第38話 魔狼王、白虎牙
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ご容赦下さい。(2021/1/6)
「「な!?」」
「何と言う威力だ。まるで竜の息吹だな。」
爆心地を見ながら、シェンラン達が驚くの声をあげる。光子衝撃砲による砲撃は圧倒的だった。標的諸共、その膨大な熱量で大地を焼き尽くし、抉り取った。爆炎と衝撃波はおさまったが、今だ地面の上では、溶けた地面が燻っていた。
リンは地面に降り立つと機神装甲と戦闘服を解除し、駆け寄ってくる。
「すごいよ、ラムル!!」
俺の目の前まで来ると興奮した様子で感嘆の声を上げる。
「なにあれ? 物凄く光ったと思ったら、大蛇に飛んで行って、爆発したと思ったら、何もかも無くなったんだよ。あんな、攻撃、聞いた事ないよ。」
「それは、儂らも知りたいの。」
シェンランが近づいてきてリンの言葉に乗ってきた。コーガと魔狼もその後ろで興味津々のようだ。
「あ~、そうだなあ…」
俺は知らせても良いものかどうか少し迷っていた。この世界の文化レベルでは、光学兵器は疎か実弾兵器でさえ驚異的な武器となるこの世界で、対艦戦や拠点殲滅に使う光子衝撃砲の様な大型光学兵器を見せたら、どうなるのか想像もつかない。
しかし、ここにいる連中は、機神や光剣・光銃の事は知っているし、シェンランやコーガは魔獣だから今更だし、リンは…。
(機神を動かしていたな…。)
(マスター、悩んでいるようですが、そこにいる方々には、隠す意味がありません。この際すべて打ち明けても良いかと思います。それにリン様はすでに人形使いになっております。)
(そうだな。)
「あれはだな~、異世界の兵器だ!!」
「「「はっ!?」」」
「ラムル、それだけ!?」
「ラムルよ、説明する気があるのか?」
「ラムル殿、それでは何のことかさっぱりです。」
「あ~、ほんとざっくりした説明だよ!」
「まったくだ!」
1人と2頭が、呆れた顔でため息をついた。
その時、脳内画面にメッセージが流れた。
『個体名、シェンラン』
『種族、魔狼』
『種族階梯が、上限に達しました。』
『種族進化の条件、個体名有、階梯上限到達、上位魔獣撃破。』
『種族進化の条件を満たしました。』
『進化を開始します。』
メッセージが止まるとシェンランが光に包まれる。光がおさまると一回り大きな金狼がそこに立っていた。
『種族進化成功しました。』
『個体名、シェンラン。』
『新種族名、魔狼王。』
『階梯上限が解除されます。』
『個体名、コーガ。』
『種族、魔虎。』
『種族階梯が、上限に達しました。』
『種族進化の条件、個体名有、階梯上限到達、上位魔獣撃破。』
『種族進化の条件を満たしました。』
『進化を開始します。』
シェンランと同じようにコーガも光り、白い虎が現れた。
『種族進化成功しました。』
『個体名、コーガ。』
『新種族名、白虎牙。』
『階梯上限が解除されます。』
「なんと、儂が進化じゃと!」
「こんな事があるのか!?」
「「「!?」」」
驚いたことにシェンランとコーガが進化したようだ。
シェンランは魔狼から魔狼王に、コーガは魔虎から白虎牙にそれぞれ進化した。
「なんだこの湧き出てくる力は!? 魔力の絶対量が上がったようだな!」
シェンランの身に纏うオーラが変わった。体毛が銀色から金色に、虹彩が黒色から金色になり、全身から神々しい黄金色のオーラが全身からあふれ出していた。
「体が軽い! 今ならどんな強敵でも倒せそうだ!」
コーガは白黒の虎縞の体毛になり、立派な2本の牙が生えていた。炎の様に青白いオーラが立ち上がっていた。
「何が起こっている。訳が判らんぞ!」
(マスター。先程、メッセージが流れた通り、シェンラン、コーガの両者は種族進化しました。)
(種族進化とは何だ?)
