表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第一章 守るための力
15/103

第十五話

第十五話目です。

今回で第一章最終話です。

現在あたしは17歳。

あたしの訓練が始まってから7年が経過した。

7年間、ひたすら訓練する日々が続いた今、これまでのことを思い返していた。


今のあたしができること――

まず、単純な近接戦闘。

体術、棍、短剣2本、苦無を使い分けて戦闘を行う。

基本的には棍で戦闘するが、障害物の多い場所では短剣や体術で戦うことになる。


(短剣や苦無はしまえるからだ良いとして、棍は一回手放さないといけないのが難点なんだよねぇ…

 チアーラさんには今は気にしなくて良いとは言われたけど…)


次に鉄糸。

鉄糸を使って高所に移動したり、素早く移動したりできる。

また、鉄糸での移動ができなくなるが、相手の拘束もできる。


(初めは拘束に使ったら移動に使えなくなると思ったけど…

筒には鉄糸が何本かついてるから使い切らない限りは移動にも拘束にも使えるから結構便利)


そして魔法。

単純に囲って守ることができる魔法だ。

逆に、相手を閉じ込めることもできる。


(ただ、結界も壊されることもあるから、守りなが戦うときはあまり離れないようにしないといけないよね…

 あたしも壊せないくらい固くした結界も、皆には簡単に壊されたしなぁ…)


他にもいろいろ結界魔法でできることを、クラウディア様と調べている。

結界魔法と言ってもやってみると色々とできることが分かった。


(でも未だに詳しく分かってないことが合ったり、危ない現象が起きたりこともあるから、クラウディア様にはなるべく使わないようにって言われたんだよね…

 使わないといけない状況にならないことを祈るしかないね)


後は薬や毒について。

どんなものから作れるのか、様々な毒の対処法や解毒できる薬などの知識。

薬草や薬・毒も実際に見てどんな見た目か、どんな匂いかを覚えた。

流石に実際に使ってみるのは危ないから止められた。

(姉ちゃんと兄ちゃんは実際に自分に使って耐性を身に着けたらしいけど、正直頭おかしいと思う…

 でもって18歳、成人になったらあたしもその訓練をすることになったから怖くて仕方がない…)


最後に魔物についての知識。

魔物は、本来魔力を持たない動物が、魔力を帯びることで変質したもの。

そのため基本は元の動物の習性が反映されるのだが、魔物によっては魔物に変質した際に、魔力を感知する器官ができたり、毒を持ったり、さらには魔法を使こともあるらしい。


(魔物なんてそうそう出会うことはないけど、この国は年に一度の氾濫があるもんね…

 氾濫の対応に参加することもあるだろうから、魔物の知識も必要になるかぁ)



体力に筋力、戦い方や守り方などこの7年間で様々な力が身についた。

薬や毒、魔物についての知識も頭に入っている。


自分に力がついたことは自覚しているが、一つ変わらないことがあった。

例の悪夢は未だに夢に見る。

理由は分かってる。


(いくら力をつけても、実際に誰かを守ったことがないもんね…)


あくまで、訓練して力を身につけただけ。

国で働いているわけでもあたしは、そういう仕事をすることもなければ、そんな状況に会うこともない。


昨年も変わらず氾濫が起こったのだが、あたしはまだ子供だからと参加させてもらえなかった。

そういう仕事は18歳――成人しないと認められていないのだそうだ。


そいうわけで実感の湧いていない今は、まだあの悪夢を見続けているのだ。

相変わらず左目の傷も痛む。


(正直、早く守れるようになったっていう実感はほしいけど――今は我慢…)


まだ子供のあたしが騎士達の仕事に混ざって、邪魔をするわけにはいかない。

あたしがいるせいで状況が悪くなったら、それこそ立ち直れなくなる。


(今は訓練――あのことをチアーラさんに伝えるまでは…)


あたしがそんなことを考えていると後ろに誰かの気配を感じた。


「アーシス。ちょっと良いかしら?」

「チアーラさん。うん、大丈夫」


何か話があるようだが、なんの話だろうか。

しばらくは今までやってきたことを全て使っての模擬戦闘が主な訓練だったのだが、何か新しい訓練でも始まるのだろうか。


「ちょっとあなたの今後について話さないとと思ってね」

「あたしの今後について…?」


訓練の話をするときはいつもニコニコしているが、チアーラさんは珍しくまじめな表情だ。

そうなるとおそらく、言葉通りあたしの今後の人生についての話ということだろう。


「人を守れるようにって今は鍛えているけれど…

 あなたは今は17歳。来年になれば成人するわ」

「うん」

「その後、あなたはどうしたいのか、何をして生きていきたいのか決まってる?」

「…」


今まで鍛えることしか考えていなかったわけじゃない。

鍛えて力をつけた後あたし自身どうするか、どうしたいかモちゃんと考えてる。

本当は成人してからチアーラさんに話そうと思っていたが、ちょうど良い、今話しておくことにする。


「そのことについてはちゃんと考えてる」

「アーシス…」

「ちゃんと自分で考えて決めたことだよ。

 今日はみんないるよね、みんなにも聞いてほしいから呼んできてもらっても良い?」

今までの訓練を振り返って、力が身についたことは自覚できてますが、悪夢は消えず...

実感が湧かないと消えないようです。


将来について聞かれたアーシスは、既に考えていると答えます。

みんなを集めてなんの話を始めるのか。


本日合わせて「第一章キャラクター紹介」も投稿しているので、気になる方はそちらもどうぞ。


★次話から第二章開始、06/10投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