第24話 クリティカル
種族 :キラーアント(アンデッド)
Lv :92→197
HP :460/460→153/153
MP :20/20→6/6
筋力 :398→132
魔力 :60→20
敏捷性:347→115
・スキル
突進【1】
噛みつき【3】
リンク【1】
これがキラーアントのステータスだ。
レベルにしてはHPが低く、火力高めのアタッカーステとなっている。
まあ実際は外骨格が鎧扱いの為、かなり耐久力も有ったりするが。
経験値は3500とオークの3倍ちょっと――アンデッド化後は1166――あり、強さの割には美味しいモンスターとなっている。
但し、余程火力に自信が無い限りソロ狩りは推奨しない。
スキルのリンクが、一定範囲の同種に敵性の存在を伝える効果があるためだ。
そのため戦っている最中に増援が現れる可能性が高く、高速に処理できなければお代わり地獄で、確実に押しつぶされる事になってしまうだろう。
「おお、サクサクいけるな」
僕化したキラーアントの関節部分を斬り付けると、気持ちよくダメージが入る。
流石は攻撃力300のハイミスリルソードだ。
50しかなかった鋼の剣のままだったら、きっとこうはいかなかっただろう。
クレアの方を見ると、彼女もサクサクと切り刻み、トドメは格好をつけて闇魔法で刺していた。
彼女のサブクラスは闇術師だ。
理由は言うまでもないだろうが、一応説明しておく。
闇だから。
以上。
まあ通常、前衛系が魔法系を取るのはあまりお勧めできない選択肢だ。
まず第一に、マスタリー系のスキルが無いと詠唱が糞遅い。
第二に、魔力が低くてダメージがたいして出ない。
以上の理由から、基本的に得意分野を伸ばす方が有効とされている。
とは言え、クレアに関しては、この選択はあながちハズレとは言えない物があった。
何故なら、彼女がゲームにはなかった大賢者というユニークスキルを所持しているからだ。
近接系の能力が伸びにくくなる代わりに、魔力がバカみたい伸びるスキルだそうで、おかしなステータスをの原因はそれだったわけである。
魔力増し増しのステータスだから有効だと判断したのか?
残念ながら違う。
勿論、魔力が高い分、他の前衛よりもかなり火力が出るのは確かだ。
だがサブクラスの魔法使い系が習得できるのは、上級魔法一つを除けば下級中級レベルだけ。
そして上級以下の魔法には、威力上限が設定されている。
そのため馬鹿みたいに魔力が上がっても、火力はそうそうに上限に達してしまう。
よって、『今のは余の最上級炎魔法ではない。ただの下級魔法だ』ごっこは出来ない仕様だ。
死霊術師の完成系が魔法ではなく、物理型となっているのもこの部分が影響している。
まあ唯一の上級魔法なら、火力を叩き出せなくもない。
だが待機時間の関係上、連打は効かない。
なので、魔法系メインクラスの様に複数の魔法スキルを回し打ちが出来ないず、時間当たりの火力がどうしても低くなってしまうという訳だ。
おっと話がそれたな。
闇術師は攻撃よりも、状態異常に寄った魔法を扱うクラスとなっている。
そしてデバフには、攻撃魔法の様な威力上限がない。
まあ、基本の成功率がかなり低いという、大きな欠点がありはするが。
――実はその欠点を補う術を、暗殺者のクラスは所有していた。
それはスキルのクリティカルだ。
クリティカルはレベル×0.1%で、攻撃行動に発生するスキルとなっている。
その効果は敵の防御を半減無視し、2倍のダメージを与えるという物だ。
あ、この参照されるレベルはスキルレベルじゃなくて、クラスとしてのレベルな。
そしてこのクリティカルだが、実は魔法にも適応される。
しかも状態異常に関しては、クリティカル発生時には必中扱いになるという隠し効果があった。
そのため、ばんばんデバフを決めて来る嫌らしいタイプの暗殺者が、ヘブンスオンラインには結構な数いたりする。
因みに、アンデッドに対する浄化系以外の即死魔法なんかは存在していない。
なので、クリティカルがでたら勝ちとか、そう言う理不尽なプレイは出来ない仕様になっている。
で、だ。
デバフの効果は魔力次第で変わって来る。
魔力が高ければ高い程その効果が強くなったり、持続時間が長くなるので、高魔力になるクレアのデバフ能力は極めて高い物になるという訳だ。
MPも多いから、気軽に使えるってのも大きい。
なので彼女が高レベルに上がった暁には、きっと優秀な補助役へと成長する事だろう。
まあ、クレアがデバッファーで良しとするかはあれだけど。
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