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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第三章 初任務編
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第四十話 ―ガーナの魔法―

第四十話目です。


サブタイトルの通り、今話はガーナの魔法についての話です。

一体どんな魔法なのか。

 しばらくして部屋に戻ってきたチアーラさんは、手に持っていた水晶を机の上に置いた。


「さぁガーナ、この水晶に近づいてみてもらえる?

 あなたの魔法を調べるから」

「分かったわ――アーシス」

「うん」


 ガーナは今、もはや定位置となったあたしの首に巻き付いている。

 あたしは手を机の方に伸ばすと、ガーナはあたしの手を伝って机の水晶に頭を近づけた。

 すると、あたしの時と同じように水晶に文字が浮かんだ。

 その文字は【魔力感知・視】だった。


「アーシスもだけど、ガーナも珍しい魔法の適性ね」

「そうだね……」


 魔力というのは人や魔物が持っていたり、空気中にも存在する一種のエネルギーのことで、魔力は普通は知覚することはできない――自分の持っている魔力だけは知覚できるのだがそれは別――それを可能にするのが【魔力感知】という希少な魔法なのだ。

 そして魔力感知は五感――視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚――のいずれかに付与される。

 例えば【視】であれば見ることができて、【嗅】であれば魔力の匂いを嗅ぐことができるといったところだ。


「やっぱりガーナが見た白い靄は魔力ってことになるのかな」

「そういうことになるでしょうね」

「あの靄って魔力だったのねぇ」


 自分が魔力を見ることができると分かったからか、ガーも納得したようにうなずいている。

 と思ったら、今度はあたしの右手の模様を見て――自分の身体の模様を見直した。

 従魔契約を結んだ時に浮かび上がった模様だが、これがどうかしたのかな。


「それじゃあ、この糸みたいなのも魔力なのね。

 ――今まであんまり気にしてなかったけど」

「「どういうこと?」」

「アーシスとワタシの紋様の間が白い糸みたいなのがつながってるのよ」


 ガーナの言葉を聞いてあたしは自分とガーナの紋様を見てみるけど、そんな糸のようなものは見えない――チアーラさんもあたしと同じようにガーナの言う糸は見えないらしい。

 そうなるとガーナが言う通り魔力なのだろうけど、何故?


「ガーナ、あたしとチアーラさんとか、チアーラさんとガーナとかはその糸っていうのはないの?」

「そうね――ないわ、ワタシとアーシスだけね」


 それを聞いたチアーラさんは何か考えるような素振りをした。

 チアーラさんは何か思い当たることがあるのだろうか。


「従魔契約を結ぶと、人と従魔の間に魔力によるつながりができるのよ。

 あくまでその可能性が高いだけだけれど――おそらくそれのことじゃないかしら?」

「「あぁ……」」


 チアーラさんの言葉を聞いてあたしとガーナは納得した。

 ガーナと従魔契約をした時、ガーナがあたしとのつながりを感じると言っていた――あたしも似たようなことを感じた覚えもある。

 それが何となくとか気のせいとかではなく、実際に魔力でつながっていたと言うことだったのか。

 とはいえ、しばらく契約した状態で生活していたが特に何が起こったわけでもないので、あまり気にする必要はなさそうだ。


「魔力の糸については私からクラウディア様に報告しておくわ」


 チアーラさんの発言からして、今まで実際に魔力の糸が見つかったという記録はなかったようだ。

 魔力感知も珍しい部類の魔法ではあるけど、全然いないというわけじゃない――だから、過去に魔力の糸が発見されていないのは謎なんだよなぁ。

 まあ、単純にその可能性があるとか、なんとなくそんな気がする程度だったから、わざわざ調べなかっただけなのかもしれないけどね。


「それとこの国の騎士にも従魔契約を結んでいる騎士が何人かいるから、時間があるときにでも見させてもらいましょう」

「そうだね」「分かったわ」


 現状ではあくまで、その可能性が高いとしか言えない状態だ。何故なら"魔力の糸"が確認できたのは今のところ、あたしとガーナだけだから。

 だから後日、他の従魔契約を結んでいる人たちにも同じ"魔力の糸"が存在しているのか確認をしないと、その確証ができないのだ。

 今まで確証の得られていなかったものの確証が取れるんじゃないかと思うと、あたしも少しワクワクしてきた。


「それはそれとして、ガーナの魔法が分かったのは良いけれど、あなたも使い方を覚えないといけないわね」


 今さっきまで"魔力の糸"の話をしてたのに、ガーナの魔法の使い方の話を切り出してきた。

 使い方と言っても、ガーナの話を聞く限りもう見えてると思うんだけど……

 それをチアーラさんに尋ねてみると――


「そう簡単なものではないのよ」


 と、チアーラさんからしたら、そういうわけにもいかないらしい。

 こういう時のチアーラさん――いや、チアーラさんに限らないんだけど――正直嫌な予感がするんだよね……


「例えば――【放電】」


 あたしが嫌な予感を感じていると、チアーラさんを中心にパチパチッ――と弱い雷が発生した。

 やっぱりかぁ――身で覚えろって感じかぁ。

ガーナの魔法が【魔力感知・視】だと分かりました。

主従そろって珍しい魔法って...

最後にチアーラが何かしだしましたが、その思惑とは?


★次話は10/15投稿予定です。

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