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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第三章 剣士と共に戦ってみよう
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第49話 小鬼王、犬鬼将

 今、俺たちは、階層主と対峙していた。正確には、リンとスズカだ。俺とホノカ、コンゴウは、壁際に引いて様子を見ていた。


 リンが前衛、スズカが後衛の形となっていた。


 リンが双剣を構え、小鬼王と犬鬼将へと間合いを詰め、スズカは袂に手を突っ込み、何やら書かれた紙を複数取り出す。


 よく見ると紙には星形の紋様と文字らしきものが、書き込まれていた。以前何かで読んだ事がある呪符に似ている。


 小鬼王と犬鬼将が身構え吠えると、リンに向かって配下の小鬼たちが殺到する。


「リンちゃん、避けて!!」


 スズカがそう言うとリンは素早く横へ移動する。それと同時にスズカは、袂から取り出した呪符を頭上に放り投げて、呪符を発動する。


「くらいなさい。聖矢!」


 次の瞬間、投げられた呪符から光があふれ出し、十数本の光の矢が生成され小鬼たちの方へ飛んで行った。


 リンに攻撃しようとしていた小鬼と犬鬼が、横へ移動したリンに目を奪われているところへ光の矢が飛来しそれらを次々と射貫いた。


「よし!」


 リンは倒れた小鬼たちの横を抜けて小鬼王に迫る。犬鬼将はそれを横目に見ながら、スズカに向けて駆け出した。後衛を先に倒しに来たようだ。


 犬鬼将が爪を伸ばして、スズカに向けて振り下ろす。


「ゴオォォォ!!」


「あまいよ! 聖障壁!」


 スズカがバックステップしながら、いつの間にか取り出した鉄扇を犬鬼将に向けて掲げると、鉄扇を中心に1mほどの円形の光の障壁が展開してそれを防ぐ。


 鉄扇の一枚一枚にも呪符と同じように星形と文字が書かれている。だが、それは一枚ずつ違う文字の様に見える。


 犬鬼将は障壁を破るべく、両手の爪を激しく振り回す。その度に「ガキン、ガキン」と金属質な音が鳴り響く。


 埒が明かないと判断した犬鬼将は一度下がると、その姿がぶれた。素早く左右に移動することでスズカにフェイントをかける。


(どっちからくる?)


 左右どちらかから攻撃すると見せた犬鬼将は、飛び上ってスズカに攻撃をしようと腕を振り上げた。


(上から!)

「解除!」


 スズカが鉄扇を横に振ると障壁が解除され、それと同時にバックステップで後方へ下がる。


 犬鬼将の一撃が床に炸裂してその床が破壊されて、周りにその残骸が飛び散る。


「あぶないな~! 今度はこっちから行くよ!」


 スズカはその犬鬼将に鉄扇を向けた。


「光弾!!」


 スズカの鉄扇の一枚が淡く光ると、鉄扇の周りからいくつもの光弾が発射される。


 次の攻撃に入ろうとしていた犬鬼将は、その光弾をまともに受けて後方へ飛ばされてしまう。


「続けていくよ!」


 そのすきにスズカが再度、呪符を取り出すと、今度は前方の犬鬼将の方へ呪符を放り、次の霊術を発動させる。


「聖槍!!」


 呪符が光を放ち、複数の槍の形に収束する。スズカが手を振ると光の槍が、犬鬼将に向けて放たれた。


◇◇◇◇◇


 一方、リンの方は、小鬼王に近づくと相手が剣を振り下ろす。小鬼王が持っているのは長剣でリンの双剣よりもリーチが長い。当然、先制は小鬼王になる。


 リンがそれを双剣で流すと、小鬼王は、それくらいは当然というように続けて連撃でリンに襲い掛かる。リンはそれを流し、躱し、弾き、連撃に負けないスピードでさばき続けた。


「なかなか、強いね。小鬼とは全然違う!」


 リンの周りに、紫がかった水滴が飛び散っていた。


「あれは毒か?」


「ああ、大した毒ではないが、掠っただけでも、動きが鈍く成るやつだ。」


「麻痺毒だな。うっかりしていたな・・・。」


「大丈夫だ。」


 小鬼王の剣には毒が仕込まれているようだ。ホノカたちは、そのことを失念していたが、液体ならば、リンには大した問題ではない。


「私は薬師だよ。その私に毒なんか効かないよ!」


 薬師であるリンは、魔力を放出することで周囲の液体を任意にコントロールできる。それは、毒であっても例外ではない。いや、毒も毒薬と呼ばれる。つまり、毒も薬の一種であり、当然その扱いも薬師の専売特許である。


 リンの腰には特殊な加工をした革帯を着けている。腰の後ろには、双剣を収める鞘が交差するように取り付けられ、両横から中央にかけて左右5つづつの筒の中で小瓶がガンベルトのように並んでいた。


