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第28話 パーティー(決戦)当日! ですわ!

 それから、数週間の月日は流れた――――


 その間も私は毎日、絶え間なくトレーニングを続けて戦いの日に備えていた。


 そして、いよいよ決戦の日。学園主催のパーティー当日となった。


 広い学園のホールは、飾り付けがなされて多くの人で賑わっている。学園の理事長を始め来賓には、街の市長など名だたるVIPが招待されていた。


 オーケストラの面々が、優雅な演奏を奏でており。学園主催のパーティーと言っても馬鹿にできないくらい豪華なパーティーが催されていた。


「あ、あの…… ジェシカさん…… 私、こういうパーティーは初めてで…… その…… どうしたらいいか……?」


 フローラは、緊張した面持ちで私を見る。彼女が着ているのは、あの日私が選んだ黒いドレス。


 艶のある黒い生地が吸い付くように、フローラのスタイルの良さを隠すことなくさらけ出している。片側には、黒い羽根飾りがエレガントに飾り付けられている。


「大丈夫でしてよ。わたくしが、エスコートいたしますわ。何の心配もいらなくてよ」


 対する私の格好は、男性用のスーツである。今日は、フローラをエスコートするために、男役に徹することにしたのだ。


 側にキャシーとロッテもやって来た。2人とも煌びやかなドレスを着ている。


「とても似合っていますわ。フローラさん。素敵よ!」


「ジェシカお姉さまの男装…… 尊いですわ!」


 周囲には、色とりどりの華やかなドレスを着た女生徒たちがいるが。会場内で黒いドレスを着ているのは、フローラだけだ。


「さあ、参りましょう! フローラ」


 私は、フローラに手を差し伸べた。フローラは、決意を固めた表情で頷くと私の手を取る。


 私たちが会場に入ると、視線は一気にフローラに集まった。会場内がざわざわとざわめく。


「見て! あの黒いドレス…… まるで魔女みたい!」


「あの。あれでしょ。光属性の…… 庶民の娘でしょ」


 中には、心無い言葉も聞こえた。フローラが、耐えれずにうつむいたその時。私は、優しく声をかけた。


「下を向いてはダメですわ。フローラ。胸を張りなさい! わたくしがエスコートしているのですから、何の心配もいりませんわ。ただ、まっすぐ前を向いて胸を張りなさい!」


「……はい! ジェシカさん!」


 フローラは、私の言葉に再び決意を固めた表情で、堂々と胸を張って歩いた。すると、周囲のざわめきは途端に称賛の声へと変わって行った。


「でも、あの黒いドレス…… よく見たら素敵じゃない?」


「黒色でスタイルが良く見えて、格好良いじゃない」


「私も今度、黒いドレスを着てみたいわ」


 ようやく周りもフローラとドレスの良さを認めるようになった。フローラの固い表情も次第に溶けて柔らかくなっていく。


「ジェシカさん…… 私、パーティーに来てよかった……」


 そう言った彼女は、いつの間にか涙ぐんでいた。


「泣いてはダメですわ。フローラ。せっかくのパーティーですもの。楽しそうな顔をしていなさい」


 私は、優しく声をかけてハンカチで彼女の涙を拭きとった。


 それから、私たちは華やかなパーティーを思う存分楽しんだのだった。



 しばらくすると、私たちの元に生徒会副会長のエミリア・エミュレットがやって来る。彼女はドレスを着ていない。いつもどおり、キリっとした制服姿だ。


「ここにいましたか。探しましたよ。ジェシカさん。まさか、男装しているとは思いませんでした……」


 エミリアは、私を探していたようだ。


「もう間もなく、例のサプライズイベントを始めますので、準備の方をよろしく…… はッ!!」


 エミリアは、そう言いかけて私の隣にいるフローラを見て口をあんぐりと開けた。そして、わなわなと体を震わせている。私は、首を傾げてエミリアに尋ねた。


「ん? どうしたの? エミリアさん」


「ど、どうしたもこうしたもありませんッ! フローラ様! あ、あなたは神聖な光属性の魔力の持ち主なのですよッ! そ、それなのに…… そんな闇属性を象徴する黒いドレスを着るなんて!」


 エミリアは突然、大声を上げて憤慨する。清楚で真面目な副会長が、突然キレたのだ。私もフローラも戸惑いを隠せない。


 エミリアは、私の方をキッと向くと。怒りの表情をあらわにした。


「あなたの仕業ですね! ジェシカ・ジェルロード……」


「確かに、フローラのドレスを選んだのは、このわたくしですわ。それが、どうかなさって?」


 私は毅然とした態度で答える。別にやましいことは何も無い。


 エミリアは、ギリギリと歯を食いしばっていたが、やがて怒りを押し殺したように冷静な顔に戻った。そして、私たちに謝罪する。


「……取り乱してしまって、すみません。気にしないでください。ジェシカさん。間もなく格闘技のイベントを始めますので準備しておいてください」


 そう言うと、エミリアは足早に去って行った。さっきの彼女の態度は何だったのだろう?



 それから、しばらくして会場の明かりが消えて真っ暗になる。そして、パッとスポットライトが点いた。ライトが照らすのは、会場の中央にある円形のリングの上だ。


 リング上には、審判の格好をした女生徒が立っている。そして、大きな声で会場に呼びかけた。


「レディース・エーンド・ジェントルメーン! ただいまより、本日のメインイベント! 魔法学園最強女子決定戦60分1本勝負を行ないます!」


 いよいよ、私の出番が来たようだ。この時のために、パーティーを楽しみにしてきたのだ。


「赤コーナー! 我らが魔法学園、最強の女子生徒ッ! ジェシカ・ジェルロードの入場です!」


 審判の女生徒が、大きな声で私の名を呼んだ。私は、男物のスーツを脱いでリング上へと駆け上がる。


 スーツの下には、あらかじめ着こんでいたコスチューム。それは、フローラの黒いドレスと同じ生地の真っ黒なコスチュームだった。同じ店にこっそり発注しておいたのだ。


 私が、リングに上がると大きな歓声と拍手が湧きおこった。



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[良い点] レスラーとして再デビュー! そして自信は人を魅力的にするものです。
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