第四十五話 ―魔道具って便利なんだね―
第四十五話目です。
今回は魔道具についての話です。
今貰った装備が便利なものだってことは分かったんだけど、どうしてもこれだけは気になった。
「これさ、昼間だと逆に目立たない?」
「ふふ、それはこうすれば良いのよ」
そう言うとチアーラさんはあたしの来ている外套に手を伸ばした。
正確には外套の胸元についている宝石のようなものだ。
「【換装】」
チアーラさんはその宝石に魔力を通した――これは宝石じゃなくて魔石だったようだ。
魔力が通されるとあたしの来ている服の色が変わっていく。
真っ黒だったのが、灰色や茶色など昼間でも目立たない色合いに変わっていく。
「この魔石には魔術が施されていて、魔力を通すことで今みたいに服の色が変えられるのよ」
「消費魔力も少なそうだし、便利だね」
魔術とは、魔法とは違い物に対して魔法に近い効果を付与するもの。
勉強すれば誰でも使える術のだが、使えるようになるには何年も勉強する必要があるらしく、人間と比べて寿命の長い人種でなければ使えないんだとか。
ってことは、あったことはないけどこの国にもそういう種族の人がいるってことなんだろうなぁ。
まぁ、この国は種族関係なく受け入れているらしいから、不思議じゃないのかな。
で、その魔術の施された魔石を使った物は道具は基本的に魔道具と呼ばれている――この服も魔道具に入るのかは分からないけど……。
水道やコンロにお風呂なんかも魔道具で、国全体に普及されている。
そして魔石というのは、魔物の体内に生成される魔力が凝固したもので、魔道具や武器の材料になる物だ。
例えば剣を作るときに魔石を混ぜると、剣に対しての魔力効率が上がるんだとか――剣に炎を纏わせるっていう使い方をするときは、魔石の有無で纏う速度や威力が全然違うらしい。
普通に生活していれば魔物なんて滅多に遭遇することはないんだけど、森や海なんかでは魔物が発生することもあるから大体の国で魔道具は作られている――"魔物の森"みたいに魔物が蔓延る程ではないけど、旅人からすると十分脅威らしい。
とはいえ、この国は"魔物の森"が隣接していて、更には年に一度"氾濫"も起こるから、魔石が大量に手に入るし、その分普及率も高いんだとか。
そう考えると魔道具を作る技師からしたら楽園なんじゃ?
「それと、これね。通信用の魔道具よ」
そうして渡されたのは魔石のついたネックレスのようなものだった――魔石は小さいもので特に邪魔にもならなそうだ。
通信用ってことは離れていても話ができる魔道具ということかな? ということはロザリアさんの言っていた特殊な方法というのはこの魔道具を使うってことなんだろうなぁ。
この魔道具については聞いたことは無いので貴重な物だろう――そう考えると部外者に話せないのは納得だね。
「これは魔力を通すと"修羅"とクラウディア様とローベルト様に連絡を取れるの――連絡をする相手は魔石の上についている円盤を回して指定できるわ」
「あー、これかぁ」
ネックレスを見てみると、魔石の上に二つの小さい円盤がついている。
円盤の側面には模様がついているのでこの組み合わせで連絡をする先を変えられるようだ。
便利な魔道具もあったもんだね。
「あなたの装備についてはこんなところね。
後は、模擬戦を繰り返して慣れていきなさい、ガーナもね」
「うん」
「分かったわ」
確かに動きづらいわけでは無いが、これを来た状態で動いたことはないからね。
チアーラさんの言う通り、模擬戦を繰り返して慣れていった方が良さそうだ。
「そうそう、任命式だけど3日後に決まったわよ」
「それで、この服を着てけば良いんだよね?」
「そうね。あといつでも動けるように武器も持っておいて」
「城に行くのに武器も持ってくの?」
「式中はお城の人に預かってもらうから、心配いらないわよ」
今はかなり平和と言える状態になってはいるものの、いつ何があるかは分からない。
何かあった時にわざわざ家に戻ってくるのも時間がかかるので、このような形式になったらしい。
任命式での礼儀とかは後でチアーラさんに聞くとして、とりあえずはこの服と装備に慣れることから。
「じゃあ、さっそく訓練でもやろうかな」
「よし、任せとけ」
「張り切っちゃうっスよ~!」
「違和感があったらすぐに言うんだよ?」
おっちゃん達も3人ともあたしの訓練に付き合ってくれるみたいだ――チアーラさんは今日も仕事があるらしい。
3人は今日は特に仕事はないらしいから、こうなることは予想できてた。
その後、あたしは姉ちゃん達と一緒に訓練場に向かって訓練することになった。
今回は魔道具って?ってことと、今後使っていく魔道具についての話でした。
四十四話に続いて説明回...申し訳ない。
★次話は11/10投稿予定です。




