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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第二章 試験編
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第二十話 ―協力―

第二十話目です。


十九話目で対峙した魔熊との戦闘の話です。

二人(?)は無事逃げ切れるのか。

あたしが別の木に飛び移った瞬間、先ほどまであたしがいた木が魔熊(まぐ)によって倒される。

魔熊は今度はあたしが飛び移った木にその爪を振りかぶる。


(まずいっ…!)


さっきまでは揺すって気を折ろうとしていたみたいだが、今回は違うようだ。

あの威力の爪を木にたたきつけられたら簡単に折られるだろう。

このままこの木にいれば木から落ちた瞬間に魔熊の爪にやられる…


「くそっ…!」


あたしは直ぐにまた別の木に飛び移り、またすぐに別の木へ飛び移る。

魔熊はあたしが飛び移ってから少し遅れて、あたしと白蛇がいた木をなぎ倒す。

あたしが飛び移った木にいちいち飛びかかっているおかげで少し距離が離れた。

しかし――


「ずっと木の上を飛び移っても逃げられないな…」


あたしは距離が離れているうちに木から地面に降り、全力で走り出す。

木の間を縫うようにして、全力で走り続ける。

木々の間は狭いわけでは無いが、こうして動き続ければ少しでも距離が話せるとは思う。


「それに、あの巨体ならそんなに小回りは利かないはず――!?」


背後に殺気を感じて振り返ると、魔熊はすぐ後ろまで迫っていた。

魔熊はあたしめがけて爪を振りかぶっていた。


「早すぎでしょ…!?

 ――【結界・中】!」


魔熊の爪が振り下ろされる場所に結界を張り、棍で防御する。

バリィン!!――と結界が割られ、防御している棍にその爪がぶつかる。


「ぐぅ…!?」

「ちょっ、ちょっと!大丈夫!?」


魔熊の爪を正面から受け止めてしまったあたしは、思いっきり吹き飛ばされた。

バキバキバキッ!!――と、あたしは木にぶつかりへし折りながら吹き飛ぶ。

棍が鉄製で良かった。

訓練用の木製のものだったら魔熊の爪が当たった瞬間に砕かれて、そのまま爪に切り裂かれて死んでいただろうから。


「ごめん、大丈夫…!

 っ危なかった…結界張ってなかったら肋骨折れてたかも…」


吹き飛ばされた瞬間、あたしは咄嗟に身体を結界で囲っていた。

そのおかげでなんとか無事でいられた。

結界で囲んでいても衝撃は受けたので体は少し痛いけど…木にひっかけて傷を負ったり、骨が折れたりするよりはマシだ。


「それにしても【結界・中】でダメとなると――上級の魔熊か…」


中強度の結界が破られたからだけではない。

正面から受け止めた感じ、力が尋常じゃないくらいに強い。

いくら魔熊といえど、中級であればあんな吹き飛ばされ方はしないし、こんなに素早いはずはない。


あたしの通ってきた場所を見ると木は殆ど倒れていない。

つまり、木の間をすり抜けて追いかけてきたようで、あの巨体にも関わらず小回りも利くらしい。

そこまでの知能があるとすると、上級としか考えられない。


――グルァァァl!


