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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第三章 初任務編
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第四十一話 ―今後の方針―

第四十一話目です。


前話の最後にチアーラが何かをしましたが、その続きです。

 チアーラさんが部屋中に小さな雷を発生させたんだけど、何か理由があるらしい。

 言葉で言えば良いとも思うんだけど、実際に体感した方が理解も早いのもそうだしなぁ。


「ちょっとなにこれ、何も見えないじゃない……!」

「え?」


 ガーナが急にそんなことを言いだした。

 部屋中に雷が発生しているが、別に視界が遮られる程じゃない。

 ましてや、何も見えないなんてことはあり得ない。


「ガーナの魔力感知は、誰かが使った魔法に反応して、あくまで勝手に見ているだけよ。

 だから今みたいに全体を覆うような魔法を使われると、ガーナからしたら真っ白に見えるのよ」

「ああ、そういうことか……」


 雷の放出をやめたチアーラさんにそう言われてようやく理解できた。

 ガーナからしたら一面霧に包まれているようなもの――そりゃ何も見えなくなるわけだ。


「だからガーナは、自分が見ようと思ったときに見えるように、見る必要がない時は見えないように練習しなくちゃいけないのよ。

慣れれば魔法が使われなくても人の魔力を見ることができたり、逆に魔法を使われても魔力を見ないようにしたりできるの――アーシスと一緒にいるなら、ちゃんと使い方を覚えないとね」

「そうね――今みたいに何も見えなくなるなんて、たまったものじゃないわ……」

「まぁ、魔力感知の場合は魔力消費は少ないし、そこまで大変なものじゃないわよ」


 魔力感知は魔法に分類されるものの、言ってしまえば五感が強化されるようなものだ。

 常時発動しているもので、痕跡や空気中の魔力を感知しようとしない限り、殆ど魔力は消費されない。

 つまり、今まで見えていたものを見えないようにするのに、魔力は消費されないのだ。

 魔力が枯渇した時は物凄い倦怠感に襲われるのだが、それが無いのは楽で良いなぁ。


「あと、アーシスも魔力操作を鍛えないといけないわね」


 急にチアーラさんがあたしに向き直りながらそう言ってきた。

 えっ、ここであたしにも矛先が向いてくるの……?


「今はまだ込める魔力量を変えて強度や大きさを変化させているだけでしょう?」

「まぁ、うん」

「模擬戦をやった見た時に感じ、大きさの方はある程度自由が利いているみたいだけど、強度は3段階と言ったところかしら?」

「そうだね」


 あの模擬戦でそんなところまで気づいているのは驚いた――けど、チアーラさんならそのくらい気づいてもおかしくない、と思ってしまうあたりチアーラさんすごいんだよね。


「魔力操作が上手くなれば、生成済みの結界の大きさを変えたり、結界を移動させたり、もっと複雑な形にすることだってできるの。

そうすれば魔力消費も抑えられるし、戦術の幅も広げることができるのよ?」

「分かってはいるんだけど、どうにも難しいんだよねぇ……」

「魔力操作はたくさん使って慣れていくしかないからすぐにできるようにはならないけれど――ガーナが魔法の使い方を練習するんだから、あなたも一緒に訓練しましょう?」

「うっ……はい……」


 魔力を操作するのが上手ければうまいほど、できることも多くなる。

 チアーラさんの雷を纏う技術が良い例で、本来あんな使い方をすれば逆に雷で自分の身体を傷つけかねない。

 その魔力操作を鍛えるのはどうすれば良いか――チアーラさんの言った通り、魔法を使いまくるのが一番の近道なのだ。

 それも実践で――ただ使うだけでは実践の際に上手く操作できないからだ。


「あとは魔力量もね、あのくらいで魔力がなくなっていたらもたないわよ」

「う……でも、魔力量ってどう鍛えれば良いの?」

「魔力をひたすら使い切って最大量を増やすだけよ」


 なんてことだ……魔力量を増やすには魔力を使い切るしかない。

 そして魔力を使い切ると、あの物凄い倦怠感に襲われる……下手すればチアーラさんとの模擬戦の時みたいに気を失うかもしれないんだけど。

 実際、魔力量は増やさないといけないし、やるしかないかぁ……


「ガーナ一緒にがんばろ――多分ひたすら模擬戦して慣れろって言われると思うから……」

「流石にそんな――」

「良く分かってるわね、誰でも良いから空いている時間はとにかく模擬戦をしなさい。

それでアーシスは魔力操作を、ガーナは魔力感知の制御を鍛えるようにね」

「分かった」

「分かったわ……」


 ひたすら模擬戦ということを信じていないようだったが、チアーラさんの言葉で本気だと悟ったようだ。

 ガーナは分かりやすく首をもたげている。


「まあ、ガーナが戦うわけじゃないから大丈夫だよ」

「すごい速さで動いたり飛び回ったりするあなたと一緒にいるワタシのことも考えてほしいんだけど……」

「……ガーナなら大丈夫だよ……」

「なんで目をそらすのかしら……?」


 ガーナにとっては、あたしの動きもそれなりにとんでもない動きをしているらしい。

 あたしからしたら、チアーラさん達の方が意味の分からない動きすると思うんだけど。

 チアーラさんなんて、雷を纏って身体能力を強化とか意味わからないし。


「まぁ、あなたについて行くって決めたんだから、そのくらいは我慢するわよ」

「じゃ、訓練場行っか」

「え……?」

「チアーラさんはこの後は何かお仕事ある?」

「特にないから大丈夫よ」

「ちょっ、心の準備をする時間くらいは頂戴……!」


 思い立ったが吉日、というわけでは無いが鍛えておくに越したことはない。

 ガーナは何か嫌がっているようだけど、これはガーナにとっても必要なことだ。

 チアーラさんも大丈夫らしいので、少しでも魔力操作が上手く慣れるように早く訓練を始めよう。


 その後チアーラさん相手に模擬戦をしながら、あたしは魔力操作の練習を、ガーナは魔力感知の練習をしたんだけど、そっちばかりに意識を向けすぎた。

 例のごとくあたしはチアーラさんにボコボコにされた。

 たんこぶとかは出来てないので、それだけ手は抜いてくれてるみたいだったけど……


 因みにガーナの視界の共有は、あたしが自分の魔法に集中していたおかげか、発現はしなかった。

 とはいえ、戦闘に集中した時にどうなるかは分からない――模擬戦を繰り返して慣れていくしかない。

 また大変な日が続きそうだ……

今のガーナはただ見えているだけ、ガーナの意思によって見る・見ないを決められるようにならないと、それは使えてるとは言えないようです。

で、その訓練はひたすら模擬戦...その身で覚えろ!ってことですね。


★次話は10/20投稿予定です。

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