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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第二章 薬師に出会ってみよう
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第32話 魔狼魔虎

 俺達二人は、パルミの森の中層域を駆けていた。リンが一緒だったのでそれほど速度は上がらないが、それでもかなり速いペースで進んでいた。出会う魔物の数はかなり多いが一撃で倒しているのでペースが落ちることは殆どなかった。たまに討ち漏らしも出るが、それはリンが止めを刺していた。B等級ランクの魔物ばかりの為、リンは驚きながら戦っていたが、俺は気にせずに先を急いだ。


 そうしている内に一頭の魔獣が目の前に現れ、俺は反射的に偑月刀振り下ろした。


「えっ!?」


 その直後、魔獣と目が合い、慌てて偑月刀を止めようとしたが止めきれなかった。魔獣は慌てもせず後ろに飛び刀を躱した。


「ラムル殿っ!!」


 その魔獣、いや、魔狼フェンリルウルフが俺の名を呼ぶ。俺はその魔狼を凝視した。見覚えのある魔狼だった。


「ミンランか?」


「はい、そうです。お久しぶりです。」


「ああ、久しぶりだな。すまなかったな、突然現れたから、危うく斬ってしまうところだった。」


「いえ、大丈夫です。ラムル殿が本気で斬るつもりなら、私は無事ではすみません。」


「ところで森がおかしくなっているようだが何が起こっている?」


「はい、はっきりとしたことは言えませんが、湖の更に奥で何かとんでもないことが起こっているようです。シェンラン様とコーガ殿が何頭が連れて調べに行っております。我々は、奥から出てきた魔物に対応するため領域テリトリー内を巡回していたところです。」


「そうか、やはり異常が起こっているのだな。」


「あ、あのう、ラムル、その魔物って…?」


「ああ、魔狼のミンランだ!」


「魔狼…!? って、A等級の魔物だよね? 何、普通に話しているの?」


 リンは俺が魔狼と普通に話をしているのに驚いている。そんなに驚くほどのことなのだろうか? 俺はリンの問いに答えず、ミンランにリンを紹介した。


「ミンラン、こいつはリンだ。よろしく頼む。」


「リン殿だな。初めまして、私はミンランです。よろしくお願いします。」


「いえ、リンです。こちらこそ、よろしくお願いします。」


 ミンランの挨拶にリンが反射的?に挨拶をかえす。


「って!? 違うよ!! なんで魔狼と普通に話をしているのよ! おかしいでしょう!」


 なんか、リンが一人でボケ突っ込みをしている。


「森で魔狼に会ったら、即行で逃げるなきゃだめだよ!!」


「お嬢さん!」


「はい。」


 俺がどうしようか悩んでいるとミンランが、リンへ声をかけた。


「我々は、人から危害を加えられない限り、こちらから攻撃することはありません。ごくまれにはぐれ魔狼が、人に手を出すことはあるかもしれませんが、それは狩られても仕方ありません。」


「えっ、あ、あ、あっ、あわ、あわ、」


 リンがミンランに話しかけられて、酸素不足の鯉のように口をぱくぱくさせている。


「おちつけ、リン。」


「えっ、あ、う、うん。」


「はい、深呼吸!」


 リンが俺に言われた通りに2回3回深呼吸をした。


「落ち着いたか?」


「うん。」


 リンは改めてミンランを見ると、魔狼らしからぬその優し気な瞳がリンを見返していた。


「御無沙汰してます、ラムル殿。」


 ミンランの後ろから、二頭の別の魔狼が姿を現した。


「ああ、お前たちも久しぶりだな。」


 俺は現れた魔狼達に手を挙げた。


「ミンラン、すまないが湖へ行きたいんだが、俺たちを乗せて走ってくれるか?」


「わかりました。私はこの辺りから離れられませんので無理ですが、この者たちを使って下さい。」


「頼んで何だが、いいのか?」


「シェンラン様も他の者も帰ってきません。かなり時間が経っていますので伝令も来ないのはおかしいです。深奥で何かあったのでしょう、様子を見に行くのに丁度良かったです。」


