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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第三章 剣士と共に戦ってみよう
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第45話 飛竜

 俺達が卯門ぼうもんを潜ると武者鎧を着こんだ部隊が整列していた。前線には一定間隔ごとに間を空けた斬込隊、その後ろの射線を阻害しない位置に弓兵隊、呪兵隊、それぞれが小隊を形成し、中には不揃いな装備の仕事人達の小隊もいる。

 最後尾には支援部隊の救護所、城壁内には救護所と補給物資が置かれていた。総勢150名程だろう。


「リンちゃん、私たちはこっちだよ。」


「えっ、あ、はい。それじゃあ、また後でね。ラムル。」


「ああ、後方とはいえ、気をつけろよ。」


「はーい!」


 様子を眺めながら歩いているとスズカがリンに声をかけた。リンはその距離感の近さに戸惑いながらも返事をしていた。


「では、拙僧も前へ行きます。ホノカ、ラムル殿では後程。」

「死ぬなよ、コンゴウ!」

「おう!」


 離れていく二人の少女を見送ると、コンゴウも離れて行った。

 そこへ派手な鎧武者を乗せた2騎の騎馬が駆けて行く。


「誰だ、あれは?」


「太守カートク様と父上、仕事人頭目だな。立派な鎧の方がカートク様だ。」


 あの金ぴかの鎧が立派な鎧か? 金をベースに黒や赤でアクセントをつけているが、立派というより派手にしか思えないが。頭目も黒ベースに金の飾り絵を付けていて派手だが、金ぴかが近くにあるとまだましに見えるな。

 頭目は俺達の少し前で止まり、太守は斬込隊の間を抜けて先頭に陣取った。


 俺とホノカは全体のほぼ中央、弓術士や呪術士がいる所で配置についた。


「っ!? 来たか!」


「ラムル殿、前の連中が攻撃したら、入れ替わりに私たちが、斬撃を放つぞ!」


「ああ、わかった!」


 一帯を飛竜の殺気が迸った。一部の強者がそれに気が付き警戒を強める。その時、櫓から声が響いた。


「敵襲!! 東の空に飛竜確認、数約50。距離約1000」


「総員、戦闘準備。弓兵隊、呪兵隊、攻撃準備。いつでも撃てるようにしろ。遠距離攻撃に続けて中距離攻撃を放つ。飛竜が墜ちたら、斬込隊が突っ込むぞ。」


 辺りに太守の声が響く。程なくして前方の空に飛竜の姿が見えてきた。

 それは、全長7mほどで、全身が竜鱗に覆われ、前肢は長く発達して胴体と腕、指の間に被膜の翼をもっており、長く太い尾が伸びていた。


「弓兵隊、呪兵隊、遠距離攻撃、撃ち方用意!」


 弓兵隊が弓を引き絞り、呪兵隊が、詠唱に入った。


「撃て!!!」


 号令と共に数十の矢や呪術が一斉に放たれた。飛竜の群れに次々と攻撃が命中し、翼が裂けたり、火だるまになって墜落していく。そこへ前衛の兵士たちが息の根を止めるべく躍りかかっていった。


 俺達は、矢と呪術の弾幕を抜けてきた飛竜を相手取る。

 1頭の飛竜がこちらをめがけて突っ込んでくる。ホノカが大太刀を上段に構え、裂帛の気合と共に刀を振り下ろす。


「はぁぁぁぁぁぁ!!!」


 振り下ろされた大太刀から、斬撃が飛竜に向かって飛び出す。

 斬撃が飛竜の肩口を切り裂くが致命傷にはならず、こちらに敵意を向け、飛び込んできた。

 俺はホノカの前に出ると偑月刀を抜き、複数の斬撃を飛ばす。頭、肩、翼などに被弾し、その内の一つが、翼の被膜を破り、飛竜を地面に落とした。


 その飛竜が立ち上がろうともがいているところへ、俺は追撃をかけた。飛べなくなったとは言え、攻撃の意志は失われておらず、陣の真ん中で暴れさせるわけにはいかない。


 ホノカや周りの兵士たちも、それに加わり飛竜を攻撃する。


「ふんっ!!」


 俺は弱った飛竜の首元の鱗が剥がれた所めがけて偑月刀を振り下ろすと斬られた所から血が噴き出し、動かなくなった。


「よし、次は!」


 周りを見渡すとあちらこちらで飛竜と兵士・仕事人達が戦っていた。約半数の先制攻撃で墜とした飛竜は前衛によってほぼ無力化された。残り半数は弾幕を突破し中衛の弓兵と呪兵、それに前衛から下がってきた兵士とが入り乱れて戦っていた。


◇◇◇◇◇


 コンゴウは前衛の戦闘を他の者に任せ、中衛にまで下がってきていた。近接戦闘に向かない弓兵、呪兵の所へ行った飛竜の相手をするためだ。弓兵、呪兵たちの犠牲は相当な数になっており、何人もの兵士が最後衛の救護所へ運ばれていった。


