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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第一章 異世界で水遊びをしてみよう
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第1話 自由落下

本編の始まりですが、異世界らしくないです。

そこの人、逃げない、お願い!(笑)


 ここは、とある太陽系のとある惑星の衛星軌道上。


 何もない宇宙空間に突如、魔法陣が現れ、白銀に輝く鎧の様な物がその中から現れた。


 太陽から降り注ぐ暴力的な程の強力な光に鎧を照らされながら、宇宙空間を漂い始めた。


 動くこともなく、ただ、漂うだけであった。


 誰も見ることもなく、光が乱射する様は、神々しくも見えなくもなかったが、仰向けで漂う姿は、何か異質なものを感じさせた。


 鎧の様に見えるそれは、汎用人形機動兵器「戦闘人形(ドール)」である。全ての機能が停止したまま、次元断層に引き込まれてここに転移したのだ。



「んっ、ここは?」

「気を失っていたのか?」

コックピットで目を覚ました俺は、周りを見回した。


さっきまでと何も変わらない景色、コックピットの中は、非常灯の灯りだけが薄暗く瞬いていた。


「あっ、そうだ。さっき次元断層に呑み込まれて…、あれからどれ位経っている?」

時間を確認しようとモニターを操作してみるが、反応がない。


「くそっ、動かないか。」


「アリス、アリス、返事をしろ。」


「ダメか、システムがダウンしているな。生命維持装置は、大丈夫そうだが、いつまで持つか。」

エネルギーも限られている。このままでは、遅かれ早かれ、死ぬしかない。


 一度、すべてのシステムをシャットダウンし、起動スイッチを押してみてしばらく様子をみる。


 立ち上がる気配がなかったので今度は、起動キーを非常用コンソールに差し替え、再度、起動スイッチを押す。

 するとモニターに文字が現れた。

『保存端末情報復元中…』


 それから数秒、モニターが明るくなり、『人工知能AL3起動中。しばらくお待ち下さい。』と表示され、それと同時に全天球モニターに外の景色が映し出された。


 そこには真っ黒な宇宙空間と蒼い惑星がうつしだされた。


「よし、再起動に成功したなぁ。」


「あの惑星は、何処の星だ?」


 モニターを見ながらそう呟いた瞬間、表示が変わった。

全世界記録(ワールドライブラリ)書込構成中』


「全世界記録?」

「何だ、それは?」


『マスター!』


「起きたか。アリス。」


『申し訳ありません。マスター。不覚にもダウンしていました。』


「AIでも不覚をとることがあるのか?

まあ、色々言いたいことはあるが、それより今は、生還の方法を捜す方が先だ。」


『はい、マスター!』


「現状把握は出来ているか?」


『現在、機体の稼働は出来ません。

サブシステムで動いている為、起動中のメインシステムが動きだすまでは、身動きが取れません。再起動完了まで約100秒です。』


『その後、全システムの自動再構築まで15分ほど掛かります。』


『それから現在位置ですが、不明惑星の衛星軌道上を周回しています。自由落下で徐々に高度を下げていますので大気圏に突入するのは時間の問題と思われます。ただ、大気圏までの距離が計測出来ていませんので正確な予測は困難です。』