「あっ――ぶなっ!」


接近してきた魔熊があたしの死角側から――一撃目は爪を振り下ろしてくる。

死角からの攻撃だったから反応が少し遅れたが、何とか受け流すことができた。

しかし安心はできない、魔熊は続けて返すように右爪を振り上げてきた。


「フッ!」


今回はしっかり見ていたおかげで余裕をもって受け流した。

一撃目の死角からの攻撃には焦ったが、二撃とも何とか受け流すことができた。

とはいえ、さすがは上級というべきか


「受け流してるのに、重い…!」


それからも何度も右爪による攻撃を防いでいるのだが、巨体から繰り出される魔熊攻撃は受け流しても腕に衝撃が伝わる程に強い。

なんとか衝撃を逃しているけど、少しでも気を抜けば衝撃を逃がしきれずに腕の骨が折れる可能性も少なくない。

ただでさえ受け流すのに集中しないといけないのに、何度か魔熊の攻撃を防いでいるうちに、あたしはひとつ気づいてしまった。


「っ――もしかしてこの魔熊…あたしの左目が見えないことに気づいてる…?」


何度か魔熊の攻撃を防いでいるのだが、この魔熊はどうにもあたしの左側からの攻撃が多く感じる。

あたしの左目は見えないけど開くこと自体はできる。とはいえその傷跡はしっかり残っている。

恐らくこの魔熊は、あたしの左目の傷と反応の速度から、左目が見えてないことに気づいているんじゃないだろうか…?


「――やっぱり…絶対気づいている…」


それからもまた何度か攻撃を防いだのだが、魔熊は執拗にあたしの左側から攻撃をしてきている。

予想は当たってほしくなかったけど、ここまで来たら確定だと思って良い。

そうなると――


「まずいな…」

「ど、どうしたのよ…?」


今のは失言だった。

助けようと思っていたのに白蛇を不安にさせてしまった…

とはいえ、かなりまずい状況なのは事実。


「ねぇ、ここから一人で逃げられる?」

「できるけど、なんでよ…?」

「簡単に言えばこの魔熊滅茶苦茶ヤバい。

 ほら、あたしは見ての通り片目が見えないから――多分勝てない…」


あたしは首に巻き付いている白蛇に左目を見せる。

あの力に速さ、それに片目が見えてないことに気づいているとなると、かなり厳しい。


「じゃあ、あなたも逃げればいいじゃない!」

「それができれば苦労しないよ…

 あたしが時間を稼いでおくから、あなたはなるべく遠くに逃げて」

「あなたはそうするのよ!?」

「あたしは…まあ、何とかなるでしょ…」


このまま戦っていればあたしは確実に死ぬ、勝てる未来も逃げられる未来も見えない。

できるとしたら、機を見て魔熊の攻撃を防ぎながら森の外まで逃げることくらい――理由は分からないけど、この森にいる魔物は森の中から出ないらしいから、それに賭けるしかない。

それでも逃げ切れるのは五分だろうけど…


「ちょっ、ちょっと…」

「最後まで助けられなくてごめんね。

 あたしのことはいいから、早く逃げて」


正直、白蛇には早くできるだけ遠くに行ってほしい。

体力的にはまだ余裕はあるけど、このままいけばあたしの体力がもたないのは目に見えてる。

だから、できるだけ時間を稼げるように、早く離れてほしい。


「あーもう!

 片目が見えないなら――ワタシがその代わりをしてあげるわよ!」

「いや、でも…」

「それに、あなたが死んだらどうせこいつに追いかけられるだろうし、他の魔物にも襲われて終わりなのよ…

 それならあなたの目の代わりになった方がまだ希望はあるでしょ!?」


白蛇の言うことも、その通りかもしれない。

でもそれでも勝てなかったら、白蛇を道連れにしてしまうかもしれない…


――グルァ!


流石にゆっくり考える時間はくれないな...!

執拗にあたしの左側を攻めてくる。


「仕方ないか…わかった――頼りにさせてもらうね、小さな白蛇さん…!」

「ええ、頼むわよ小さな戦士さん!」


あたしは本気で魔熊を倒す方向に思考を切り替えた。

出会って数分で共闘白蛇と一緒に戦うことになるとは。

二人共(?)生き残る道はそれしかない。

こんな小さい白蛇だって覚悟を決めてるんだ――あたしも腹を決めた…!

対峙した魔熊は上級のようです。

因みに上級は一般の騎士では敵わず、近衛が数人でようやく対処可能なレベルです。

まあ、一般の騎士の実力も近衛の実力も出てないので分かりづらいかもですが...近衛は騎士の中でも精鋭の騎士達で、チアーラ達を除けばこの国一の実力です。


何故白蛇が喋れるかは置いといて、生き残るために協力するようです。

二人(?)は無事魔熊を倒すことができるのか


★次話は07/05投稿予定です。

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