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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第四章 氾濫編
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第六十六話 ―ちょっと雑談でも―

第六十六話目です。


タイトルの通りちょっとした雑談でございます。

 報告も終わったから戻ろうと思ったんだけど、ガレリア騎士団長はまだ話したいことがあるように見える。戻るのはそれを聞いた後にしよう。


「にしても、任命式で顔を見たがこうして顔を合わせるのは久しぶりだな”般若“の嬢ちゃん」

「うんそうだね、元気そうで良かったよガレリア騎士団長。

 相変わらず良い筋肉だね」

「嬢ちゃんこそ、少し前に比べても良い体つきになってるな」


 と、ガレリア騎士団長もあたしを少し見てそう返してきたので、あたしも嬉しくなる。彼自身が筋骨隆々な男で、筋肉の付き方から相手の戦い方や実力のほどを分析できる目――本人曰く”筋肉眼(マッスルアイ)“――をもっている。因みに”筋肉眼(マッスルアイ)“は魔法じゃなくて純粋な長年の経験や知識、観察力による技術――さっきのハンター二人の実力が分かったのもこの技術のおかげ。

 あたしが筋肉から相手の実力が読めるのはこのガレリア騎士団長に教えてもらったからだ――この人程正確な分析はまだできないけどね。因みにあたし以外だとこの技術が使えるのはブラッドのおっちゃんくらい。他の皆はよく分からないらしい。

 最初は何言ってんだこの人……?とも思ったけど習得してみるとなかなか便利なので、今ではありがたく思ってる。


 特に、こと筋肉や体つきに関してはこの人以上に信用における人はいないと思ってる――おっちゃんはどっちかと言うと武器の扱いとか戦い方についての方が見る目は確かなんだよね。

 ともかく、皆に鍛えてもらったことで褒めてもらうのは皆を褒めてもらってるみたいですごく嬉しい。まあ、チアーラさんとかモルガナ姉ちゃんとかに言うと抱き着かれるから言わないけどね。


「――団長、それだけ聞くとただのセクハラオヤジですよ……」

「おっと……スマン」

「あたしは別に気にしてないけど……」

「”般若殿“も一人の女性なんですからもう少し気にしてください……」


 ネスさんにそんな注意をされてしまった。いや、そりゃ変な目で見られたらあたしも気にするし、嫌な気分にもなるけどさ。ガレリア騎士団長は変な意味じゃなくて筋肉のことを言ってるって分かってるし。いまいち気にする感覚が分からないんだよねぇ。


「”白蛇殿“からも”般若殿“に言ってあげてください」

「いや、ワタシに言われても人間のその感覚は分からないわよ……」


 ネスさんがガーナに軽く文句を言ったもののガーナにもその感覚はよく分からないらしい。それを聞いたネスさんは――誰も味方はいないのか?――と言った感じに天を仰いでいる。あたしが分かんないのにガーナに分かる訳ないよね。

 さっきまで話に混ざってこなかったけどガーナはこの二人とも面識がある――あたしが親しくさせてもらってるからか、二人ともガーナとは気兼ねなく話せる間柄になっている。


「団長もそんなだから、娘に『パパのえっち』なんて言われるんですよ!毎回わたしに愚痴を言うくらいだったら気を付けてくださいよ」

「オレも気を付けてるつもりなんだがなぁ…娘の成長を見るとなぁ。ここに来る前もあいつを怒らせちまったし」

「はぁ…」


 矛先をガレリア騎士団長に変えるも、そんな風に返されてため息をついている。

 その光景にあたしもガーナも苦笑を浮かべる。


「二人とも相変わらずだね」

「前もそのやり取り聞いたわよねぇ」


 あたしもガーナも、このやり取りはもはや見慣れたものだ。

 会うたびにこのやり取りをしてるんだから。


「そういえば、シンディーは元気?」


 あたしはガレリア騎士団長にそう尋ねた。

 シンディーとはこの騎士団長の娘のことで、確かこの国の姫殿下であるエリーゼと同じ12歳だったはず。何度か訓練場に連れてきたことがあって、彼女の訓練に付き合った覚えがある。流石は騎士団長の娘で、いつも「姫様を守る騎士になります!」って言っていた。

 機会が無くて二年くらい会ってないけど、同い年で騎士団長の娘ってのもあって確かエリーゼとも仲が良かった気がする。


「おう元気だぞ。最近は護衛見習い兼、話相手としてよく姫様と一緒にいることが多いな」

「見習いとして実力も申し分ないうえに姫様と同年代ですからね、お二人とも楽しそうにお話ししてましたよ」

「なら良かった」


 あたしもエリーゼは姫殿下だしシンディーは見習い騎士だしで、立場上頻繁に会うこともできないから気になってたんだよね、エリーゼと会ったのも任命式の時が最後でふた月くらいは会ってない。

 シンディーは訓練があるし、エリーゼは勉強があって、あたしも訓練ばっかだし。


「そういやシンディーも姫様も嬢ちゃんに会いたがってたぞ」

「そうでしたね、お二人ともいつもあなたの話をしているようですし」

「氾濫が終わったら例の二人のハンターとかあの薬のことで城に行くことになるだろうし、会いに行くつもりだよ」

「おう、そうしてやてくれ」

「ワタシはもみくちゃにされないか心配だわ……」

「お二人も成長してますから大丈夫ですよ」


 ガーナは最後に二人にあった時はもみくちゃにされてたから疲れたような声を上げている――そう言いながらも嬉しそうだけど。

 今回の氾濫に際して少なからず問題は起こってるんだけど、エリーゼもシンディーも相変わらず元気みたいだし、二人の近況が聞けて良かった。

 あたしも二人に会うのが楽しみだなぁ。


「じゃあ、あたしもまだやる事あるし、戻るね」

「おう、引き留めて悪かったな」


 ちょっとした雑談だったよ。話し込んじゃったけど、あたしもまだ作業があるしそろそろ戻らないと。

 二人に挨拶をしたあたしは、その部屋を後にした。

ガレリアのセクハラ発言に対して全く気にしないアーシスでした。

普段からカイナートとかブラッドとか男性陣とも暮してるから鈍くなんですかね...?


★次話は02/25投稿予定です。

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