『計測機器の再構築が終わるまでは、お待ちください。外部カメラ画像から、推測すると大気圏突入まで15分から30分程と思われます。』



「それは、大気圏突入に間に合わないと言う事か?」


『そうなります。』


「だが、こんな所で諦める、」『私達じゃないです!!』


俺の言葉を遮り、アリスが言葉をつづけた。


「人の台詞セリフを取るんじゃない。まったく、誰の影響だ⁉」


『それは、もちろん、マスターです!!』


成長するのは人だけではない。「AI:アリス」もまた幾多の戦場をラムルと共に駆け抜けてきた中で成長してきた。。


パイロット(マスター)の意を受け、又、思考を先回りして行動しなければならないのだ。


その真価が、今、発揮される。


「15分しかじゃない、」

『15分も有ります。』


「まただ、」

『てへ、』


「『てへ』じゃない、まったく。遊んでいる暇なないぞ。」


そう俺が言った瞬間、二人(?)はおふざけモードから、真剣モードに変わった。


「全システムもいらん!」


「手動でいく!」


「最低限の姿勢制御と耐熱フィールド構築だけで良い!」


『ラジャー‼︎』


「アドミニ権限開放!」


『カンリシャ ヨウセイ ジュダク。』


『カンリシャ ノ カクニン ヲ オコナイ マス。』


アリスとは違う機械音声が響いた。


彼女とは別のシステム管理コンピューター(SCC)だ。


AIの暴走を防ぐ為、権限開放はパイロット(マスター)か管理技士にしか出来ない。


パイロットスーツ通して本人確認の全身の走査が行われた。


『シンタイ カクニン シュウリョウ。』


続けて虹彩による認証のため、瞳を内部カメラに向けた。


『コウサイ カクニン シュウリョウ。』


『マスター「らむる」 ト カクニン デキマシタ。』


『あどみにすとれーたー ケンゲン ゼン カイホウ。』


 アクセス権設定完了がアナウンスされると、端末を操作してアリスにアドミニ権限を渡した。


「よし、アリス。これで全機能にアクセスできる。頼んだぞ。」


『ラジャー、すでに再起動終了しています。AIコントロール、サブからメインへ移行。システム自動再構築、解除。』


『スラスターシステム起動、A1からA8まで接続、B7からB10、D4、G3、接続』


『各部、作動確認。』


『マスター、後、5秒で大気圏に突入します。』


「予測より早いなぁ。姿勢制御はこっちでやる。耐熱フィールド展開は任せたぞ、アリス。」


『ラジャー、マスター、腕部、脚部のシールドにピンポイントでシールドを展開します。』


『展開面を下に向けるように機体を維持してください。』


「わかった‼」


 そう言うと、機体を下に向け、両腕を頭部を庇い、両足を屈めて胴体を隠した。まるでダンゴムシの様な恰好のまま、大気圏に突入した。


 断熱圧縮により、あっと言う間に、機体が真っ赤に灼熱した。


 惑星の上層を流れ星のような一筋の航跡が夜のエリアへ描かれた。



『機体温度上昇、シールド面約800℃、外気温約200℃、尚も上昇中!』


「背面、排熱スリット展開!」


「後ろから、空気を取り込んでシールドを冷やせ!」


『⁉、危険です。高温の空気を取り込めば、駆動系はもちろん、生命維持装置にまで支障が出ます。』


「構わん、シールドが焼け落ちたら、どの道、助からん‼」


『ラジャー、空気の取り込みを開始します。』


 機体のアンテナがあっと言う間に融けて飛び、蝶番が外れたハッチも剥落した。機体各所の細い個所や、肩部などの耐熱フィールドからはみ出した部分が、外れると瞬く間に蒸発した。


 シールド部分も端から徐々に、熔解、蒸発していった。


 数分もすると真っ赤に燃えていた機体は、色を取り戻し、減速を始めていた。


『外気温、下がり始めました!』


「よし、第一段階クリアだ!」


『はい、ですが、このままでは、地面に激突します。』


「だな。機体は動くか?」


『駆動装置、18カ所損傷、熔解、破損による駆動不可7カ所、微細な動きはできませんが、一応、動くことはでいます。』


『スラスター、30%、動作不能。メインスラスター、出力は低下してますが、異常はありません。』


「わかった!」


 真っ暗い空の中で、固まった関節をほぐす様にゆっくりと機体を動かそうとする。


 丸まっていた機体がゆっくりと四肢を広げ、やがて、空気の圧力に逆らうように両手、両足を目いっぱいまで伸ばした。それはまさしくスカイダイビングをする、姿勢だった。そうすることで更に減速した。


「アリス、着陸できる地点はあるか?」


『現在観測中です。少々待ちください。』


『見つけました、ここです。』


 アリスが、そう言うとモニターに地上の赤外線画像が映し出され、白く濁った島のようなところにマーキングがされていた。


「湖か!」


『そうです。直径1200m程の楕円形の湖です。』


 それは、島ではなく湖だった。

 本来ならば、暗闇の中では、超高感度カメラと赤外線の合成画像を写すが超高感度カメラが機能していないため、赤外線の画像のみだった。


『付近には森しかなく現地への影響は最小限に抑えることができます。

又、大きさからかなりの水深があると思われます。着水時に角度をとれば衝撃はかなり緩和できるはずです。』


『着水までの、操作を代行します。』


「たのむぞ!」


 胸部スラスターを噴かし、弧を描くように、どんどん機体が高度を下げていき、月明かりに浮かぶ湖が目前に迫ってきた。


『マスター、後10秒で着水します。対ショック、用意してください。』


「わ、わかった!」



「どっ、ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!」


 まるで爆弾が爆発したかのような、轟音が響き渡り、巨大な水柱が上がり、やがて、打ち上げられた水は、魚らしき生き物と共に月明かりが乱反射しキラキラと光りながら雨のように周囲に降り注いだ。


 爆心地、いや、墜落地点で、波が収まると、そこには、暗闇の中にゆっくり沈んでいく戦闘人形の姿があった。


序章に続き読んで頂きありがとうございました。

これからも宜しくお願いします。m(__)m

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