旅立ち
台詞と台詞の間の文を完全に客観的にしちゃうか、今のままで行くのがいいか・・・ご意見等あればお願いします!
翌朝。珍しく早く目が覚めた簡雍は、劉備の家に向かった。
すでに劉備は起きていて、家の前の木の下で待っていた。劉備の顔つきが、一昨日見た時から変わっていることに驚きつつも、彼は劉備に話しかけることにした。
「別れの挨拶は、すませたのかい?」
「ああ。母上からは、この剣と、勇気をいただいたよ。先祖代々伝わるものだそうだ。」
「そうかい。良かったじゃないか。んじゃ、ぼちぼち馬車を待つとしようか・・・?」
「どうした?」
「いや、なんでもないよ」
ふと気がついたが、自分の喋り方が、「志朗」のものとはいつの間にか違っていた。簡雍の喋り方に引っ張られているのであろうか。意思の疎通には問題ないので、特段気にしないことにした。
二人が他愛もない話に花を咲かせていると、遠くから馬車と、複数人の護衛が見えた。
「やあ!玄徳兄!」
馬車の中から、元気そうな少年が顔を出した。劉備を「兄」と読んでいるあたり、恐らく彼が劉元起の息子であろう、と簡雍は考えた。様子からして、関係は良好そうだ。
「久しぶりだな、徳然。元気にしてたか?」
「もちろんです!玄徳兄もお元気そうで何よりです!そちらの方は?」
「簡雍、字は憲和です。はじめまして」
「はじめまして!玄徳兄がお世話になっております!私は劉徳然と申します!」
太陽のような笑顔が弾ける、声が大きい元気な少年だった。歳は劉備より少し下だろうか。
久しぶりに劉備と会えたのが嬉しかったのか、大はしゃぎの劉徳然に連れられるままに馬車に乗り込んだ。
しばらく進むと、村落が見えた。
既に日が傾いていたので、適当な宿屋を探して泊まることにした。
「まさか、食事が自炊とはねえ。」
(この時代の宿屋って、自炊なのか。知らなかった。)
「いいじゃねえか、こういうのも」
劉備は呵呵大笑している。
ちなみに劉徳然は、はしゃぎ疲れたようで腹を出して寝ている。
護衛の力添えもあって、どうにか全員分の食事をつくることができた。あまり美味しくはなかったが、複数人で談笑しながら食べる食事は楽しかった。
腹を満たし、風呂にも入って疲れを癒した。
寝る用意をしながら何気なく外を見ると、ここからそう遠くない複数の民家から火が立ち上っているのが見えた。