 リンは剣戟の最中、剣の柄で小瓶の一個の蓋を飛ばす。剣を引いた瞬間に柄を小瓶に当てたので、余程注意深く見ていなければ見落とす程、自然な流れだった。


 その直後、リンの周りには紫の水玉から守るように金色の光が乱反射を繰り返す。


 どうやら、回復薬か解毒剤を散布して毒を中和しているようだ。紫と金の飛沫がぶつかり合い透明になる。遠目には紫のもやの色が薄くなり白い靄になっていくように見えていた。


「ギェェッ!!」


 小鬼王はいつまでも毒が効いてくる様子のないリンに対して、イラついたように雄たけびをあげた。


 かすりでもすれば相手は動きが鈍るのに、すべての剣戟が躱されてしまう。飛び散った毒の飛沫を吸い込んでも効果はあるが、その気配がまるでないのだ。


 小鬼王は気が付かなかった。毒の飛沫が中和され、ただの水となってしまっていることに。


「もう、毒は効かないよ!」


 リンの言葉にヒートアップする小鬼。


「キェーーーーーーッ!!」


 更に、相棒である犬鬼将は、もう一人の女の術師にがむしゃらに攻撃するだけで、術師の障壁を突破できないでいる。


 小鬼も犬鬼も、確かに雑魚ではあるが、その上位種である小鬼王と犬鬼将は、下位種と比べれて桁外れの強さを持っている。だが、その彼らとて、魔物全体から見れば下位種になるのだ。


 支援職とはいえ、魔狼王フェンリルロード達に鍛えられたリンと金将級の仕事人のスズカが相手なのだ。油断しなければ、小鬼王や犬鬼将ごときに倒されることはないはずだ。


「シェンランやコーガに比べれば、遅すぎるよ!」


(おいおい、さすがにシェンランたちと比べるなよ。あの2頭は正真の規格外だからな)


 防ぐだけだったリンの剣戟が徐々に速度を上げ、小鬼王の体に傷をつけ始めた。致命傷からは程遠い傷だったが、微妙に体力を削っていた。


 剣を振れば躱され、毒を飛ばせば中和され、相棒は役に立たず、攻め手がことごとく防がれて、小鬼王のイライラがピークを迎えたのだ。


「ギョキェェェェェェッ!!」


 小鬼王はそのイライラをぶつけるように叫びながら、リンの心臓めがけて剣を突き出した。


 リンは突き出される小鬼王の剣をぎりぎりで見極めて更に一歩踏み出すと、半身になって剣先を躱し、一気に小鬼王の懐に入り込む。


 それを見て驚いた顔の小鬼王とリンの目線が一瞬合い、それと同時に右の剣を切り上げて小鬼王の手首を切り飛ばした。


 リンはそのまま体を回転させ、延髄斬りで小鬼王を蹴り飛ばし、飛んでいく小鬼王を追って床を蹴ると、双剣を逆手に持ち、小鬼王の背中から心臓の位置に突き立てた。


「ギャッ!?」


 小鬼王が振り向いて驚いたような顔をしてリンの顔を見るとそのまま崩れ落ちた。


 聖槍に貫かれた犬鬼将もぐったりとしており、床に縫い付けられていた。


 小鬼王と犬鬼将、そして、小鬼たちも同時に霊石となって消え去った。


「やったねっ!」

「やったー!」


 リンとスズカが抱き合いながら喜んでいた。


「さすがだな、二人とも。私の見立ては正しかったな。それと、リン殿、すまなかった。私やコンゴウは、毒など関係ないので、小鬼王の毒のことがすっかり頭から抜け落ちていた。」


 ホノカはリンたちを褒めた後、リンに頭を下げていた。


「だ、大丈夫だよ。あれくらいなら問題ないです。」


「いや、しかし・・・、」


「気にするな、ホノカ。リンにとっては、液体ならば、毒だろうと血だろうと全く関係ない。」


「ラムルの言う通りだよ。ホノカさん!」


「そうか、わかった。」


 ホノカが毒の事を伝え忘れたのは、普通なら責められてしかるべき案件なのだろう、この場で迷宮のことを一番知っているのはホノカ達なのは確かだ。同行者に必要な事柄を告げていないのは問題だろう。


 だが、俺たちにとっては大した事ではない。これから旅をしていく上で必要な情報がない場合も多々あるはずだ。時に戦いながら、時に移動しながら、時に休みながら、変化する状況や状態に応じて対応する必要がある。


 それ故、この程度の事で対応できなくなるようなら、今後、旅を続けていけないかもしれないのだ。


 ならば、謝罪は受け入れるが、問題にはしないのがよいだろう。

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