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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第三章 初任務編
59/103

第五十七話 ―今日の修羅の時間は終わり―

第五十七話目です。


前回に引き続き情報共有していきますよ。

「とは言っても、あくまで恐らくその可能性が高いというだけよ。

魔道具には変わりないでしょうけど、どんな物かは"狐"達の尋問の結果を待つ必要があるわ」


 すると――ピリリッ――と音が鳴った、これは通信の魔道具の、通信が来た時になる音だ。


「失礼いたしますわ――そう、そうですのね……。

わかりましたわ、そちらは引き続き尋問をお願いしますわ」


 ロザリアさんはしばらく通信を行った後、通信を終え、あたし達を見渡して口を開いた。


「たった今"狐"から、盗賊達から聞き出した情報について報告をいただきましたわ」


 そうしてあたし達はロザリアさんの言葉に耳を傾け、ロザリアさんは"狐"からの報告を話始めた。ロザリアさんはあたし達が耳を傾けたのを確認すると、報告の内容を話し始めた。


「"狐"からの報告ですと、薬も"キマイラ"も魔道具もローブに身を包んだ男から渡されたそうですわ。ただ、その男については盗賊達は何も知らないようですわね、ただ渡されたとだけ」

「そう」

「ってなると、例の薬を作ったのと魔道具を作ったのはそのローブの男が関わってるって事ことっスかね」

「できた薬と魔道具の試作品の(てい)の良い試験体にされたってところだろうね」

「ま、そんな魔物を従える魔道具なんてもんがありゃ、"キマイラ"も捕まえられるだろうわな」


 皆の会話を聞いてるに、薬と魔道具の製造元(?)は同じで、そこに関わる人間であるローブの男が試験として盗賊達に渡したってことだ。

 何であの盗賊達なのか――ラプラド王国で何かを起こすつもりなのか、それとも誰でも良かったのか――は不明のままか。

 ん?って言うか――


「なんで皆"キマイラ"は自然発生って言うのが前提なの?」

「なんでって――」

「だって、魔物を従える魔道具を作れるってことは、魔物の研究も進んでるって考えられるんじゃ……」

「「「「「!?」」」」」


 あたしがそう言うと皆驚いたような顔であたしを見た。

 え、あたし変なこと言ってないよね?もしかして人の手でつくられたわけじゃないって研究で分かってるとか?

 それにしては皆驚いた表情してるけど……。


「確かにアーシスの言うことも確かね、なんで気づかなかったのかしら……」

「とはいえまだ可能性があるだけで、確定はしてないですから」

「そうね、"狐"には両方の可能性を考慮して調べてもらいましょう」


 自分で言っておいてだけど、人工的に作られたとしたらとんでもないことだ。

 もしそうなら、あたしとしてはとても許せることじゃない、母さんはいつも『命を粗末に扱っては駄目。もし既に息絶えていたとしても踏みにじるような行為はしてはだめよ』って、そう教えてくれた。

 母さんは薬師として薬のことも毒のことも色々知ってた、だから村の人が飼っていたペットや家畜の安楽死のための毒も作ってた。

 毒は生き物の命を簡単に奪うことができる――そんな物を作っていた母さんが悲しそうにして言った言葉だ。


 魔物とはいえひとつの命に変わりない。その在りかたを人の手で作り変えるなんて、生き物に対しても、あたしの母さんに対しても、侮辱以外の何物でもない。何より、ガーナも巻き込まれるかもしれない――ガーナは人の言葉を話せる希少な存在だから。

 "キマイラ"という魔物がもし人工的に作られた存在なら、それにガーナが巻き込まれるようなことになれば、あたしは絶対容赦しない。

 夢で見たようにガーナを失くことには、させない。


「とにかく、今は"キマイラ"を国の研究部に預けて、調査を任せているわ」

「魔物の生態についての調査だと、時間がかかりそうですね……」

「ええ、おそらく氾濫には間に合わないでしょうね。"キマイラ"は自然発生の変異種の可能性もまだあるから、氾濫で出てくる可能性もあるわ。

もし今度の氾濫で"キマイラ"が出たとしてもその姿は個体によって異なるから、十分に注意してちょうだい」


 チアーラさんの言葉にあたし達はハッとした。

 もう少しすれば魔物の森からの氾濫が始まるのだが、"キマイラ"が自然発生したものなら今回の氾濫で出てくる可能性があるときた。


「これは今まで以上に警戒が必要かもしれないっスね」

「そうだね、もしその魔物が出てくれば、混乱は免れないだろうね」

「もし出てきても直ぐに対処できるように、周囲にも気を配ることにした方が良さそうだな」


 これまで何度か氾濫の対処をしてきた、モルガナ姉ちゃん、カイナート兄ちゃん、ブラッドのおっちゃんはそう言いながら、気を引き締めていた。

 あたしも氾濫の対処は初めてだが、皆の様子を見て改めて気を引き締めようと心に決めた。


 氾濫の時の役割などはまた後日、決まってから共有されることになった。

 とりあえず今回は、今後調査が必要な事と警戒が必要なことを共有して、この場は解散した。

全ては謎のローブ男から渡された物、そのローブ男の正体は……?


そして皆キマイラは自然発生だと思い込んでいましたが、アーシスの一言で飛んでもないことに気付きます。まだ可能性がある程度ですが。

魔物は自然発生――固定概念って怖いんすよね。


★次話は01/10投稿予定です。

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