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In the breeze  作者: PeDaLu
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確認

今日は晃の家で勉強をすることになった三葉。どうしても確認したいことがあったが、無事に確認することはできるのだろうか

「晃!購買は戦争だ!」


「俺は食堂だ。パンじゃねぇ。がんばれ戦士よ」


「うおぉぉぉぉ!!」


勢いよく教室を飛び出した上條は購買のパンをゲットすべく走り去った。廊下を走るとろくなことがないと思うのだが。


「三葉、今日はなにを食べるんだ?」


「うーん。晃、決めてよ。私、今日はなんでもいい」


「そうか?それじゃ俺と一緒にエビフライ定食でも食べるか?」


冗談で男盛りで有名な定食を勧める。流石に辞退するかと思ったら、それでいいという返事。なんだか申し訳ない気分になって食堂のおばちゃんに三葉がよそ見をしてる内に三葉には少なく盛って欲しいと伝えておいた。


「ねぇー。なんで私のは少ないの~」


「食堂のおばちゃんが気を効かせてくれたんだろ?女の子がこんなに食っちゃ太るだろ。栄養が行く場所がないと余計に」


「栄養がなんだって?」


「ほら、このエビフライの衣、油がたくさん……」


三葉は昔からそうだ。俺が言ったもの、食べたものはイヤでも嫌いでも同じようにしないと気が済まない、というきらいがある。このエビフライ定食だって、普通の男盛りにしたら無理にでも食べようとしてただろう。


「で、上條、パンは無事に買えたのか?」


「おう!一番人気のパンを買えたぞ。おまえたちも屋上で食べるご飯の気持ちよさを体験した方がいいぞ」


「俺は米がないと落ち着かないんだよ。パンが昼飯ってのはどうもな」


「作って貰えば良いじゃん。弁当。三葉に」


「なんで。三葉にそんなこと頼むんだよ」


「いいじゃん。たまにあいつの家で手料理食ったりしてるんだろ?弁当くらいその延長線だろ」


屋上で弁当。確かに学生の特権かも知れない。今度、三葉に頼んでみるか


帰り道でなにとなく弁当のことを伝えると、気が向いたらね、とだけ言われて、俺も、そうか、とだけ返事をした。珍しく今日は放課後図書館に寄っていない。少しは環境を変えて俺の家で勉強をしよう、ということになったからだ。


「ただいまー」


「あら、三葉ちゃん」


「お邪魔します。今日は晃君と勉強を……あっ!」


靴ひもを踏んだままもう片方の靴を脱ごうとした三葉はバランスを崩して倒れそうになったのを俺はなんとか支えることができた。


「あなたたち、本当に仲がいいわねぇ。玄関で抱擁を見れるとは思わなかったわ」


「だから!これは!!」


「はいはい。分かってるわよ。後でお菓子持って行くから」


母さんはそう言ってリビングに消えていった。


「で?三葉」


「あ、ごめんなさい!びっくりしちゃって」


倒れそうになった三葉を支えた後、三葉は俺の右腕を両手で掴んだままになっていた。改めて靴を脱いで二人、階段を上がる。


「あー、まてまて。俺が先にあがる」


「なぁにぃ?見られちゃマズいものでも置いてあるのぉ?ちょっと部屋の外で待ってようか?ねぇねぇ!」


「そんなんじゃねぇよ」


見られちゃ困るものか。何かあったかな。そんなことより、あいつはなんで階段をいつも駆け上がるんだ。あんな短いスカートで駆け上がられちゃ見えちゃって困るんだよ。


「ホント、殺風景ねぇ。ベッドと机しかないじゃない」


「そこにテーブルがある。窓際に鉢植えもあるぞ。本棚だってあるじゃないか」


「まぁ、晃らしいからいいけど」


私はそう言いながら本棚に飾ってある家族旅行の写真を眺めていた。お互いの家族で一緒に旅行に行った時の写真だ。家族写真とはいえ、私の写真が晃の部屋に飾ってあるのは嬉しい。


「さ。今日はここから。お互いに問題を出していくやつをやりましょう」


この問題の出し合いは好き。晃と会話が出来るから。お互いに問題を解いているだけじゃ会話がなくてなんか寂しい。私はもっと晃と話をしたい。


「ねぇ晃。何で彼女作らないの?」


私は確認せずにはいられなかった。私には、私たちには時間がないのだ。


「ん?なんだ突然。いいのか?俺が彼女作っても」


「それは……イヤだけど……」


「じゃあ、そう言うことだ。続き、やるぞ」


安心した。大丈夫。確認できた。良かった。


「それじゃ、また明日な。あと、さっきのは別に特別なことじゃないからな。一緒に勉強しにくくなるとか……、その、色々と面倒だろ」


「分かってる。それじゃ、おやすみなさい。また明日」



「晃!いつまで寝てるの。遅刻するわよ!三葉ちゃん、もう来てるわよ!」


「んぁ……なんで三葉が来てるんだ?まだこんな時間じゃないか」


時間はいつも起きる時間の20分も前の時間。三葉はなにをしに来ているのだろうか。


「あー。やっぱり忘れてる。今日は日直!さっさと起きてご飯食べて学校に行くわよ!」


「三葉?なにしれっと俺の部屋まで来てるんだ」


「別に良いでしょ。減らない!」


「んで、朝飯は食ってきたのか?」


「まだ!おばさん、ごちそうになります!」


母さんは嬉しそうに返事をして階段を下りていった。


「で、おまえはいつまでここにいるんだ?着替えたいんだが」


「私はいいわよ。気にしないから」


「俺が気にするんだよ」


「はいはい」


三葉は手を振りながらドアを閉めて部屋の外に出て行った。


「さて……」


ガチャッ!


「今日から冬服だからね!」


バタン!


パンツ一丁で腰に手を当てた俺と三葉の目が合った。


「あんなことを言っていたのに目を丸くして慌ててドアを閉めていったな。冬服か。そうか。もうそんな季節か」



「まだ冬服は暑いな。夏は早く帰って秋が来い」


「なんで?私は夏が好きだよ。ずっと続けばいいのにって思うくらいには」


「ええ……真夏の暑さを思い出すだけでうだる。むり。干上がる」


三葉は夏が好きだったのか。初めて聞いたぞ。


学校に到着した俺たちは日直の仕事をこなす。プリントを運んだり余計な雑用を任されたり。


「だから早すぎって言ったんだよ。まだ誰も来ないじゃないか」


教室には俺と三葉の二人しか居ない。開け放った窓にカーテンが大きく揺れている。


「いいじゃない。こういうのも。朝の風って気持ちいいし」


「まあな。そういえば、髪留めはどうしたんだ?」


三葉の黒髪が風に吹かれて朝日に照らされている。ハイライトが風に吹かれれる度に移動して綺麗だ。


「ボロボロになっちゃって。今度買いに行くから付き合ってよ」


「おう」


その日は髪を結んでいない三葉が気になって風で髪が揺れる度に見ていたような気がした。妙に懐かしい感じがするのは気のせいだろうか。

永遠の夏を願う三葉。彼女の心は一体どこにあるのか。

次回、最終話「そよ風の中で」

お楽しみに

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