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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第二章 試験編
32/103

第三十一話 ―チャンスと痛み―

第三十一話目です。


今話も引き続きチアーラとの模擬戦の話です。

今回はアーシス視点にもどります。

一度チアーラさんの攻撃を結界で防いでから、チアーラさんの身体に――パチパチッ――と雷が纏っているのが見える。

その瞬間チアーラさんの姿が掻き消え、何とか反応して結界を生成したんだけど、簡単に砕かれてしまった。

あたしはその後もチアーラさんの攻撃を捌きながら結界で止められないか試していたんだけど――ようやく止めることができた。


(結界二つをただ生成するだけでは駄目だったけど…

 三つ密着して並べて何とか止められた…!

 でも、魔力消費しすぎたなぁ…)


雷を纏ったチアーラさんの攻撃を止めた瞬間、チアーラさんの目が見開かれたように見えた。

少しうれしい気持ちもあるが、今はそんなことを考えている暇はない。

それに、色々と試して止め方が分かったのは良いが試しすぎたせいで残りの魔力が少なくなっちゃったなぁ。


「せぇい!」


あたしは直ぐに棍を回して、今度は上段からチアーラさんに振り下ろす。


「私の攻撃を捌きながら色々試してたのね…!

 ――けど、甘いわよ!」

「避けられるのは分かってるよ!」


あたしが振り下ろした棍がチアーラさんに当たる瞬間、またしてもチアーラさんの姿が掻き消えた。

ただ、その動きは一度見ている。


「ガーナ!」

「分かってるわよ!」

「――!?」


チアーラさんの位置を探すようにガーナに声をかけた瞬間、あたしの頭に謎の光景が浮かんだ。

あたし首元から、上を見上げているような光景。

そして目線の先には白い靄が見えた――おそらくチアーラさんだろうか。


(もしかして、ガーナの見てる光景…?)


浮かんだ光景はあたしの首元からの視点。

理由は分からないけど、考えられるとしたらガーナの視点があたしに伝わったと考えるのが妥当。

でもそんなことがあるの?――あるとしたらガーナの魔法なんだろうけど…

それに、浮かんだ光景の中であたしの姿ははっきりしてるのに対して、チアーラさんの姿だけ白い靄に見えた。


「戦闘中に何をぼーっとしているのかしら?」


頭上からチアーラさんの声が聞こえて、あたしは我に返った。

同時にガーナの視界と思われる光景も消えた。


「ちょっ、ちょっとアーシス!」

「――っ、ごめん!」

「大丈夫…!?」


ガーナにも心配をかけちゃったな…

反撃しようと思っていたんだけど、間に合わないと判断したあたしはその場から後ろに飛び退いた。

先ほどまであたしがいた場所には、チアーラさんが上から旋棍を振り下ろしていた。


(っ――考えるのは後にしよう…)


あたしは先ほどの光景について考えるのを後回しにして、チアーラさんに接近する。


「はぁっ!」

「ふっ」


あたしが棍を振り下ろすと、チアーラさんはそれを右手の旋棍で弾く。

今度はチアーラさんが左手の旋棍をぶつけてくるが、あたしは魔力の消費を抑えるために屈んで避ける。

棍を振って弾かれて、チアーラさんの旋棍の攻撃を避けてまた打ち返す。


(隙が無さすぎる…ガーナがいなかったら対応しきれなかった…!)


チアーラさんとの攻防を続けていると、チアーラさんが纏っている雷の異変に気付いた。

先ほどまで――パチパチッ――と弱めだったのだが、だんだん強くなってきているように思う。


「――っ!?」


あたしがチアーラさんの雷が強くなっていることに気づいたのか、チアーラさんの姿がさっきまで以上の速度で掻き消えた。

まずい!――と思った私はすぐにガーナに声をかけ――


「――またっ…!」

「ちょっ、ちょっと、さっきからどうしたのよ!?」


ガーナに声をかけようとしたところで、あたしの頭にまた謎の光景が浮かんだ。

周りを映していた光景があたしの顔を見るような光景に変わった。

またしてもガーナに心配をかけてしまったが、今の光景の動きで確信が持てた。


「大丈夫…!

 それよりチアーラさんは…!?」

「あーもう…!

 体調が悪いならちゃんと言うのよ!?」


ガーナはそんな小言を言いながらも周りを見てくれる。

頭に浮かんでいた光景が回りを映す光景に戻ると――あたしの後ろにチアーラさんと思われる白い靄が見えた。

白い靄はさっき見えた時よりも強くはっきりしている。


「後ろ――」

「分かってる…!」


ガーナが言い切る前にあたしは振り返り、チアーラさんの旋棍を防ぐために棍を構える。


「嘘…!?」


今までより速度の上がったチアーラさんの動きに、あたしが反応した瞬間、またしてもチアーラさんは驚いたように目を見開いた。


「っらぁ…!」


あたしは驚いているチアーラさんの旋棍による攻撃を、上に弾く。

弾いたことで、チアーラさんはほんの少し体制を崩した。

見えるようになった原因は分からないが、この光景が浮かんでいる間は、今まで以上に早く反応できる。


(この光景が見えているうちに、攻め――)


「――ぐっ…!?」

「アーシス!?」


この隙にチアーラさんに棍を振るおうとしたところで、頭に激痛が走った。

考えられるとしたら、ガーナの視界と思われる、この光景を見ていることが原因。


(今日はガーナに心配かけてばっかだな…

でも、ここを逃したらもうチャンスは無い…!)


色々分からないこともあるけど、この光景が見えている今がチャンスだ。

あたしはこのチャンスを無駄にしないため、頭痛を我慢してチアーラさんに攻撃を当てるための行動を始めた。

チアーラとの模擬戦の中、ガーナの見ていると思われる光景が頭に浮かんだアーシスでした。

う~ん、ガーナの魔法ですかね...?


二回目の光景が浮かんだ時点でガーナの視点だと確信したアーシスの反応速度が上がりました。

初めてチアーラに好きと言えるものができました...!

しかし謎の頭痛がアーシスを襲う...我慢して攻勢に出ようとするアーシスですが、アーシスは耐えきれるのか。


★次話は09/01投稿予定です。

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