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修羅の舞う夜に  作者: Lyrical Sherry
第一章 守るための力
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第十三話 ―訓練記録10―

第十三話目です。

クラウディア二魔法を教えてもらうことになりました。

クラウディア様から教えてもらった結界魔法の概要は以下の通り。


1、結界とは簡単に言えば魔力による強力な壁を作りだす魔法。

  ただし、壁1枚=1つのブロック状の結界とのこと。

2、小さい結界ほど魔力の消費が少なく、大きい結界ほど魔力の消費が多くなる。

3、込める魔力が多いほど結界の強度は高まり、込める魔力が少ないほど強度は下がる

4、壊れるあるいは時間経過で結界は消える

  結界は込められた魔力を消費し続けるので多いほど長く残る。



クラウディア様の話が終わった後、あたしはクラウディア様と共に城にある騎士達の訓練場に来ていた。

この方がこんなところにいて良いのだろうか。

因みにチアーラさんは仕事の話があるとのことで今は別行動中。


「まずは結界魔法を発動させることから始めましょう?」

「は、はい」


ここは城の訓練場なのでもちろん騎士達もいる。

騎士達からすれば、誰かも知らない小娘が王妃と一緒にいるわけだ。


(う~ん、視線が…)


周りにいる騎士達がチラチラこちらを見てくる。

その視線は特に悪い感じはしないのだが、少し気になる。

とはいえせっかくクラウディア様に教えてもらうのだから、気にしすぎて疎かにするわけにはいかない。


(今は魔法の訓練に集中しよう)

「まずはあの的を囲うように結界を作りだしましょう。」


少し離れた場所に木で作られた、成人男性の平均程の大きさで人型の的がある。

あの的を囲う結界を生成するように、とのことだ。


「的が中心になるように、どんな形でどのくらいの大きさで作り出すか意識するのよ」

「わかりました」


クラウディア様に言われたことを意識しながら、自分の中の魔力に集中する。

的を中心に、縦長であの的より少し大きめの四角の箱をイメージする。


(そして魔力を込める)


スッと身体から魔力が抜ける感覚がする。

消費した魔力は多くない、多分少ないと思う。

的の方を見てみると、四角柱の結界が的の周りを囲んでいた。


「初めてでちゃんと結界を作り出せるなんて、すごいわねアーシスちゃん」

「ありがとうございます。

 でもちょっと大きかったですね…」


結界はイメージしていたものより大きく、的の二回りほどの大きさだった。


「初めは魔法を発動させることが大事なのよ。

 大きさや強度は発動に慣れてから調整すれば良いのよ」

「わかりました。 あ、一応結界の強度確認しても良いですか?

 今の魔力の消費量でどのくらいの強度か見たいので」

「それは構わないけれど…騎士を呼びましょうか?」


結界を攻撃してくれる騎士を呼ぶということだろうか。

結界に攻撃するだけなら自分でできるから必要ないのだけど。


「いえ、大丈夫です。」

「え?」


的に近づき、結界に手刀を振り下ろす。

今度はそこら辺にある木の幹くらいなら折れるくらいの力で。


「このくらいなら、びくともしないか――

 じゃあ――ふっ」


結界に真っすぐ拳を叩きこむ。

今度はそこら辺の岩なら叩き割れるくらいの力で。

訓練のおかげでその岩程度なら殴り壊せるくらいの力は身についている。

バン――と結界から音が上がるが、特に壊れそうな様子はない。


「まだ大丈夫そうかな。

 それなら――せぇい!」


結界に横からの蹴りを叩き込む。

鉄の剣を叩き折るくらいの勢いで。


(皆みたいに殴って折るのは無理だけど、蹴りならいける――)

「――おろっ?」


結界に脚が当たった時には全く抵抗はなく、そのまま足が振り切られた。

そして――バリィン!と音を立てて結界が壊れ、的の上半身あたりから吹き飛ぶ。


「今くらいの魔力消費だと岩と鉄剣の間くらいかな――あ、やばっ….」


訓練場の的を壊してしまった。

周りを見てみると、クラウディア様も騎士達もポカンとした顔をしていた。


「あの、すみません…」

「ちょっ、ちょっとアーシスちゃん!?

(さすがに怒られる…!?)

「あなた今…結界を壊したの…!?」

「え?はい、そうですけど…

すみません、的を壊してしまって…」


クラウディア様から言われたのは予想とは異なり、叱責の言葉ではなかった。

少し戸惑いもしたが、聞かれたことに答える。


「的の事は良いの、それより怪我はない?」

「え、大丈夫です…皆に鍛えてもらいましたし」


的を壊したのにあたしの怪我の心配をしてくれた。

あたしが大丈夫だと答えると、クラウディア様はホッとしたような表情になった。


(あー、そりゃそうか…)


あたしみたいな子供が自分で生成した結界をでかい音を立ててぶっ壊したのだ。

普通あんな音がなったら誰でも心配する物だ。


(あたしがクラウディア様の立場でも心配するし…)


その後は魔法の訓練どころではなく、クラウディア様から色々聞かれた。


(もしかしてチアーラさん、クラウディア様にあたしを鍛えていること言ってなかったの…?)


なんで鍛えているのか、いつから鍛えているのか、どれほどの実力があるのか。

あたしが聞かれること全て正直に答えると、クラウディア様は度々驚いたような反応をしていた。

それからしばらくは、クラウディア様に質問詰めにされて魔法の訓練どころではなかった。


結界魔法は込める魔力量で大きさや強度が変わるようです。

でも蹴って結界壊すって何...?

ていうか当たり前のように「鉄剣だったら蹴りで折れるよ?」って言ってるのと同じこと言ってるんですが...何なんだこの娘


★次話は06/01投稿予定です。

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