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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第一章 異世界で水遊びをしてみよう
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第2話 流星発現

いきなりですが、本編から外れまず。

登場予定の5人です。

異世界要素が欲しかったので入れちゃいました。(^_^;)

◇◇◇◇


「おとうさん、この薬瓶は、ここの棚でいいの?」


「あっ、それは、向こうだ。ピリリ草って書いてる棚だよ。」


「ここだね、わかった。」


 少女が、父と思われる男の片付けの手伝いをしていた。


 そこは、広くはないが、カウンターがあり、多くの棚が壁一面に広がってり、棚の上には、大小さまざまな瓶が、所狭しと並んでいた。


「もう、いいぞ。あとは、父さんがやっておく。」


「うん、わかった。これだけ片づけたら行くね。」


少女はそう言うと近くにある瓶の山を手際よく片付けていった。


「終わったよ。」


「ありがとうな。助かったよ!」


「どういたしまして。それじゃあ部屋に戻るね。」


 奥の方の棚は、引き出しになっており、ラベルが貼られたそれは使い易く整理されていると思われた。


 その横を少女は軽く足取りで抜けてさらに奥の扉を開け、

「おかあさん、店の片付け終わったから、部屋に行くね。」

そう母親に言った。


「お疲れだね、もう、今日は遅いからゆっくりおやすみよ。」


「はぁ〜い、おとうさんも、おかあさんも、おやすみ〜」


「「おやすみぃ!」」


父親と母親が同時に返事を返すと少女は階段を駆け上がリ、自分の部屋に入って言った。


「ああっ、今日は結構忙しかったなぁ〜」


扉を閉め、ベッドの脇でそう言って伸びをし、そのまま転がり込んだ。


「あっ、窓を閉めなきゃ、」


「流れ星⁉︎」


 ベッドに入ろうとしていた少女は、ふと窓を閉め忘れていたのに気付き、窓際に近づくと、その向こうの夜空に一条の赤い筋が目に入ってふと漏らした。


「流れ星かぁ、赤いなあ、なんか変な感じがする。」


 不思議そうにそれを見ていたが、やがて、山の向こうに消え去るのを見届けると窓を閉め、ベッドの潜り込むのであった。


「まあ、いっか」



◇◇◇◇


「今日は3本か、千本まであと7本だな。」


 大きな橋の袂で籠を覗きながら言った。


 和装に袴姿、心臓を守る胸当てをつけ腰には大振りの刀を佩用(はいよう)している少女だ。


 籠には、剣が2本、槍が1本、入っていた。

 少女は、それを右肩に担ぎ上げると颯爽と歩き始めた。


 もう間もなく日が暮れる。その前に町に入ろうと急ぎ足の人々がチラホラといた。

 少女はその流れに遅れまいと歩を速め、やがて、街の門に着く頃には、日もどっぷりと暮れていた。


「よう、嬢ちゃん。今日も大漁だったかい。」


顔見知りの門番が少女に問いかけた。


「まあまあだな。6人に挑んで3人に逃げられたよ。」


「てことは、、3人が嬢ちゃんの餌食になったんだな。」


「餌食なんて人聞の悪い事を言う運じゃない。これは、正当な取引だよ。私が勝負に勝って得たんだから。」


「嬢ちゃんの強さも知らないで、受けた方もバカだねえ。」


「無駄話をしていて隊長さんに雷を落とされても知らないぞ。ほら。」


 少女は慣れた様子で通行税を渡し門を潜った。


 そして、夜の賑わいのある大通りを歩いていた。


 少女は、夜は、決して路地を通らない。賑やかで人も多く、道幅の広い所ならともかく、如何に腕が立っても狭い路地で複数人に襲われたら、助からない。助かったとしても、こちらもただでは済まないだろう。


 やってる事がやってる事だから、ある程度は、覚悟している。


 正当な勝負に勝って報酬を得たとしても負けた方は、恨みを抱くものだ。


 だけど、目的を達成するまでは、誰にもやられる訳には、いかないんだ。


 そう思いながら歩いていた。

 空の方から誰かに呼ばれた様な気がして、ふと夜空を見上げてみた。


「んっ⁉︎」


「赤い星が流れた⁉︎」


 何かに惹かれように、しばらく、それを眺めていた。


そして、


 流れ星が消えると再び、宿屋に向けて歩き始めるのだった。



◇◇◇◇


「師匠、鉱石をここへ置いておくよ。」


「おう、ご苦労だったな。それはこっちへ持ってきてくれ。丁度、炉が暖ったまってきた所だ。今から、製鉄をする。お前も見ていけ。」


「えっ! 見せてもらえるのかい。」


「儂は、滅多な事じゃあ製鉄はせん、よく見て覚えとけ。」


「うん、わかった。」


 ここは、岩山をくり抜いて造った洞窟だ。その中央より右寄りに鉄鉱石を溶かす為の大きな炉が座っていた。炉の上部からは太い煙突が上に伸びて岩の天井に繋がっていた。さらに、岩の中を通って外まで続き、煙を外まで排出していた。