「そうか、なら頼む。」


「ロクラン、クウラン、頼んだぞ。」


「任せろ、ミンラン。二人を送り届けて、状況を見てくる。」


「このフェンリル一の俊足のクウランに任せなさい。」


 ミンランに指示を受けて、ロクランとクウランは付近の警戒ばかりでストレスでも溜まっていたのか、ものすごく張り切っていた。


「よし、俺はロクランの方へ乗る。リンはクウランに乗せてもらえ。」


 そう言いながら俺はロクランに近づいていくと、クウランがリンの方へ寄って行ったが、リンはキョトンとしていた。


「ラムル、魔狼に乗るの? 私が?」


「状況はかなり切迫している。ゆっくりしている暇はない。」


「う、うん…」


「リン、だったね。私は、クウランだよ。別に捕って食ったりしないから安心しな。」


「うん、それじゃ、お願いします。クウラン」


 そう言いながら、リンが恐る恐る地面に伏せていたクウランの背に乗った。


「わあぁ、すごくフワフワしている。」


 何やら、クウランの毛触りに感動しているリンがいる。


「それじゃ行くぞ。ロクラン、クウラン、頼むぞ。」


「「はい!」」


「リン、しっかり掴まっているんだよ!」


「うん、わかった。」


 リンがクウランの首元にしがみつくと勢いよく二頭が走り出す。


 ものすごい速さで周りの景色が流れていく。

 魔狼は森を駆けて獲物を捕らえる魔獣だ。その圧倒的な走破能力は他に類を見ない。そして、その速度でもまだ全力疾走ではなく、長距離を走るために体力を温存しながらの走行だ。知ってはいたが、改めて驚かされる。


 で、リンはと言うと…、

 

「きぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 悲鳴を上げていた…。それでも、振り落とされないように必死になってクウランにしがみついていた。


 恐らくだが、これでも速度を控えているのだろう、二頭とも揺れが少ないように走っているように思える。


 リンは話をする余裕はなさそうだったので、俺は状況確認のため、電脳感応で呼びかけた。


(アリス、聞こえるか?)


(はい、マスター。)


(森の奥で異常があるようだが、何か情報はないか?)


探査機シーカーを飛ばしていますが、光学遮蔽がかかっているエリアがあり、状況把握が出来ません。エリアの中にも飛ばしてみましたが、通信が途絶しました。)


(撃墜されたのか?)


(原因は不明です。ステルス機能に加え、反重力装置で飛んでいますので撃墜の可能性は低いかと思われます。)


(その時の映像はあるのか?)


(はい、動画はないですが、静止画なら途絶する直前に送られてきました。)


 頭の中にファイルが転送されてきた。開くと脳内に画像が表示された。


(あれは、魔狼フェンリルウルフ魔虎タイガーファングか!? 画像ではよくわからないが、何かと戦っているようなだな。)


 1時間程で秘密基地の入口に到着した。(不本意であるが、戦闘人形ドールが動かせないので湖の拠点をを秘密基地と呼ぶことにした。)

