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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第二章 試験編
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第二十九話 ―妙な反応―

第二十九話目です。


前話に続きアーシスの二つ目の試験の話。

今話はチアーラ視点です。

アーシスに対しての二つ目の試験は私との模擬戦。

私はアーシスが対応できるように、攻撃のタイミングを少し遅らせながら行っている。


(どういうことかしら…

 死角でも反応できるように攻撃しているけれど、私が思っていた以上に反応が早いわね)


アーシスの左や後ろ側――死角からの攻撃も行っているのだけれど、不自然なほどに反応が早いように思うのよね。

私の想定ではギリギリで反応できる速度のはずなのだけど、私の想定以上の反応の速さね。


(私の思っていた以上に、この子は力をつけていたのね…)


アーシスが予想以上に力をつけていたことに、私は嬉しくなった。

しかし今はアーシスの試験中、あまり気を緩めるわけにはいかない。


「守ってばかりでは勝てないわよ?」

「分かってる――よっ!」


私は左手に持った旋棍を、横からアーシスに向けて攻撃を繰り出す。

アーシスはそれを棍でそれを弾く――右側からの攻撃への反応は私の想定していた通りの反応速度なのよね。

私は続けて右手の旋棍でアーシスに攻撃をした――


「――」

「…?」

「ふっ!」


聞き取れはしなかったがアーシスが何かをつぶやいた瞬間――身体を横にしながら一歩踏みこんできた。

それにより、私に対して横を向いている体勢になった。

私の右手の攻撃は簡単に防げるだろうが、私が左手で攻撃――アーシスの背後から攻撃をすれば対処できない。


私はアーシスがどれほど結界を使えるようになったかは分からないけれど、反応できなければそもそも結界は発動できないはず。


(焦ったわね…

 やっぱりアーシスにはまだ早いわ…)


私は右手――アーシスの正面側から旋棍による攻撃を向ける。

アーシスは私の思った通り、私の攻撃を棍で弾いた。


私は今まで追撃はしてこなかった――すぐに追撃してしまえば、アーシスは反応できないから。

しかし、ここまで焦った動きをしたとなれば話は別だ。

ここでさらに手を抜いてアーシスを合格にしても、本当の殺し合いになればこの子は殺されてしまう。

それは耐えられない。


「戦闘中に焦っては駄目よ、アーシス」

「分かってるよチアーラさん」


私は左手の旋棍――アーシスの背後から攻撃を向ける。

今までと同じタイミングであればアーシスでも反応できると思うけれど、今回タイミングはの避けられな――


「――――」


アーシスが何かをつぶやいたと思った瞬間――ガンッ――と音がすると同時に、私の左手の旋棍が何かにぶつかった。


(結界…?)


どう私やらの攻撃はアーシスの結界魔法によって止められたようね。

アーシスに当たる直前、その前で止められた。


(わざと隙のある動きをして私の攻撃を誘ったのね…)


今の私は、右手が弾かれ左手は止められている。


「やぁっ!」


アーシスの結界に気を取られた隙に、アーシスが棍を回して私目掛けて振り上げた。


(本当に成長していたのね…

 でも、これだけであなたの入隊を認めるわけにはいかないわ…)


私の攻撃を誘うほど成長していたことは嬉しいけど、まだ足りない。

この一撃を避けられた後のことを考えているか、反撃を対処できるかも見なければならないわ。


「――【雷電・纏い】」


私は今まで使ってこなかった魔法を使った。

私の魔法は雷――殆どの人が使う場合は雷を放つだけにしか使えないのだけど、私の場合は違う。

雷の魔法を発動させた私は、自身の身体に雷の魔法を走らせ、その身に纏う。


「――!?」


【雷電・纏い】は雷の魔法を身体に纏うことによって、身体能力を上昇させる技術。

普通なら発動者本人も雷によって傷を受けてしまうのだけどね。

それによって、私は一瞬――言葉通りの一瞬――でその場をから移動する。


(私がアーシスに魔法を使うことになるなんて…

 あの子の成長が嬉しくなっちゃうわね…)


私はそのまま反対側――アーシスの左側に移動する。

アーシスからは私が一瞬で反対側に移動したように見える。

私は反応できていない死角からアーシスの横腹に向けて旋棍を振るう。


「――!」

「それはもう効かないわよ」


アーシスが何かをつぶやくと、私のいる側に再び結界が生成された。

【雷電・纏い】は身体能力を上昇させる技術。

私の振るった旋棍が結界にぶつかった瞬間――バリィン!――と音を立てて結界は粉々に砕ける。

結界を破った旋棍をそのままアーシスの横腹に叩きつける。


「ぐぅっ…!」


私の攻撃をもろに受けたアーシスはそのまま訓練場の端まで転がっていく。


「ゲホッ――いったぁ…!」


(結界のおかげで威力が落ちていたわね…)


破ったとはいえ結界に当たった旋棍での攻撃は、アーシスの意識を刈り取る程の威力は無くなっていた。

結界のおかげでアーシスは行動不能にはなっていなかったようね。

それにしてもやはり引っかかる。


(完全にアーシスの死角から…しかも反応できない速度だと思ったのだけれど…)


アーシスは私の攻撃を横腹に受けはしたけれど、防ぐために結界を張った。

反応もできない速度・タイミングだったはずなのに、アーシスは反応できていた。


(模擬戦を始めてから妙に反応が早い時があるわね…

 それに、たまに何か話しているみたいだけれど、それも何か関係しているのかしら…?)


私は転がって体勢を整えるアーシスを見ながら、少し考える。

何故、反応できないはずの動きに反応できたのかを――

一度良いところまで行きましたが、チアーラが魔法で身体能力を上昇させて避けられてしまいました。

それどころかもろに脇腹にもろに攻撃くらって吹っ飛ばされるアーシスでした。


チアーラが気になっている妙に反応が早い理由はガーナです。

チアーラはガーナの存在を知らないので、なんで死角に反応できるのか分からず、理由を考えています。

いくら訓練しても見えないものには反応できませんからね...


★次話は08/20投稿予定です。

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