 彼らは皆、一般的な人族より、背が低くく、発達した筋肉が見て取れた。男は揉み上げから口周り、顎まで髭が広がっていたが、少女には生えていなかった。


 目を火から守る為のゴーグルと耐熱の前掛けを付け、袖や裾は引っかからない様に革のテープを巻いたり腕当てや脛当てをしていた。


 一人の男が、炉の上部から少女が持ってきた鉱石と燃焼材を交互に放り込んで蓋を閉めた。師匠は、それを確認すると中に風を送り込む為に(ふいご)を勢いよく動かした。


 少女は、一瞬も見逃さない様に師匠の動きと炉を見つめていたが、やがて、炉がゴウゴウと音を立て始め、上の方にある四角い金属のパーツの一部が赤くなると、鞴を動かす速度を落とした。


 「おめえら、温度板は当てにするんじゃねぞ。音で覚えるんだ。いいか!」


「「「はい!」」」


 しばらくすると「そろそろだな」と師匠が言い、先っぽに鉤の付いた棒を器用に操作して炉の下側にある小窓を開けた。すると真っ赤に溶けた鉄が流れ出し、バチバチと火花を散らしながら、石で造った器の中に流れ込んだ。


「よし、今日はここまでだ。明日は、こいつをもう一度、炉で溶かして純度を上げていく。」


師匠はそう言うと少女のほうを見た。


「お前はもう、帰りな。オババが待ってるぞ。遅くなると儂が怒られるからな!」


「うん、わかった。」


「ああっ、そこのハンマーを持って帰ってくれい。」


「これだね。じゃあ先に行くね。」


 少女はハンマーを無造作に肩に担ぎ上げ、洞窟の入り口へ向かった。


 外へ出るとすでに日は沈み、辺りは暗くなっていた。夜目が効くのか、迷いのない足取りで、斜面を降りていたが、不意に赤い箒星が眼に入った。


「なんだろう、この感じ。」


しばらく見入っていたが、山の向こうにそれが消えると再び、歩き出し暗闇の向こうに消えていった。



◇◇◇◇


 人里離れた森の奥深く、樹上で望遠鏡を覗き込んで星の観測を行なっている少女がいた。


 背が高く、細長い手足、尖った耳、頭には羽の付いた帽子をかぶり、背中に弓と矢を背負っている。


「風が騒いでいる。」


少女はいつもと違う風の様子に小首を傾げていた。


「風? 違う、風だけじゃない、いろんな精霊が、騒ついているんだ。」


 彼女達の一族は、森に住む多くの精霊達と意志の疎通が出来る。少女は風の精霊と相性が良い様だ。他の精霊は、何となく雰囲気を掴めるが、風の精霊は、はっきりとした意識を感じることができる。


『来る! 落ちて。力が。災厄が...? 希望が...?』


「どういう事なの。風の精霊さん。」


 いつもは、会話が出来るのに今は言っている意味が分からない。


『空が…、空から…、』


「空?」


「空がどうしたの?」


『力のある何かが…』


「力?」


『…来る、落ちて…』


「落ちる? 何が?」


 少女の周りを精霊の光が無軌道に飛び回っている。それはまるで得体の知れない何かに怯えていろ様な感じだ。


 一際大きい緑の光が、少女に近付いてきた。


『空を見て、西の空を…』


「西の空?」


 言われるまま、西の空に視線を向けると、今まで見た事のない大きく赤い光が空を横切っていた。


「えっ⁉  あれ、何っ? 赤い、彗星?」


いつも観察している星とは、明らか違っていた(別に3倍のはやさのあれではないが…)。普通の流れ星なら、あっと言う間に消えてしまって、動体視力の良い私たちですら、視界に捉えるのが難しい。なのにあの光は、まだ、消えていない。なので彗星の様に思ったのだが、やがて、南の方向へ消えていった。


「違った。何かな?」



◇◇◇◇


 暗い洞窟の中、洞窟と言っていいのかどうか、暗いために当たりを見回すことができなかった。やがて篝火が、一つ、二つとまるで通路を示す様に次々と燭台の上に灯っていき、階段が見えてきた。階段の燭台にも順番に篝火が灯り、2階ほどの高さのところで止まった。その奥の祭壇の様な物の中央に玉座らしき豪華な椅子が見えた。それが暗闇の中に浮かび異様だった。


 玉座に座っている少女が現れた。そう、座ったのでなく、座っている少女が現れたのだ。唐突に前触れもなく。少女の顔が揺らめく篝火に照らされていた。


 かなり広いのだろう。篝火の明かりだけでは、広さがわからなかった。


 少女はフリルのついた黒いドレスを着て、頭にはカチューシャ、俗に言う「ゴシックロリータ」というものだろうか。そして、背中には、小さく黒い蝙蝠の羽が生えていた。


 目蓋を閉じ、肘当てに右肘をつけ、拳で顎を支えている。


 何かを感じ取った様にゆっくりと瞼を開くと一言つぶやいた。


「大きな、力を持った、何かが落ちてくる…、空の上から?」


 此処からは、空を見ることは叶わない。にも関わらず、拳を顎から離し腕を下げるとゆっくりと顔を上げ、見えない筈の空を見上げた。気怠そうな、気になる様な、複雑な雰囲気の表情で闇の向こうの更にその先の向こうを見つめていた。


「力が?」


「降って来るのか?」


「ふう…」


 ため息をつくと興味を無くしたのか、眼を閉じると気配が消え、その姿も蜃気楼の様に揺らぎ闇の中に消えていった。


 少女の姿が消えると逆回しの様に篝火が消えていくと祭壇が闇に消え、次いで階段が、やがて、すべての篝火が消え、周りには元の暗い闇だけが残された。



◇◇◇◇


ありがとうございます。

次話は、本編、主人公に戻ります

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