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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第三章 初任務編
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第四十八話 ―潜む影―

第四十八話目です。

 ラプラド王国の南西に位置する森――北にある"魔物の森"とは異なるただの森。

 森の中に建っている一軒のボロ小屋のその中に、数人の男たちが屯っている。

 この男たちは盗賊団である。


「ローアブールじゃしてやられたが、今度はそうはいかねぇぞ……!」

「次に向かうのはラプラド王国か……」

「氾濫とやらで警備が減るからな、絶好のカモだぜ」「だが、その時期は門は閉じてるだろ」

「そんなもん先に入国してれば大した問題にならねぇだろうが」

「それもそうだな」


 そう、氾濫時はラプラド王国は門を閉じ入出国ができないようになっている。

 この男たちは門が閉じる前に入国して、氾濫が始まり次第盗みを働こうというのだ。


「だが、あそこは妙な噂があるだろ」

「確か"修羅"とか言ったか?」


 その噂とは男たちの話に出たように、ラプラド王国国王直属特務部隊"修羅"のことである。

 ラプラド国に入り込んだ盗賊・人攫いなどの犯罪者や、良からぬことを考えている輩は、罪を犯す暇もなく全員捕らえられている――そんな噂だ。


「そんなもん所詮は噂だろうが」

「仮にそんな奴らがいても殺しちまえばいいだけだろ」

「でも……」


 男の中には"修羅"の噂を半ばではあるが信じている者もいるのだが、信じない者の方が多く反論は認められないようだ。


『それなら、コレを使ってみては?』

「何者だ!?」


 何処からともなくそんな声が響き、気づくと男たちのいるボロ小屋の中にローブを羽織ったが立っていた。

 いつの間に――と男たちの額には冷たい汗が伝う。


『そんなに警戒なさらないでください。

私はあなた方にこれを渡しに来ただけですから』


 ローブ男はそう言いながら、注射器のようなものと、箱のようなものを男たちに渡し、その二つの使い方や効果について説明を始めた。

 男たちはそんなローブ男の話を興味深々に聞いている――いかに興味深い物を渡されたとは言え、正体の知れない男を信用するのは如何なものか。


「コレがありゃ敵なんぞいねぇも同然だ!」

「クククッ、楽しみだぜ……!」


 いつの間にか、ローブ男はその場から姿を消していたが、男たちにはどうでも良いことだった。

 そして姿を消したローブ男は、ボロ小屋から少し離れた木の上で邪悪な笑みを浮かべていたのだった。



 年に一度の"氾濫"が近づいている――のだが、その隙に好き勝手やろうとする輩が国内に入り込むらしい。"氾濫"に時期は門を閉めてクラウディア様が結界を張って出入りができなくなるので、"氾濫"が始まる前に入り込んでいる輩を捕らえるということだった。

 どうやってそんな情報を得てるの?って思うんだけど、それは隣国や"狐"の調査のおかげらしい――隣国からの情報は分かるけど、事を起こされる前に捕らえることができるような"狐"の調査もすごいと思う。


 今はその件について"修羅"の皆と集まって話をしている。

 つまり会議だね。


「ローベルト様からローアブールから届いた情報を頂いたのだけど、それなりの規模の盗賊団らしいわね」

「そんなになんスか?」

「ローアブールからの情報だと、60人以上の盗賊団だったらしいわね」

「だったと言うことは、ローアブールで数名は捕えられているということですか?」

「カイナートの言う通りね。

ローアブールで大半が捕らえられて、盗まれた物も殆ど回収されたみたいね」

「んで、ローアブールから西に逃げてきたから、次はこの国に来るかもしれねぇってことか」

「そういうことよ」


 流石何度も経験しているだけあって、皆スムーズに状況把握してる……。

 あたしも聞いているだけでも一通りの状況や情報は把握できた――まぁ、皆が逐一説明してくれたからなんだけどね。じゃなかったら一回で理解したり覚えたりするのは無理だよ。


「あくまで可能性が高いということだけど……」

「まぁ、ローアブールの西側なんてこの国か、北にある魔物の森か、南の普通の森くらいっスからねぇ」

「ほぼ確実にこの国に来るだろうね」

「まぁ、南じゃなくてこっちに来たのは良かったなぁ」

「そうね、ローアブールの南には学院国家があるし」


 あたしも周辺の地図を見ながら聞いていたのだが、皆の言う通りだった。

 ローアブールから西に向かっても、ラプラド王国とその北にある魔物の森、そして南にある普通の森しかない――ラプラド王国の西側には他の国もあるのだが、ラプラド王国との間に広く流れの激しい川があるからこの国目的以外ではこっちに来る意味がない。

 ローアブールから南に行けばラプラド王国とローアブールが資金支援をしている、学院国家がある。

 あの国にももちろん騎士はいるのだが、学院国家という名前だけあって学生の子供や商人が多いから、そっちに行かなかったのはこちらとしては幸いだと言うことだった――まぁ、関係者以外は基本的には入れないことになっているので、行っても盗賊団なんかはそもそも入れないらしいけどね。


「潜むとしたら郊外の倉庫と、南方の森にあるボロ小屋かしら……"狐"達にもこの二箇所と、他にも潜んでいる可能性がある場所を探してもらったわ。

それについてはこれにまとめてあるから、私は陛下に報告に行くわ。

その後に"狐"達には情報部と調査部隊と連携して確定させるために調べさせることになりそうね」


 そう言って先ほどまで見ていた書類をまとめ、チアーラさんは立ち上がった。

 今からローベルト様に報告に行くみたいだ。


「皆は調査の結果が出るまで待機ね。

それと、アーシスにも色々と教えてあげてね」


 チアーラさんはそう言うと、書類を持って城へ向かった。

 その後あたしは皆から色々と教えてもらうことになった。

なかなか仕事の場面までいかねぇ...

もう少しで多分アーシスの初任務になると思うので少しお待ちを...

私は早く戦闘シーンを書きたいんだよぉ!


★次話は11/25投稿予定です。

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