回は二時間分の時間がとられていた。


「今回は役割を決めて、実際に打ち合わせをするところまでやりたいと思います」


なるほど、今回は役割を決め、打ち合わせまでするため二時間も時間がとられているようだ。

役割決めはさぞかし揉めるだろうと予想する。


「最初に役割はどんなものがあるかの説明をしたいと思います。舞台照明、舞台セット、備品発注・搬入――」


あれ?小道具や衣装がない……?と思いながら役割を聞き逃さないようにじっくり耳を傾ける。


「最後にキャスト・小道具。みなさんもご存知のとおり衣装やその他小道具の多くは業者に頼みますが業者に頼めなかった分の小道具はキャストの皆さんに作っていただきます」


ご存知じゃない。全然ご存知じゃなかった。

隣の、のあもそんな心情を察してかさっきからちらちらこちらを見ている。

よりにもよってキャストと一緒なんて……と悲観にくれる。


「ではどの役割が希望か各自決めてください――」


どうしようかと呆然としている内に役割はどんどん(時に揉めながら)決まっていき、ついに残ったのはキャストの幾席かとあと一つになってしまった。


「姫役がまだ決まってないのですが誰か……」


思うように決まらずしーんとしてしまったなか誰かがぽつりと月乃さん……と呟いた。


一斉に私へと視線が向く。


何故私の名前が?と隣にいたのあに答えは出ないだろうと思いつつも尋ねた。


「メルトリックハーモニーの姫役は黒髪で長身の儚げな美人さんだったんだよ」


と、ここまで聞いたところで大枠は理解した。

私の容姿がその女優に近かったため名が挙がったのだろう。

皆が期待の眼差しを向けるなか、断ろう断ろうと思いながら、でもやってみたいと思う気持ちがせめぎ合い――


「――やり、ます。姫役、やらせてください」

「では月乃さんに決まりでいいですか?」


肯定の代わりに拍手が教室を満たした。

と、まぁそんなこんなで主役に大抜擢された日であった。


* * *


「なんかさー昨日と今日で色々ありすぎてキャパシティオーバーしちゃいそう」


授業が全て終わり、荷物を片付けながらそんな声を漏らすのあに心から同意した。


「私も生徒会の仕事に主役に……大変そうだなぁって感じです」

「まぁでもきっと楽しいよ」

「のあは何の役割になりましたか?」

「僕はねー。なんと演技指導」

「おぉ」


まさかの役割に驚きの声を漏らす他ない。まぁこの演目を言い出したのものあだしきっと自分の手で素敵な劇にしたいのだろうなという意思が垣間見える。


「演技指導ってことはのあと行動することも多いのでしょうか?」

「そうだね。多分ほぼキャストと一緒に動くことになると思うよ」


なんとなく、のあがいるならどんな役割でもきっと頑張れる、上手くできるとそんなような気がしてくる。


「そう言えばミアってどんな役割になったんでしょう?」

「私?」


ふと後ろを振り返るとさっきまでいなかったミアがいた。

……なんとなくミアの情報網……というか情報通である一片というか……とりあえず恐怖を感じた。


「そうです。ミアの役割って何になりましたか?」

「私はね――王妃」

『王妃』


のあと私の声がかぶる。王妃って姫が病気とわかったら真っ先に婚約を破棄させようとしたり人を物のように考える節があっていい印象がなかったような。


「悪役っていう悪役じゃないけど意地悪な継母的役割、やってみたかったのよねー」


にこにことしながら告げるミアが高笑いしている悪役や今回の王妃の役を演じている想像をし、振り払った。


――なんとなく似合っていたことに恐怖し、愛想笑いを浮かべるしかなかった。






今日で一応毎日投稿は終了の予定でしたがまた来週も続けます。

気が向いたら二話投稿する日もあるのでお楽しみに。


三章は長め、かつほのぼのした系の話が多く緊迫感には欠けるかもしれませんがここで補充していっていただきたいなーと……(ニヤリ)

何があるかはお楽しみということで、今後もよろしくお願いします。

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