 コンゴウは身体強化を施して、棒術あるいは無手による近接戦闘を得意としている。はっきり言って空を飛ぶ飛竜とは相性が悪い。飛竜が上空からの攻撃にカウンター当てるくらいしか攻撃する手段がない。


 それでも防御力の低い弓兵、呪兵を放っておくことはできない。彼らがいなくなれば飛竜を墜とすことが困難になる。又、それ以前に自分にできることがあるなら、むざむざと彼らを殺させるわけにはいかない。


「ふん!」


 飛竜は急降下から足の爪で弓兵たちに襲い掛かる。それに気が付いたコンゴウは、錫杖を両手で掲げ、爪の攻撃を防ぐ。身体強化された彼は難なくそれを受け止めるが、その直後、尻尾が横薙ぎに振るわれ、爪を受け止めた状態の無防備なコンゴウを吹き飛ばす。


 身体強化されていなければ即死だったはずだが、コンゴウは何事もなかったように素早く起き上がった。


 飛竜はそのまま上昇しようとしたところへ、動ける弓兵の矢が飛竜に放たれた。鱗にはじかれたりもしたが、数本が翼の被膜を貫通する。少し遅れて呪法も放たれ、数発が命中する。飛竜はバランスを崩し、地面へ落下した。


「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!」


 それを狙ったようにコンゴウの錫杖が飛竜の後頭部辺りに直撃する。飛竜の後頭部は 硬い鱗に覆われ刀や剣の斬撃を通さないが、補強された錫杖の衝撃は鱗を透過して内部にダメージを伝えた。飛竜は脳震盪をおこし、身動きできずに兵士に狩られた。


◇◇◇◇◇


 最後衛にはいくつもの天幕が張られていた。怪我人を治療するための救護所だ。


 その救護所には次々と怪我をした兵士達が次々と運ばれていた。


「リンちゃん、そっちの重傷者お願い!!」


「うん、わかった。スズカちゃん!」


 天幕の中では仕事人の回復要員たちがいくつかのグループに別れて治療を行っていた。

 リンは、ホノカ繋がりでスズカと共に治療に当たっていた。


 スズカは巫女術師としてはかなり上位の実力を持っており、太守直営の治療院から上級待遇での誘いが来る程である。本人は自由を奪われるのが嫌なのと仕事人として組班の活動にやりがいを感じているのだ。


 そのスズカから見て、リンの実力は本物だった。下級回復薬を使って上級並みの効果を上げている。

 その使い方も異様だった。回復薬は飲むか、傷口に降りかけるのが普通であるが、彼女は瓶の蓋を開けるとそれに霊力の様なものを込め、霧状にして全身に行き渡らせている。つまり、雫、一滴も・・・、いや、霧の一粒も無駄にせず、使い切っている。

 飲んだ回復薬は血液の中を循環して全身の傷を治すが、その過程で一部が正常な細胞に吸収されるし、効果が出るのに暫くかかるそうだ。直接、傷口に降りかければ治りは早いが、大部分が零れたりして無駄になるのだ。


(私の治癒術でも同じように治療できるけど、あんなに早く正確に治療できない。なにより霊力の消耗が極端に少ない。大したものね!)


「おい、誰か、助けてくれ。このままじゃ、こいつが、死んでしまう!」


 天幕入口の暖簾を潜りながら怪我人を背負った男が入ってきた。


「ここへ寝かせてください。」


 近くにいた助手が、空いている簡易ベッドへ男を案内すると、男は言われた通り怪我人の男をそこへ寝かせる。


「これは・・・、リンさん、お願いします。」


 その助手は、状態をみてすぐにリンを呼んだ。


「はい!」


 リンはすぐに怪我人のところへ行き、状態を確認した。


「これは、かなりの重症ですね。表面の傷はともかく、内臓がほぼダメになっています。上級回復薬をお願いします。」


 リンは一目で状態を把握し、助手に指示を出す。これも薬師の上級技スキルだ。他の回復系のジョブでもめったに持っていない技だ。回復魔法や治癒術ではほぼ自動で治療するが、普通、薬師は回復薬やその他の薬を調合精製するだけだが、上位になればそれだけでなくあらゆる薬の使用効果を上げたり、症状を把握することによって最高効率での使用が可能となる。


 リンは上級回復薬を受け取ると蓋をあけ怪我人の横に置いて集中をする。瓶の中から液剤が霧となって漂い、リンの思うように怪我人の体に纏わつく。表面の怪我は勿論だが、内臓の損傷を癒す為、胸から下腹部にかけて回復薬の霧が染み込んでいく。そして、蒼白だった顔色が徐々に赤みをさしてきた。


「これで、大丈夫です。無くした血までは元に戻りませんので暫く安静にしていてください。」


 それを見てたスズカや他の治癒術師たちが感心していた。


「すごいね! 薬師ってこんな大怪我も治せるんだ!」

「あの人の怪我なんて私には治せないわ。」

「回復薬の効果がこんなに出るなんて信じられない。」


 スズカを始め、治癒術師たちはリンが齎す効果に唖然としていた。


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