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それでも僕らは生きる  作者: まっちゃー
3/9

1.メアリ4歳の日常

今回、いや基本的に一話の本文は短いです。

よろしくお願いします。

かすかな光がカーテンの隙間からところどころ差し込んでくる。まぶしいようなまぶしくないような、ちょっとくすぐったい感じ。メアリ4歳のある日の朝


「おはようございます、メアリ様。起きてください。朝です。」

「う~ん。おはよ~、アン。ねぇもうすこしねててもいいでしょ~」

「だめです。メアリ様。メアリ様一人が遅れてテーブルに着くことで、みなさんのお食事の時間も遅れてしまうのですよ。」

「う~ん。それはだめだ。」

「はい、そうです。では、頑張って起きましょう」

「ね~アン、きょうのあさごはんはなにかしらぁ?」

「…メアリ様がやっと令嬢らしく尋ねてくださるようになったわ。私侍女の分際ですが、非常に感動しております。はぁ、なんて素晴らしい朝」

「…アン?ねえ、今日のあさはなに?」

「申し訳ございませんでした。メアリ様のご成長に一人感動にひったっておりました。今日の朝食は、通常通り、パンとポーチドエッグ、日替わりのスープは牛の燻製肉とお野菜のトマトスープです。」

「ん~いつもあんまりかわらないね。」

「そうですね。貴族の中では珍しい朝食のラインナップであると私も思いますよ。」

「おとうさまはたべられればなんでもいいのよ、っておかあさまとおにいさまがこの間はなしていたわ」

「ええ。真実そうでございます。メアリ様はもっと代わり映えのある食事がよろしいとお思いですか?」

「どうだろう。あんまりそれはかんがえたことなかったわ。あまりあさごはんに出るものがかわらなくても、いつもおいしいからへいきよ」

「そうですか、それはよかったです。はい、お仕度も終わりましたね。食堂に参りましょう」

「は~い」

「…メアリ様、そこは「そうね」などと言っていただけたら私も嬉しゅうございます。先ほどまではすごく令嬢感が出せていたと思ったのに」

「わかったけど、アンはさっきからひとりごとがすごいよ?つかれているの?」

「はぁ、メアリ様が私の心配を?天使だわ…」

「そうね」

「そうです!まさしく。」

「いや、れんしゅうしただけ」


というなんとも奇天烈な会話をしながら二人は食堂に向かった。



食堂に着くと父と母は既に席についていた。

「おはよう、メアリ」

と母サラは言った。

「おはようございます。おとうさま、おかあさま」

「ああ、おはようメアリ」

父ジェームズも言った。

「あら、おにいさまがきょうはいちばんさいごなのね」

「そうね。珍しいわね。大丈夫かしら?」

そんなことを話していた時に、食堂のドアが開きメアリの兄ジェレミーが入ってきた。

「おはようございます。父上、母上、メアリ。お待たせいたしました」

「いいえ。大丈夫よ。つい先ほど私たち3人もそろったのよ。さあ祈りを捧げて、いただきましょう」

「メアリの今日の予定は何だい?」

「きょうは、ほんをよんで、がいこくのことばをならうわ。あとは、おそとにいっておにわでおはなのべんきょうをしておひるねをする。それからそれから、ごしんずつをならうの!」

「そうか~。今日もたくさんやることがあるな。自分の今出し得る限りの力を発揮してがんばるのだよ。しかし、無理は禁物だ。」

「まあ、あなた、すこし言い方が固いわ。メアリ、何事も楽しんだおやりなさい。何か困ったことがあればこの屋敷中の皆が助けてくれるわ。」

「そういう君も少し固いじゃないか」

「そうだったかしら、あら。」

「まあまあどちらもあまり変わりませんよ。」

と兄が一応間に入る。

「まあ、みんな今日も一日頑張りましょうね」

「そうだな」

「そうですね」

「そうね!」

(メアリの「そうね!」に部屋の隅で先ほどそれを彼女に仕込んだアンがガッツポーズをしているのを同僚がいつものことだとスルーしていた。)


そして、食事が終わって各々食休みをしていたころ父が

「メアリは、領地外にあまり出かけたことがないからお友達とかはあまりいなかったよな。」

「はい、でも、ちかくのおうちにいるエレーナとジョンとはおともだちよ」

「そうか。もっとお友達がほしいとか思ったことはないか?」

「う~ん、とくには。だっておともだっちってつくろうとおもってつくるものなの?」

「あーそうだな。うん。メアリの言う通りだな。まああのお方といつかどこかで会うことになるだろうから今はいいか。自然の流れに任せよう」

「ん?なんのおなはし?」

「ううん。今は領地にいるのが楽しいのだろう?」

「うん!そうなの。」

「ならば、お父さんは安心だ、という話だよ」


ジェームズの話の意図を理解していた母サラと兄ジェレミーは黙って微妙な顔をしていた。

「「まだ早いし、この娘にそんな重い役割を与えなくていい」」と内心思っていた。



ありがとうございました。

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