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六機神合体~異世界で6体のロボットを合体させてみよう~  作者: 八咫のマコト
第二章 薬師に出会ってみよう
19/82

第18話 商会会長

「ん~ん、やっぱり、言わなくちゃダメかしら?」


「当たり前だ、殺されかけた理由を教えてもらわないと納得できない。」


「あんまり、人には言いたくないことなんだけどね。」


◇◇◇◇


 それは1週間前の事だった。リン達の家に突然、商会の会長バシュエルが訪ねてきた。


「チッ、いつ来ても陰気くさい所だな!」


 派手な外套、これ見よがしなアクセサリーをじゃらじゃらとつけた小太りな体型の男が面倒くさそうに呟いた。


「バシュエル会長の仰る通りですよ。何でわざわざ会長自ら来なけれならないのか、フェイルのヤロウのも困ったもんですね。」


「まったくだ。ワシが誘っているのだから、大人しく来ればいいものを。」


 ここに来たのは、バシュエルだけではなかった、腰巾着の男と冒険者崩れと思われるガラの悪い護衛が10名が狭い路地でひしめいていた。


 バシュエル商会の筆頭、会長のバシュエルがここに来たのには訳があった。現在、進めている回復薬、解毒薬などの独占販売計画の為に、町の薬局、薬師たちを掌握するか潰してしまわなければならなかった。

 殆どの薬師が、バシュエルの商会で働くことになったが、ここのフェイルだけは、頑として言うことを聞かなかった。その為、バシュエル自らが乗り込むことにしたのだ。


 パシュエルと腰巾着の男が、護衛の男たちを置いて、乱暴に扉を開けて薬屋に入っていく。


「じゃまするぞ!」


「いらっしゃい。パシュエルさん、今日は、どんな御用ですか?」


「わざわざ、聞かなくてもわかっているだろう。」


「例の件でしたら、お断りしたはずですが。」


「それくらいで、諦めるわしではないは。どうだ、フェイル、月に大金貨20枚で。

こんなちっぽけな店より、儂のところに来きた方が、よほど良い生活が遅れるぞ。

お前なら薬部門の責任者にしてもいい。そうすれば、30枚まで出すぞ。」


 無礼な態度でパシュエルは、言い放つ。パシュエルは何としてもフェイルを取り込みたかった。そして、そのためには、金を惜しみなく使っても構わなかった。だが、フェイルは……。


「はあ、お金じゃないんですよ。私は、ここが好きなんです。ここで常連さんの声を聞きながら、薬を作るのがいいですよ。それに、ここなら病人の症状、状態に合わせて薬を調合することもできます。パシュエルさんの所へ行ってしまったら、今まで支えてくれた、常連さんに顔向けでしませんよ。」


 フェイルは如何にも嫌そうな顔をしながらそう答えた。フェイルにとってこの店はかけがえのないものでであり、どんな条件でも、決してここを離れるつもりはなかった。


「まだ、そんな事を言っているのか、お前程の腕があれば、こんな貧乏くさいところじゃなく、」


「そのあたりにして貰えませんか、パシュエルさん?」


 エレーサは奥からリンを連れて出てくると、パシュエルの言葉を遮って言葉を発した。


「おお、これは、炎獄のエレーサさん。」


「もう、その二つ名は捨てました。いまは、只のエレーサですよ。」


「いやいや、まだまだその実力は衰えていないでしょう。それより、エレーサさんからもフェイルを説得していただけませんか?」


 エレーサにとって「炎獄」という厨二的な名で呼ばれるのが嫌だった。エレーサにとっては、過去の話であり、今更、それで呼ばれるのは心外である。


「それは、無駄です。この人は患者や冒険者に寄り添った生き方をしたいんです。それが生きがいなんですよ。」


「その通りです。商会に入ってしまえば、一人一人に合わせた調剤ができません。十把一絡げの薬ならどんな薬師でも作ります。私はそんな大量生産の薬を作るつもりはないんですよ。」


「そうだそうだ、お父さんは、ここで私たち一緒に薬を作るんだよ。私とお母さんがお父さんを支えるんだよ。」


「リン……。」


 エレーサと共に現れたリンも両親に同意するように言うとフェイルは、心配そうにリンを見た。


「おい、お前らいい加減にしろよ。わざわざ会長が自ら出向いてきたんだ、それを無碍にするとどうなるのか判っているんだろうな。」


腰巾着の男が脅す様にフェイル達に凄む。


「何と言われようと、私の気持ちは変わりません。商会の方へ行くことはありません。」


「てめえ、」


「待ちなさい。わかりました。今日の所は帰りましょう。でも、どうしてもうちに来ないのなら、わしにも考えがあるぞ。」


 エレーサとリンが現れ、分が悪いと見たパシュエルは、ここは一旦引く事に決めたようだ。


「あ、そうそう、そう言えば最近、森が騒がしいみたいですな。薬草の採取に行くときは十分に気を付けないと危ないですよ。」


 そして、入口から出ようとしたときにギリギリ聞き取れるようにそう呟き、護衛達を引き連れて、帰っていった。


 ここ1ヶ月でフェイルの薬屋では売上が少しずつ減ってきていた。病気用の薬は、そうでもないが、冒険者用の物が落ち込んでいた。フェイルの作る回復薬等は、効果は高い値段もそれなりなので、数を必要とする初級の冒険者は、パシュエル商会の安い回復薬を買っていた。


