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花かんむりの眠る場所で  作者: 綾取 つむぎ
四章 学園祭編
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三十九話 先輩後輩論争

ネタ要素はここと次回で補充していってください。(意味深)


そして、皆さま6000pv本当にありがとうございます。今後も頑張っていきます。


「あれ、人多すぎんだろ」

「その割にはトラブルも何もなさそうだったし、良かったじゃないですか」


開始のアナウンスから十五分間、今までホール付近を周り、問題がないかを確認していた、のあ、風夜先輩、一条先輩が生徒会室の扉を開けて、入ってきた。


「お疲れ様です。その様子だと、問題は……」


誰に向けたものでもない、私、月乃玲明のその問いには、一番最後に入ってきた風夜先輩が答えてくれる。


「特になさそうでしたよ。受付担当の生徒にもトラブルがあったらすぐ、生徒会に回すように。と、伝えてありますので、何かあったら直ぐに回ってくるでしょうし、後はたまに見回りに行く程度で大丈夫でしょう」


まだ、最初も最初だから、気も抜けないけれど、ひとまずは安心、というところだ。


「その様子なら、そろそろ僕もクラスの担当があるから、行っても大丈夫そうかな?」


今まで書いていた資料の端を揃えながら、峰先輩が、立ち上がった。ここまで、問題も何もないため、予定通りの自由時間が取れるだろう。


「はい。対策もしっかりしていますし、気兼ねなく楽しんできてください」


その予想通り、風夜先輩もGOサインを出すと、それを得た峰先輩は、「じゃあ、抜けさせてもらうねー」と言って生徒会室を出て行った。

見た感じ、でしかわからないが少しだけ足取りが弾んでいたような。


やはり、こういうお祭りは誰しも楽しみなものなのだろう。


生徒会の扉を抜けて行った峰先輩の背を見送り、私たちは向き直る……が。


「………………意外とやることないよな」


実は、一条先輩の言った通り現在の私たちは実はそれほど忙しくない。


一日目なら、まだ勝手が分かっていないこともあり、ハプニングのオンパレードだが、二日目ともなると生徒たちも慣れてくるのか、こちらが介入することはほぼない。


というわけで、暇時間を埋めるため、通常分の書類を捌いたり、先に学園祭の会計報告書の埋められるところを埋める作業を片手に雑談大会が始まった。


「……峰先輩、なんかちょっと嬉しそうでしたね」

「なんやかんやいって、あいつ縁日やら祭りごとやら、祭典好きだからな」


ぼそっと一条先輩が返答してくれた。峰先輩が縁日好き……少し意外である。


というより、峰先輩は朗らかだが底が見えないところもあるため好き嫌いのイメージがつきにくい。


「確かにそうですね。言われてみれば去年の学園祭も終始楽しそうでした」


風夜先輩から見た様子でも、峰先輩のお祭り好きがわかるらしい。……お祭り好きなことはわかったが、何を買ったり食べたりするのかは全く想像がつかない。


「峰先輩、お祭りはどんなとこ回るんでしょう」


のあも、私と同じような疑問を抱いていたらしく、ぽつりと呟く。


「あいつ意外と食べるの好きだぞ」

「…………あぁ」


不意に風夜先輩が、声を上げたことに皆の視線が注目する……と、風夜先輩の視線は一条先輩に。


「昨年、食べ物屋という食べ物屋を周り、買い占めて行った二人組がいましたね」


ぎくっ、という効果音でもつきそうなくらい、一瞬にして一条先輩が固まった。


「そしてその後、後夜祭の舞踏会でも、仕事だけしたらご令嬢達とも踊らずに端で料理を手当たり次第に食べる二人組もいましたね」


一条先輩が石像になった。

……風夜先輩の話の流れからの推測だが、ここに峰先輩がいたとするのなら、石像は二体になっていたことだろう。


「あれは、もう時効だし、舞踏会の件については結局、見つかって大勢人が寄ってきたもんだから翌日、筋肉痛になるまで踊らされたんじゃねぇか」

「峰副会長も逃げようとしたのに捕まってましたね」

「そりゃ勿論、死なば諸共だ」


聞き役に徹した私とのあは遠い目になりながら、その話を聞いていた。


なんか……凄く状況が容易に想像できる。


「聞いた感じ峰先輩、だいぶ生き生きしてますね……

お祭り効果でしょうか」

「……いえ、それもあるでしょうが、一条庶務と一緒に、というところも関係しているでしょうね」


その言葉を聞いて、私は少し首を傾げた。


一条先輩と、峰先輩は、側から見てもわかる、仲のいい友人だ。


そんな友人と一緒だから、お祭りやらなんやらが、より楽しく生き生きとしていられるという意味と、普通はとる。


しかし、風夜先輩の口ぶりからしてそれ以上に何かの意味があるような気がして引っかかったのだ。


「……まーなんか、肯定したら自惚れ感すげぇけど、否定もできねぇんだよな。あいつ、昔色々あったから」


その後の、一条先輩の呟きでなんとなくの事情を察した。本人がいないからこそ、出来る話ではあるが、本人がいないところではこれ以上深入りする話ではないだろう。


「……そうなんですね。何はともあれ、峰先輩が好きな縁日ムード、楽しめていたら嬉しいです」

「そうだな」


一条先輩が、しみじみと頷き、峰先輩の話については締めくくられた。


* * *


さて、私の思考を覗き見ている誰かが居たとするのなら、一文前を読み返していただこう。


……これを、明るい空気と言える人がいたとするのなら、その人は相当メンタルが強い。


多くの人は、しんみりムードというだろう。


こんな空気の時は基本、その後も静かーに雑談をしていくのがお決まりである。そして、峰先輩が戻ってきたら少しだけぎこちない空気になる。それがお決まり。

……お決まり、なのだ。


実際、峰先輩が帰ってくるまでの一時間は普通に雑談していた、のだが――


「はぁぁぁ!?!?絶対にバニラだろ。ココアは邪道」

耄碌(もうろく)しましたね、一条先輩。ココアこそ正義!!」

「ばーか、俺に耄碌っつうなら、一つしたのお前も大概だ!!」


目の前で言い争うのは、一条先輩とのあ。先輩後輩の論争である。


しかし、こんな状況下でも峰先輩は端っこで風夜先輩と、打ち合わせし出したし、風夜先輩は元々眼中に入れてない。


いやこれ収拾つけるの私の係ですか!?


何が起こったか、まず一旦整理しよう。

それは遡ること十分前――

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