(一定の条件を満たした場合に魔獣が進化します。両者の場合は、個体名を有する事、階梯が上限に達する事、自分より上位の魔獣を倒す事、の3点が条件になります。)
(個体名はマスターが名付けましたし、階梯はシェンランがすでに上限でした。コーガは魔毒大蛇が倒れた時に上限に達しました。魔毒大蛇が上位魔獣に該当します。)
(進化の条件は、種族によって異なりますが、魔石を持たない個体は進化しません。)
「アリス、凄くよく知っているね!」
「アリスの声が聞こえているのか、リン?」
「うん!」
(リン様は、ウォーテスと接続した際に電脳感応を取得してます。全体通信、個別通信の切替も可能です。現在は全体通信の状態になってます。)
「機神が使えるようになると電脳感応も使えるということだな。」
(はい、そうです。)
「そんな事より、進化だよ、進化! 魔獣の進化なんて初めて見たよ!! しかも、金色の魔狼『魔狼王』と白い魔虎『白虎牙』なんて、お伽噺か伝説でしか出てこないような超希少魔獣だよ。」
そう言いながら、リンが金狼と白虎にハイテンションで駆け寄っていく。
「はじめまして、狼さんがシェンランで、虎さんがコーガでいいんだよね!」
もはや、魔獣に対する恐れなどリンの内から吹き飛んでいた。
「むう、その通りだが…。」
「…。」
2頭はリンのテンションに若干引いているように見えるが…。
「あっ、自己紹介がまだだよね。私はリン、パルミエルの薬師だよ。」
「ああ、儂はシェンランだ。見ての通り、たった今、魔狼から魔狼王に進化したばかりだ。」
「リン殿、私はコーガです。故あって、シェンラン殿と行動を共にしております。」
リンとシェンラン達がお互いに挨拶を交わす。だが、考えようによってはかなり異常な光景ではないのか。この世界で、魔獣と人が好意的なコミュニケーションを取っているのだ。
『レイクもいるよ~。』
そんな事を考えているとレイクのネジの外れた声が聞こえた。よく見るとリンの腕輪から、実体化したレイクが現れていた。
「ほう、めずらしいの。湖の水精霊の分霊か。」
『久しぶりだね~、魔狼の長シェンラン、魔虎の長候補コーガ。』
「レイク様、何故このような場所に?」
『リンの付き添いだよ。機神の召喚を助けるのについてきたんだよ。』
確かに召喚時の魔力量はリンのそれを上回っている。リンが機神を一人で召喚するのは難しいだろうが…、
「それ、建前だろう。本当は?」
『湖にいるの飽きた~、あたしも街であそびたいよ~!!』
「「「「…」」」」
やっぱり、レイクはレイクだな。その場にいる全員がジト目で無言のままレイクを見ていた。
「まあ、水精霊の事は置いておいて、その異世界の武器とやらの説明はどうなんだ。」
ふざけているレイクを放置して、シェンランが武器の説明に話を戻そうとしている。
『ちょっと、シェンラン、何で私を放置しようとしているのよ。』
「そうだな、それを説明するためには、まず、俺がここにいる理由から話をしなければならないが…、」
レイクが何やらわめいていたが、俺はそれを無視してシェンランに答える。
「落ち着いて話したいから、秘密基地まで来てもらおうか。」
俺がそう言うと約1名を除いて了承した。
その1名は大分ブツブツと言っていたが、リンが宥めていた。レイクが落ち着くとリンがシェンランに俺がコーガに乗って戻ることになった。
リンはシェンランに乗ると「フワフワで金色のモフモフだ~あ!」などと宣っていた。
(まったく、魔狼や魔虎はA等級の魔獣だからと怯えていたのに現金なものだ。)
進化したのだから、危険度は上がっているはずだか、シェンランの目は、まるで孫を見る爺さんのようにも見える。コーガはそれを微笑ましそうに見ていた。こっちは年の離れた妹の気分か。
まあ、俺の主観だから実際に本人等がどう思っているか知らんが。そんなこんなで俺達は帰路に就くこととなった。
リン:「シェンランおじいちゃん、乗せてくれる。」
シェンラン:「おう、いいぞ、さあ乗るがいい。」
リン:「わ~い、おじいちゃんの毛皮フワフワのモフモフだ~!」
シェンラン:「お~、そうか、そうか(ニコニコ)」
リン:「(スリスリ)気持ちいい~!」
コーガ:(じぃ~、私の毛皮もフワフワですよ。リン殿)
リン:(スリスリ)
シェンラン:(ニコニコ)
コーガ:(じぃ~)
ラムル:(はあ~)
レイク:「あたしの話も聞いてぇ~」