 パシュエルの訪問の2日後、エレーサはいつものように買い物に出かけ、肉や野菜、日用品などを買って帰る途中でエレーサは不審な気配を感じた。


「誰かがつけてきているの?」


 不審な気配は後ろに1人、前に2人、後ろは、距離を変えることなく、市場からずっとついてついてきている。前の2人は、待ち伏せでもしているのか、ほぼ動いていない。


「どうしましょう。対人戦は苦手なのよね。」


 あのパシュエルが来てから、不審な気配がずっとあったが危害を加えて来そうになかったのでとりあえず放置していたのだが、今日は様子が違った。


「家まで帰してくれそうにはないわね。」


 エレーサはベテランの元冒険者だ。周囲の気配を感じる事など造作もなかった。そして、買い物籠の中に護身用の杖がある事を確認して人気の少ない路地に入って行った。


「この辺りで良いかしら、そろそろ、出てきて頂けますか。」


 袋小路の行き止まりで振り返りながら、エレーサは見えない相手に声をかけた。


「!」


 無言のまま3人の男が現れた。


「バレていたのか。なら、仕方ないな。あんたには、恨みはないが、大人しく捕まって貰おうか。」


 見慣れない男達であった。一見して防具等は装備していない様にも見えるが、はたしてどうなのか。町民のような恰好をしているが、その雰囲気から裏稼業の物たちではないかと思えた。


「おとなしく捕まると、思ってますか?」


「あんたが、すごい魔導士なのは聞いているが、あんたが魔法を使うとこの辺り一帯は、火の海になるんじゃないか?」


「ああ、あながち間違ってはいませんね。」


 エレーサが素早く杖を抜くと呪文を唱えた。


雷衝サンダーショック


「「「なっ! うわぁぁぁっ!」」」


「でもね、これくらいはできるのよ。」


 雷衝は雷系の初心者向け単体魔法である。普通なら、ダメージも微々たるもので小型の魔物くらいにしか効かないし、追加効果に「麻痺付与」もあるが、成功確率は低い。

 だが、エレーサの場合は違った。雷衝の階梯レベルを最大まで上げ、魔力出力が振り切っている彼女が使えば、人を殺すことも可能であり、「麻痺付与」は100%成功する、あり得ない威力であった。


 それからも何度か、不審者の襲撃があったが、なんとか撃退して、やがて、パシュエルの訪問から1週間が過ぎた。


「あ~、まずいな、そろそろ薬草の在庫が少なくなってきたな。」


「そうですね、まだ、残っているのもあるけど、回復薬に使う薬草が、心許ないですね。」


「自分たちで採取に行くのは、不安だな。協会ギルドにも依頼しているが、どうも、奥がら魔獣が出て来たようで、みんな用心して採取に出てくれないからな。」


「私がもう少し器用なら、護衛でついて行けるんだけど、大規模魔法しか使えないから、回りの薬草ごと滅茶苦茶にしてしまうかも知れないし…。」


 エレーサの魔力は膨大だ。だから、その膨大な魔力を利用した、大規模な殲滅魔法を覚えていた。エレーサが魔法を撃った後は、草木も生えていないと言われるほど超強力な魔法ばかりである。

 一般的な初級、中級の魔法は使えないわけではないが、命中率が一部を除き壊滅的だったので諦め、対規模な魔法で殲滅する戦法を取ることを主体とするようになった訳である。


 そんな二人の会話を部屋の奥で聞き耳を立てている少女がいた。


(それなら、私が採ってくればいいんだ。いつもの所なら、強い魔獣は来ないはずだし、魔物除けもある。)


 少女リンはそう呟くと、裏口から出かけて行った。


 それから、暫くの後、リンがいなくなった薬屋では、フェイルとエレーサが大騒ぎをしていた。


◇◇◇◇


「と言うことがあったわけよ。」


「なるほどだいたい流れはわかった。その不審者の仲間だと思ったわけだな。」


「うん、そうなのよ。ごめんなさい。」


「まあいい、」


「それで、貴方の実力を買って、お願いがあるんだけど…」


「なんだ?」


「リンを守ってくれないかしら。」


「俺は、あんたらの事に首を突っ込むつもりはないぞ。それに暫くは滞在するが、いつまでもここにいる訳じゃない。」


「ん、判っている。ここにいる間だけでもいいから。」


「まあ、リンに町の案内を頼んでいるから、そのついでで良ければな。」


「はい、それでお願いします。」


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