 俺たちの姿を見て何頭かの魔虎が寄ってきた。


「ソウガ、久しぶりだな。」


「ラムル殿、よく、お戻りになられました。」


「ああ、すまないが、急いで中に入りたい、道を開けてくれ。」


 俺は、ロクランから降りるとソウガにそう告げた。集まっていた魔狼達が横によけ、道を開けてくれた。


 リンはぐったりとした様子で魔狼から降りた。平衡感覚を失ったようで降りた瞬間によろめいたので俺は横で支える。


「あ、ごめん。」


 リンはすこし、顔を赤らめながら謝って言葉をつづけた。


「あ、あの、ラムル。この魔獣って、魔虎だよね!?」


「ああ、そうだが、何か問題か?」


「はあ…、」


リンが、大きなため息をつきながら、肩を落としていた。


「普通じゃないとは、思っていたけど、魔狼だけじゃなくて、魔虎まで手なずけていたなんて…。」


「別に手なずけた訳じゃないぞ。意思疎通が出来るんだ。無駄に争う必要はないだろう?」


「それはそうだけど…、魔狼とか魔虎と意思疎通できるのは高位の魔獣使い(テイマー)くらいだよ。それを当たり前に言うラムルはやっぱ異常だよ。」


「そうか? まあ、そんなもんだと思っておいてくれ。」


「行くぞ。」


 俺はまだよたついているリンを連れて洞窟に入って行った。


 その後、俺たちは、洞窟から瞬間物質移送装置で湖の拠点、秘密基地へ転移した。そこではレイクとアリスが待ち構えていた。


「おっ帰り~、ラムル。」


 レイクがそう言いながら、俺の周りを飛び回る。


「ああ、ただいま、アリス、レイク。」


「お帰りなさい、マスター。」


 アリスが戦闘人形ドールの目を点滅させていた。


「彼女が、リンだ。」


『アリスです。よろしくお願いします。』


「レイクだよ。よろっしく~。」


アリスは律儀に、レイクはふざけた様にリンに挨拶をする。


「リンです。え~と、レイクさんは、妖精さん? アリスさんはゴーレムですか?」


リンが戸惑いながら、微妙な挨拶を返した。


「わたしは、妖精じゃなくて湖の精霊だよ!」


「えっ、あ、あの伝説の湖の精霊様ですか?」


「そっ、伝説とかは知らないけど、湖の精霊ね。」


 レイクが興味深げにリンの周りを飛び回りながらそういった。


『私は、ゴーレムではありません。戦闘人形ドールの操縦をサポートするAIです。戦闘人形の音声装置スピーカーを使って喋っています。』


「!? えーあい? すぴーかー? えっ、何それ???? 『どーる』ってラムルの召喚呪文だよね!?」


 リンはレイクが精霊である事に驚き、アリスの言葉が理解できずにその場で頭を抱えて項垂れてしまった。


「リン、戦闘人形は巨大な魔道具アーティファクトだ。アリスはその魔道具を制御する人造の人格だ。音声装置は魔道具に取り付けられた声を出す小型の魔道具だ。」


「よくわからないけど。すごい魔道具ものって事ね。」


(リン、おまえ、理解するのを放棄したな!)


「なにか言った、ラムル?」


「いや、何でもない。」


 俺はそう言いながら、リンから目をそらし、その直後、レイクがリンに話しかけた。


「ねえ、リン。貴方、水魔法使える?」


「えっ、レイク様。私は魔法なんか使えません。」


「そう、おかしいな~、リンから水の魔力を感じるんだけどな~。」


「そうですか?」


「と~っても静謐な水の魔力だよ。」


「静謐な水の魔力?」


「ん、回復効果のある水。え~と、人の町では何と言ったかな~」


回復薬ポーションですか?」


「あ、そうそう、それ!」


「だったら、私が薬師だからですか。回復薬とか解毒薬ポイズンドラッグを作るのに魔力を使っているんですが…。」


「あ~、それでか~、薬を作るときの魔力が、魔力の性質に影響を与えているんだ。」


 なんだか、レイクが自分だけで納得している。


「レイク、いいか。アリスも。」


「ん。」

「はい。」


「これから俺は森の深奥に向かう。その間リンのことを頼む。」


「えっ、ラムル、一人で行くの?」


 リンが驚いた顔でこっちを見つめてきた。


「ああ、今あそこへ行くのは危険だ。情報がないからはっきりした事はわからないが、嫌な予感しかしない。」


「でも、ラムルはそんな危ないところへ行くんだよね。」


「魔狼や魔虎たちが、あそこにいるんだ。あいつらは、俺がかなわないほど強いんだが、いつまでも戻ってこないということは、何か予想外のことが起こっているはずだ。それを見捨てることはできない。」


 俺がそういうと、リンは不満そうだったが、何やらため息をついて諦めたようだった。


「はあ~、わかったわ。ラムルは言い出したら聞かないもんね。でも絶対に無理はしないでね。」


「勿論。俺だって命は惜しいからな。」


「ん、約束ね!」


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