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第5章 外へ

 ここまで言ったんだもんな。仕方ない。


 いつぶりだろうかこの話をするのは。


 「俺は生まれたときは普通に暮らして普通に生きていた。だが戦争が始まったとき俺はまだ幼かったのにも関わらず軍に入った。」


 「そんなに幼いのに、」


 「まぁここはエードで昔から馴染みのあるやつから聞いたんだけどな。」


 ここで続きを話そうとしたらそろそろ出ていってくれとここの施設の人に言われたので中断して部屋を出た。


 「そういやお前、えーと」


 やばいそう言えばこいつの名前を聞きそびれていた。 


 「ヴィーツェです。最初に言っていたの気づかなかったのですか。」


 「すまん。興味なくて。」


 「本当に失礼な人ですね。というかあなたの名前は?私だけ名乗るのもあれですし、それにこれからのことを考えて知っておかないと不便ですから。」


 こいつ絶対今考えたことだろ。


 ヴィーツェは廊下を歩きながら俺の方を見て子供かのように目を輝かせていた。

 「俺はクダカ。」


 「クダカ、何か変な名前ですね。クダカ。」


 久しぶりに名前を呼ばれた心地は悪くはないがなんだかこいつに教えない方が良かった気もする。


 「当たり前だろそもそも国が違うし文化も違う。そういうお前も俺にとっては変な名前になるぞ。」


 「ちょっとからかっただけですよ。」


 まるで小さな子供が楽しんでいる様にしか見えない彼女の顔にはどこか無理をしている感じにもみえた。


 「さぁそろそろ出口です。ここからが本当のこの国の姿です。」


 少し長く感じた廊下は気づけば受付らしき場所へと変わっていた。


 ヴィーツェがドアに手を掛けると覚悟を決め俺が前へ出る。


 長らく感じていなかった外の光が少しずつ見えてくる。


     「ようこそギルメルシュ共和国へ、クダカさん!」

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