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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第四章 氾濫編
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第五十九話 ―きっと大丈夫―

今話から第四章開始、第五十九話になります。



 あたしが訓練場に向かっていると、訓練場からは変わらずチアーラさんとブラッドのおっちゃんの声が聞こえてきた。

 んだけど、よく聞いてみるとモルガナ姉ちゃんとカイナート兄ちゃんの声も聞こえてきた。

 おっちゃんがいるのは分かるけど、二人はチアーラさんに用事があったのかな。


「皆おは――って何やってんの……?」


 訓練場に着いたあたしが声をかけよう訓練場を覗くと、三人があたしが目で追えない速度でチアーラさんに飛び掛かっていた。

 と思った瞬間、おっちゃんは地面を転がり、姉ちゃんは宙を舞い、兄ちゃんはチアーラさんに組み伏せられていた。


「え、今何が起きたの……?」

「いや、あたしも見えなかった……」

「――あら、おはようアーシス。ガーナも」


 と、そこでチアーラさんがようやくあたし達が見ていることに気づいたようで、そう言いながらこちらに近づいてきた。


「おはようチアーラさん。それに皆も」

「おはよう。朝から何してるのよアナタ達」

「ブラッドのお仕置きと、せっかくだから訓練をつけていたのよ」


 アタシとガーナが挨拶を返すとチアーラさんが笑顔でそう返してくる。後ろの方で倒れている姉ちゃん達は声を出す気力もないのか軽く手を挙げて返してくれる。


「二人はどうしたの、今日は休んでいて良いのよ?」

「皆の声が聞こえたから来ちゃった」

「ワタシはこの子について来ただけよ」


 本当は夢のせいで気分が良くないから気分転換で来たら皆がいただけだけど、迷惑はかけたくないから黙っておく。


「そう、せっかく来たんだもの、アーシスとガーナも一緒に訓練しましょうか」

「チアーラさんと訓練できる機会も少ないし、せっかくだから一緒にやろうかな」

「ア、アーシス本気?さっきのあなたも見えなかったんでしょ……?」


 ガーナの言う通りさっきの一瞬の動きは全く見えなかったけど、一緒に訓練するならそれなりに手加減してくれると思う。それに、間近で見ればそのうち目が慣れるはずだからね!

 そもそも気分転換のために身体を動かそうと思って来ていたわけだし。


「ほら、そろそろ起きなさい、続きをやるわよ」

「はい……」「おう……」「はいっス……」


 チアーラさんが未だに倒れている三人に声をかけると、姉ちゃん達は諦めたように立ち上がった。

 皆嫌がってる――というより怖がってるような感じなんだけど、もしかしてあたし返答間違えた……?あ、嫌な予感がする……


「あら、何処に行くのかしらぁ?」

「えっと……」


 駄目だあたしが自分で一緒にやるって言った上に、笑顔のチアーラさんの圧が怖くて逃げられない……兄ちゃんたちも「逃がさないよ……?」って感じの視線を送ってくるし。

 あたしは諦めて、チアーラさんに答えた通りに一緒に訓練することにした。


 訓練はチアーラさんVSあたし含めた他全員の模擬戦闘を行ったんだけど、結局チアーラさんにあたし達全員がボコボコにされて終わった。何というか理不尽だった――あたし達は本気でかかってるのに、全て完璧に防いだり避けたりしてカウンターを叩き込んでくる。かといってあたし達から攻めないと、チアーラさんの動きに反応できずにぶっ飛ばされるし……。

 姉ちゃん達が嫌そうにしてた理由が分かったよ……。


 とはいえ、訓練は大変だったけど、身体を動かしたりみんなと騒いだおかげで、感じていた気分の悪さは無くなっていた。夜中にあったことについては何も解決できては無いし、迷惑かけたくないから話す気は無いけど、皆がいるからきっと大丈夫だよね。

気分転換に訓練場に来て皆の訓練に混ざったら大変な目に会ったアーシスでした。

ひとまずは気分転換になったみたいで良かったですね。


★次話は01/20投稿予定です。

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